どうも羨ましがる人々が多いみたいだけど、そんなに零細がいいなら、即サラリーマンを辞めて独立した方がいいんじゃないかな、とか思わないでもない(笑)。
はてなブックマーク - 零細企業経営者・個人事業のための凄い節税対策 住 太陽のブ主ログ
確かに制度としては「優れモノ」だろうと思うけれど、大した利回りでもないだろう。紹介されてるシミュレーションをやってみたよ。
例えば、毎月5万円の掛金で20年継続すると合計掛金は1200万円、これに対する返戻額は1393万2千円でしかない。恐らく現在の利回りを基準として計算しているから、将来指標となる国債金利が上昇したりするともう少し増えるかもしれないけど。
言えることは、銀行の積立預金みたいなものに比べると格段にいい、ということはあるだろう。目標額を返戻金に設定して積立を考えると、1年複利で運用ならば金利水準が1.541%くらいになる(利息は20%源泉徴収されるとして)。つまり、この成績をコンスタントに上回れる投資対象があるなら、そちらの方が投資効果は大きい可能性はある。この共済掛金では源泉徴収されないと思うので、1年複利で運用利率が1.4%だと目標額に達するだろう。つまりは、この独法の試算基準は長期金利から運営経費等の分を減額してみると、いい線だろうね、ということ。日本国債を買ってただ持ってるだけで返戻額分を楽勝で払える程度の運用しかできない、ということだ。これなら、ボケた天下り連中がやっても誰でもできるからね(笑)。
<ちょっと寄り道:
この共済の加入者がもっと増加しないと、この独法が持ってる金の全体額が大幅に縮小してしまい、存続できなくなってしまうという恐怖感を抱いていることだろう。だから、若い人たちにもっと加入して欲しい、という釣りを狙っているのだろう。共済金を分割で受取っていたり、今後廃業で受取る人数が多いはずだろう。それは団塊世代が続々と退職していくのだから、自営の人たちも引退する人数が多いんじゃないかと思う。それと、昔の自営業者の比率は結構高かったのだが(=昔は加入者数が多かった)、最近の就業人口では自営が大幅に減少したので、加入対象者そのものが非常に少ない。となると、今の独法の所有資産は支払が大幅に超過するので、利息収入から運営経費を出せなくなる、ということだ。天下り指定席も減らさざるを得なくなる、と。だから、何とか加入者を引き込もうとしているのだろう。
集めたお金が1000億円になれば、金利が1.5%でも、この運用収入だけから15億円が生み出される、ということだから。加入者には14億円付加して払っても、自分たちのところには1億円を抜くことができる。この1億円を天下り野郎の給料に充てることができる、という寸法だ。大雑把に言えば、こういうカラクリだということ。昔の加入者が多かった時代であれば、積立金として残された資産が1兆円とかあれば、ここから得られる利息収入だけで200億円とか300億円とかになるのだから、楽チン経営だったのさ。ところが、昔の加入者たちに「お約束していた支払額」というのは、失われた15年以前だったので利回りが4%超とかだったのだろう。だから大幅な逆ザヤとなっていることが予想され、今、加入して掛金を払う若年世代は、こうした昔の加入者たちに利息を回す原資を提供しているのと同じだろう。運営交付金も削られていくから、独法は維持するのに困ってきているのだろうよ。いずれにしても、加入者を増やして運用する資金規模をまず大きくし、運用利回りが低下していても払えるような体制を作り上げない限り、天下り野郎どものイスが危ない、ってことだろう。
昔:運用資金1兆円 利回り4% 運用収入400億円
今:運用資金2兆円 利回り2% 運用収入400億円
みたいにしない限り、維持できないってことではないか。現状では廃業した支払請求の自営業者たちが多くて、運用資金の総額が恒常的に減り続けているのではないのか。
今:運用資金8000億円 利回り2% 運用収入160億円
というふうになってしまって、「困りましたねえ」ということだろうと思う。このまま行けば、加入者数が激減して存在意義すら問われるようになる、だから加入してくれ、と騒いでいるようなものだろう。>
ただ節税面で考えると、実質的な利回りは大幅によくなる、ということは言えるだろう。この独法が「とても頑張って」運用成績を上げているから、とかではなくて、単なる税制の恩恵ということ以外にメリットはないだろう。経済産業省の中小・零細企業向けの政策の一部だからできることだろうな、と思う。
だけど、ちょっとよく考えて欲しい。
