新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

偏ったメディア報道には惑わされるな

2021年10月15日 11時20分11秒 | 衆院選挙

9月29日の総裁選後に岸田文雄新総裁はこう言っていた。
 
「多くの国民が政治に声が届かない、政治が信じられないといった切実な声を上げていた。私は、我が国の民主主義の危機にあると強い危機感を感じ、我が身を顧みず、誰よりも早く総裁選に立候補を表明した」
 
この危機感は9年間余りのアベスガ政権によって多くの国民が感じていたことであり、岸田文雄自身も感じていたのなら、「我が身を顧みず」に、「日本に民主主義を取り戻す」という宣言であったかもしれない。
 
しかし、総選挙に臨む自民党の重点政策が総務会で承されたのはこんな8つの柱であった。
 
1・感染症から命と暮らしを守る。
2・「新しい資本主義」で分厚い中間層を再構築する。「全世代の安心感」が日本の活力に。
3・国の基「農林水産業」を守り、成長産業に。
4・日本列島の隅々まで、活発な経済活動が行き渡る国へ。
5・経済安全保障を強化する。
6・「毅然とした日本外交の展開」と「国防力」の強化で日本を守る。
7・「教育」は国家の基本。人材力の強化、安全で安心な国、健康で豊かな地域社会を目指す。
8・日本国憲法の改正を目指す。
 
1~4までは野党共闘の共通政策と大同小異であろう。 
 
残念ながら、岸田文雄が総裁選で訴えた「令和版所得倍増」や、金融所得課税の強化、分配政策の具体策とした「子育て世帯への住居・教育費支援」、健康危機管理庁の創設も入らなかった。
 
8の「憲法改正」は自民党の党是であるのでいまさらとやかくは言わない。
  
しかし5~7までは、宏池会や岸田文雄なら絶対言わないような「国の使命は、国家の主権と名誉を守り抜くこと」と勇ましい文言が採用されていた。
 
まさに「古い自民党」そのものであり、国民会議を始めとする岩盤な右派勢力の支持固めとも受け止められる。
 
それにもかかわらず、野党共闘として政権交代した場合共産党は「閣外協力する」と宣言しているにも関わらず、そんな危機感の表れなのか、あっせん利得疑惑の睡眠障害で国会から逃げまくっていた自民党の甘利明幹事長はこんなことをほざいていた。
 
甘利幹事長、衆院選争点 『自由民主主義か、共産主義が入ってくる政権か』

 

自民党の甘利明幹事長は14日、衆院選(19日公示、31日投開票)の争点について、立憲民主党が政権交代を実現した場合、共産党からの限定的な閣外協力で合意していることを踏まえ、「われわれの自由民主主義の思想で運営される政権と、共産主義が初めて入ってくる政権とどちらを選ぶのかという政権選択だ」と述べた。国会内で記者団の質問に答えた。
甘利氏は、立民が共産との候補者の一本化を進めていることに関し、「勝った方は首相をとる。(立民が中心の政権には)日本史上、初めて共産主義の思想が入ってくる」と警戒感をにじませた。

 

 
「共産主義が初めて入ってくる政権」と表現したこんな甘利発言を流していたメディアは産経新聞だけだった。
 
まあ、産経新聞ならさもありなんであろう。
 
話は戻るのだが、先の自民党の重点政策のなかで、「経済安全保障を強化する」という表現に対しては、外交評論家の孫崎享はこんな警鐘を鳴らしていた。
 
岸田首相の中国を念頭に置いた発言 経済安保の愚かしさと時代錯誤
   

「新たに設けた担当大臣の下、戦略物資の確保や技術流出の防止に向けた取り組みを進め、自律的な経済構造を実現します。強靱なサプライチェーンを構築し、我が国の経済安全保障を推進するための法案を策定します」
 岸田首相は所信表明演説でこう説明していた。おそらく、中国を念頭に置いた発言で、多くの日本国民は「もっともだ」と受け止めただろうが、本当にそうなのか。
 これは「全体主義的国家中国に対し、特に軍事に関係するとみられる技術の提供を停止する」という考え方である。
 日本がこうした政策を取れば、当然、中国も同種の対抗措置を取る。その際、日中の損得勘定はどうなるだろうか。
 各国の技術水準を示す指標として論文数がある。文科省の「科学技術・学術政策研究所」が毎年報告書を発表しており、1997~99年の平均シェアでは米国が世界の1位で、全体の42.8%を占めていた。続いて英、独で、日本は第4位(6.1%)。中国は第13位(1.4%)で、日中双方で技術提供を止める措置を取ったとして、当時、被害が大きかったのは中国であった。
 それでは現在はどうだろうか。2017~19年の最新データを見ると、日本は10位に転落し、全体に占める割合は2.3%。一方、中国は1位(24.8%)となった。
 今、日中双方で技術提供を止める措置を取れば、どちらの国の被害が大きいのかは明らかだろう。数字を見れば日本ということが明らかだ。にもかかわらず、日本政府は被害を拡大するような措置を取ろうとしているのである。
 日本の一定層は極端な「嫌中」「嫌韓」の空気を持っている。それが中国、韓国の国力に対する客観的な姿を見えなくしていると言っていい。
 経済力を見ても、米CIA(中央情報局)がまとめた報告書(WORLD FACTBOOK)によると、購買力平価ベースをもとにした「真のGDP」で、中国は22.5兆ドル、米国は20.5兆ドル。対する日本は5.2兆ドルである。
 大きな市場を持つ国と緊密な経済関係を持つことは国益である。
 それなのに、今の日本政府はなぜ、逆の政策を遂行するのだろうか。最大の理由は日本国民が感情的になり、中国、韓国といった隣国を客観的に捉えることができないからではないだろうか。


 
自民党内の事情から推測すれば、かつて、「中国外交の総元締」と言われていた二階俊博前幹事長が今回の総裁選を前にして失脚してしまったことが大きく影響していると思われる。
 
ところで元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資はこんなメディア批判をしていた。
 
「岸田首相は『民主主義の危機』を口にしていたが、その責任は自分たちにもあることをなぜ、メディアは分からないのか。ちょっと前は菅前首相を『パンケーキ好きのたたき上げ』と言ってもてはやし、今度は『新しい資本主義』などと大騒ぎ。岸田政権の政策の中身を見れば、何もないことが分かるだろうし、安倍・菅政権と変わらないと気付くはずなのに、問題点を指摘しないどころか、例によってヨイショ報道ばかり。全くどうかしています」
 


 
少なくと大手メディアの中枢には甘利明の言う「共産主義が初めて入ってくる政権」ということに危機感を覚え、今後は総選挙の投票日前まで、自民党の困ったときの「反共宣伝」を後押ししてくることが予想されるが、今の自民党のままならば、岸田文雄政権が続く限りは国民にもっと多くの危機が襲ってくるという想像力を働かせるべきであろう、とオジサンは思う。 
  

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