余りにも「アベ・スガ」政権のコロナ対策が「後手後手」だったので、岸田文雄の対策が「先手」を打っているように見えてしまう。
もっとも国外在住の日本人も帰国できないほどの厳しい「水際対策」を打ち出したはいいが、人権問題になりあっさりと緩和したのだが、あくまでも水際とは国内に海外から入ってくる人物を国際便が到着する空港で簡単な抗原検査をするだけであった。
そして沖縄県で一気に感染者が拡大した理由が、本国を出国する前にPCR検査もしない米兵が米軍基地に到着し、マスクもせずに夜な夜な繁華街に繰り出した結果であったということは、日本の官房長官も渋々認めざるを得なかった。
「官房長官、コロナ拡大の原因は在日米軍の『可能性』初めて認める 各地で関係者3600人以上感染」
そして、東京都の横田基地など在日米軍基地で新型コロナウイルスの感染者が続出している問題は、日本の検疫や行動制限などが及ばない根拠となっている日米地位協定の弊害を改めて浮き彫りにした。
同様の取り決めは米軍が駐留、展開している他国にもあるが、国内法の適用を明記したり、受け入れ国側に幅広い関与を認めたりしている。米軍の特権的な地位を認める日本との違いは大きい。
「コロナ対策で弊害浮き彫りの地位協定 米軍の特権的地位を認める日本、では他国は…」
【東京新聞より】
◆際立つ日米の不平等さ 日本政府が公表した13日午後時点の在日米軍関係者の感染者数は5340人(回復者を除く)で、初めて5000人を超えた。昨年9月から3カ月以上、日本側に連絡せず日本入国前の検査を取りやめていたことが判明しており、ずさんな対応の背景として、日本の国内法の適用が幅広く免除される地位協定の問題がクローズアップされた。 他国と米国との取り決めを見ると、日米地位協定の不平等さは際立つ。2018~20年に米軍が駐留、展開している6カ国の現地調査を行った沖縄県によると、オーストラリアは米国と結ぶ地位協定で、配備される米軍について「オーストラリアの検疫法を含む関連法令の規定を順守しなければならない」と定める。 ◆改定重ねたフィリピン、ドイツも国内法適用強化 フィリピンも米国との「訪問軍協定」で、米側は要請があれば検疫検査を実施し、対象疾患が存在しないことを証明するよう義務付ける。フィリピンは1946年の米国からの独立にあわせ、協定を締結。当初は米軍に約100年間の基地使用を認めるなど植民地時代の延長のような内容だったが、その後の交渉で改定を重ね、不平等さを是正した。 入国後の感染対策でも、他国は関与の度合いが大きい。ドイツは北大西洋条約機構(NATO)軍地位協定の補足協定を93年に改定した際、「感染症の予防や駆除に関し、ドイツの法規や手続きが(駐留する)軍隊、軍属機関に適用される」と盛り込んだ。同時に国内法の適用強化などの改定も実現した。 イタリアは米国との覚書に基づき、自国軍の司令官に、公衆衛生などに危険を生じさせる米国の行動を中断させるための「介入」権限を与える。 ◆官房長官、運用改善が「最も適切」 沖縄県の担当者は取材に「各国では、米軍にも自国の法令を適用するのが基本的な考え方だ」と説明。全国知事会は日米地位協定の抜本改定を求めているが、政府は安全保障面で米国への依存度が高いこともあり、一貫して弱腰姿勢だ。協定は60年の締結以降、一度も改定されていない。 松野博一官房長官は14日の記者会見で地位協定の見直しを否定した上で、日米合同委員会を通じた運用改善が「効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取り組みだ」と述べた。 |
まさに「バカの一つ覚え」のごとくの運用改善が「効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取り組みだ」と言っていたが、今まで米国は効果的かつ機敏に対応したことは一度もない。
残念ながら今でも米国は日本は「植民地」扱いしているようである。
「米軍基地・安保 この違いってなに…? 米軍、日本出国時はコロナ検査していた」
【沖縄タイムスより】
米軍横田基地の旅客ターミナルのフェイスブックに掲載された検査に関する情報。上から2段目で、米シアトルやワシントンへ出国する際は24時間前か72時間前に検査が必要とされている