一生個人事業主で過す場合に、生涯に獲得する「お金」はサラリーマンに比べて多いのか、ということがある。
企業に勤めている人たちには、退職金が貰えることが殆どだろうと思う。大企業とか公務員なんかでは、結構多額の退職金が貰えるはずだろう。でも、個人事業主にはそれがない。法人であればこうした退職給与引当金を計上できると思うので、課税対象額から除外されているはずだろう。これがちっぽけな個人企業(個人事業主)であったとしても、同じく退職金の引当を行えるのは不思議でも何でもないと思うのだけどね。個人事業主には雇用保険も無かったので、事業を畳むと何らの保障もなかったんですよ。
それから、年金の受給額は大幅に異なることも重要だ。
一般企業であれば厚生年金になるので社会保険料分は企業が半分負担している。サラリーマンが厚生年金保険料を14000円払うのと、個人事業主が国民年金の掛金を同額払うのとでは、受給額は大幅に異なるということだ。これは年金受給期間全部に渡って影響を受けることになる。仮に死ぬまで15年間年金を受給していたとして、その間の給付額は大幅な違いを生むであろう。サラリーマンの専業主婦である妻の分まで貰えるのだ。個人事業主は妻の分は独立して別に掛けなければならないからね。法人である企業にしてみると、これら社会保険料分は法人の利益からは除外され課税されないのだから、個人企業であっても同様に課税されない部分が増えることがあってもいいと思えるが。
これをやったとしても、大手企業なんかの生涯獲得収入額(年金の部分を含めて)に比べれば、全然安いだろう。退職金の額も、この共済で満額7万円を40年掛けていったとしても、公務員の退職金には及ばないだろう(笑)。夫婦で国民年金と公務員共済の年金受取額との差額を考えても、夫婦で年間300~400万円くらいの差が出るのだから。
そういうわけで、零細の個人にはほんのちょっぴりのお得感で我慢せよ、という罠が仕込まれているだけだ。公務員を勤め上げた連中には、生涯の獲得収入では到底敵わないのだよ。
特に今の時期であれば、「独法改革」に焦点が当たっているので、この共済の運営主体も存続が危ぶまれているのではないかな、と思ったりする(笑)。
これに関する話は、もう随分前に取り上げて書いたんですけどね。
中小企業基盤整備機構の貸金業
谷垣大臣の試練
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確かに制度としては「優れモノ」だろうと思うけれど、大した利回りでもないだろう。紹介されてるシミュレーションをやってみたよ。
例えば、毎月5万円の掛金で20年継続すると合計掛金は1200万円、これに対する返戻額は1393万2千円でしかない。恐らく現在の利回りを基準として計算しているから、将来指標となる国債金利が上昇したりするともう少し増えるかもしれないけど。
言えることは、銀行の積立預金みたいなものに比べると格段にいい、ということはあるだろう。目標額を返戻金に設定して積立を考えると、1年複利で運用ならば金利水準が1.541%くらいになる(利息は20%源泉徴収されるとして)。つまり、この成績をコンスタントに上回れる投資対象があるなら、そちらの方が投資効果は大きい可能性はある。この共済掛金では源泉徴収されないと思うので、1年複利で運用利率が1.4%だと目標額に達するだろう。つまりは、この独法の試算基準は長期金利から運営経費等の分を減額してみると、いい線だろうね、ということ。日本国債を買ってただ持ってるだけで返戻額分を楽勝で払える程度の運用しかできない、ということだ。これなら、ボケた天下り連中がやっても誰でもできるからね(笑)。
<ちょっと寄り道:
この共済の加入者がもっと増加しないと、この独法が持ってる金の全体額が大幅に縮小してしまい、存続できなくなってしまうという恐怖感を抱いていることだろう。だから、若い人たちにもっと加入して欲しい、という釣りを狙っているのだろう。共済金を分割で受取っていたり、今後廃業で受取る人数が多いはずだろう。それは団塊世代が続々と退職していくのだから、自営の人たちも引退する人数が多いんじゃないかと思う。それと、昔の自営業者の比率は結構高かったのだが(=昔は加入者数が多かった)、最近の就業人口では自営が大幅に減少したので、加入対象者そのものが非常に少ない。となると、今の独法の所有資産は支払が大幅に超過するので、利息収入から運営経費を出せなくなる、ということだ。天下り指定席も減らさざるを得なくなる、と。だから、何とか加入者を引き込もうとしているのだろう。