在日米軍が米国などから日本に入国する前に新型コロナウイルス感染症の検査をしていなかった時期、日本から米国への出国の際は感染検査をしていたことが13日までに分かった。県内では、オミクロン株の感染拡大は米軍基地由来とみられている。不平等な日米地位協定の実態がここでも浮き彫りになった形だ。 ■日本入国の際は検査せず 米軍横田基地の旅客ターミナルのフェイスブックに掲載された情報によると、昨年12月6日の時点では、米軍関係者が横田から米国のシアトルやワシントンなど米本土へ出国する際、24時間または72時間前に検査が必要とされていた。 一方で在日米軍は9月以降、米疾病対策センターや米国防総省の指針に基づき感染対策を緩和し「日本と整合的な措置を取る」としながら、出入国前後の検査を実施していなかった。 日米地位協定により、海外から在日米軍基地に直接入る場合、米兵は日本側の検疫が適用されない。 ■基地で大規模クラスター 県内では、12月初旬に米本国から嘉手納基地に直接入った米軍キャンプ・ハンセンの部隊で、大規模なクラスター(感染者集団)が発生。米軍が出国前に検査していなかったことを日本政府が把握して公表したのは12月22日、米軍が入国72時間前の検査を始めたのは同26日だった。 フェイスブックに掲載された情報からは、横田から韓国に移動する際には、検査を必要としていたことが分かる。 在日米軍司令部は取材に、日本への入国、出国時の対応の違いについて言及を避け「継続的に健康保護態勢を見直し、適宜更新していく」とした。 国の主権が問われる 前泊博盛教授(沖縄国際大学)の話 米国の法律は適用するが、日本の法律は適用しない「旗国法原理」で、日本は法の空白をつくってしまっている。新型コロナウイルスの感染が在日米軍基地のある都道府県で多発していることからも、日本政府はこれを教訓として、出入国検疫の管理については徹底して見直していくべきだ。 韓国と比べ、日本国民には「地位協定があるからしょうがない」という意識があるのかもしれないが、そういった呪縛からは抜けるべきだ。 感染症は軍事の問題ではなく、国民の命に関わる問題であり、国の主権が問われる。この機会に変えることができなければ、国は国民を守る力がないということになる。(安全保障論) 日米地位協定 見直し考えず 【東京】林芳正外相は13日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見し、在日米軍の新型コロナウイルス感染拡大を巡り、在日米軍が周辺自治体へ感染を拡大させた要因である可能性は否定できないとの考えを示した。日米地位協定の見直しは否定した。 林氏は、日米外相会談や外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)などを通じ、米側に感染防止を求めてきたと説明。その結果、9日の日米合同委員会共同声明につながったとし「声明で終わりではなく、今後も随時緊密に協力する」と述べた。 日米地位協定の見直しについては「それぞれ個別に、小回りの利く形で対応してきている」とし、これまでと同様、地位協定は改定せずに対応していくとの考えを示した。 対中国に関しては「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていく」と強調。同盟国の米国とも認識を擦り合わせて対応していくことが重要とも指摘した。 |
対中国に関しては「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていく」と強調するのなら、同盟国の米国に対しても、認識を擦り合わすなどと訳の分からない実効性のないことはせずに、毅然と「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めて」ほしいものである。
ところで、元米海兵隊太平洋基地政務外交部次長で政治学者のロバート・D・エルドリッヂは、「日米間に透明性も信頼も説明責任もない」と、興味深い記事を投稿していた。
「コロナ感染拡大、『在日米軍基地』が日本の要請を遵守しない構造的理由」