集めたお金が1000億円になれば、金利が1.5%でも、この運用収入だけから15億円が生み出される、ということだから。加入者には14億円付加して払っても、自分たちのところには1億円を抜くことができる。この1億円を天下り野郎の給料に充てることができる、という寸法だ。大雑把に言えば、こういうカラクリだということ。昔の加入者が多かった時代であれば、積立金として残された資産が1兆円とかあれば、ここから得られる利息収入だけで200億円とか300億円とかになるのだから、楽チン経営だったのさ。ところが、昔の加入者たちに「お約束していた支払額」というのは、失われた15年以前だったので利回りが4%超とかだったのだろう。だから大幅な逆ザヤとなっていることが予想され、今、加入して掛金を払う若年世代は、こうした昔の加入者たちに利息を回す原資を提供しているのと同じだろう。運営交付金も削られていくから、独法は維持するのに困ってきているのだろうよ。いずれにしても、加入者を増やして運用する資金規模をまず大きくし、運用利回りが低下していても払えるような体制を作り上げない限り、天下り野郎どものイスが危ない、ってことだろう。
昔:運用資金1兆円 利回り4% 運用収入400億円
今:運用資金2兆円 利回り2% 運用収入400億円
みたいにしない限り、維持できないってことではないか。現状では廃業した支払請求の自営業者たちが多くて、運用資金の総額が恒常的に減り続けているのではないのか。
今:運用資金8000億円 利回り2% 運用収入160億円
というふうになってしまって、「困りましたねえ」ということだろうと思う。このまま行けば、加入者数が激減して存在意義すら問われるようになる、だから加入してくれ、と騒いでいるようなものだろう。>
ただ節税面で考えると、実質的な利回りは大幅によくなる、ということは言えるだろう。この独法が「とても頑張って」運用成績を上げているから、とかではなくて、単なる税制の恩恵ということ以外にメリットはないだろう。経済産業省の中小・零細企業向けの政策の一部だからできることだろうな、と思う。
だけど、ちょっとよく考えて欲しい。
一生個人事業主で過す場合に、生涯に獲得する「お金」はサラリーマンに比べて多いのか、ということがある。
企業に勤めている人たちには、退職金が貰えることが殆どだろうと思う。大企業とか公務員なんかでは、結構多額の退職金が貰えるはずだろう。でも、個人事業主にはそれがない。法人であればこうした退職給与引当金を計上できると思うので、課税対象額から除外されているはずだろう。これがちっぽけな個人企業(個人事業主)であったとしても、同じく退職金の引当を行えるのは不思議でも何でもないと思うのだけどね。個人事業主には雇用保険も無かったので、事業を畳むと何らの保障もなかったんですよ。
それから、年金の受給額は大幅に異なることも重要だ。
一般企業であれば厚生年金になるので社会保険料分は企業が半分負担している。サラリーマンが厚生年金保険料を14000円払うのと、個人事業主が国民年金の掛金を同額払うのとでは、受給額は大幅に異なるということだ。これは年金受給期間全部に渡って影響を受けることになる。仮に死ぬまで15年間年金を受給していたとして、その間の給付額は大幅な違いを生むであろう。サラリーマンの専業主婦である妻の分まで貰えるのだ。個人事業主は妻の分は独立して別に掛けなければならないからね。法人である企業にしてみると、これら社会保険料分は法人の利益からは除外され課税されないのだから、個人企業であっても同様に課税されない部分が増えることがあってもいいと思えるが。
これをやったとしても、大手企業なんかの生涯獲得収入額(年金の部分を含めて)に比べれば、全然安いだろう。退職金の額も、この共済で満額7万円を40年掛けていったとしても、公務員の退職金には及ばないだろう(笑)。夫婦で国民年金と公務員共済の年金受取額との差額を考えても、夫婦で年間300~400万円くらいの差が出るのだから。
そういうわけで、零細の個人にはほんのちょっぴりのお得感で我慢せよ、という罠が仕込まれているだけだ。公務員を勤め上げた連中には、生涯の獲得収入では到底敵わないのだよ。
特に今の時期であれば、「独法改革」に焦点が当たっているので、この共済の運営主体も存続が危ぶまれているのではないかな、と思ったりする(笑)。
これに関する話は、もう随分前に取り上げて書いたんですけどね。
中小企業基盤整備機構の貸金業
谷垣大臣の試練