ここ数週間、在日米軍は、兵士や軍属のコロナ感染への対応や日本政府の関連要求への遵守の欠如について、厳しい監視と正しい批判にさらされている。 12月下旬、林芳正外相は22日、リッキー・ルップ在日米軍司令官に状況の改善を伝え、1月6日の電話会談で米側のアントニー・ブリンケン国務長官にさらに強い要請をしなければならなくなった。ブリンケン氏は「米軍基地周辺の地域住民の健康と安全は米国にとって重要だ」という趣旨の回答をし、日本の要望を国防総省に説明すると答えたという。 しかし、言うだけでなく実際に行うことが大切だ。米軍は口で言って行動が伴わないという長い歴史がある。そのため、米軍が日本国内の法律や規制に従うよう、1960年に締結した日米地位協定の改定を求める声が再燃している。 日本に住んだことも兵役に就いたこともないブリンケン氏は、このような不履行や遵守違反の歴史に気づいていないのだろう。オースチン国防長官も、このような歴史や、順守を難しくしている日米関係の構造的な問題を知らないのだろう。 ■提供する情報より多くの情報を隠している 対処すべき構造的な問題には次のようなものがある。 第一に、基地と日本政府、そして基地を抱える自治体や県との間に、透明性、説明責任、信頼が著しく欠如していることである。米軍はプライバシーの問題や運用上の懸念を理由に、提供する情報より多くの情報を隠している。これは正当化できる時もあるが、そうでない場合も多い。 これと関連して、日本政府と基地を抱いている地方自治体の間に透明性、説明責任、信頼が欠如していることが挙げられる。中央政府は、自国民を守ることよりも米軍を批判から守ることに関心があると、地元は見ている。これが大きな摩擦を生んできた。 もっとも、この摩擦は米軍とは直接関係ない場合もある。市長や知事が当時の与党と異なる政党やライバル政党の出身であったり、派閥力学や既得権益が政策に絡んでいたりすることもある。あるいは、特定の施設に関する長年の問題があり、対処が困難な場合もある。 しかし、透明性、説明責任、信頼がなければ、日米同盟は国民の全面的な理解、協力及び支持を得られないというのが結論である。 ■コロナ検査拒否の心理 第二に、コミュニケーションが不足し、情報の共有化が遅れていることだ。信頼関係がなければ、コミュニケーションは難しい。逆も言える。コミュニケーションが足りなければ信頼関係の構築は難しい。さらに、前述のような理由から、米軍は不必要に情報共有を躊躇うことが多い。 沖縄県が最近行った要請の一つは、新たな感染者の中にオミクロン変異体を持つ者がいるかどうかを判断するために、基地がゲノム解析を行うことであった。新聞報道によれば、米軍当局は、沖縄でそのようなテストを行うのに必要な設備がないと言って、これを拒否した。 一方、沖縄県側が分析を行うことを申し出たが、米軍は、個人情報を保護する必要があるとして、拒否したという。簡単な回避策(氏名など個人を特定できる情報を試料から分離するなど)を話し合ったかどうかは不明である。 感染者が本当に基地内に限られているのであれば、それもありかもしれない。しかし、彼らの多くは、日本人従業員とともに働き、食事をしている。さらに、感染者の中には基地外に住んでいる人もいる。実際、基地で働く日本人やアメリカ人の民間人は、基地外の地域社会で暮らしている。 残念ながら、米側は、個人情報の保護(テロや政治的暴力に対する懸念など「戦力保護」の理由)を理由に、地元自治体に名前や住所などを提供していない。 しかし、情報を提供しないことで、その地域の活動に十分に参加できなかったり、防災訓練や地域のイベントなど重要なことを知ることができなかったりと、軍属の本人にとっても不利益が生じる。その結果、地域社会とのつながりが希薄になり、基地が名目上謳っている「良き隣人」など地域社会との良い関係を深めるという目的とは逆行することになる。 自治体の立場からすると、地位協定の関係者には、それ以外の一般の在日外国人のように、自治体への住民登録する義務がないため、誰が住んでいるのか分からないのは不安であり、納得し難いことなのだ。つまり、米側はプライバシーなどの問題から情報を共有しない権利を主張するが、自治体側が自分たちの管轄内に誰が住んでいるかを知る権利を主張するのは、確かに間違ってはいないのである。 また、コロナへの対応についても、情報共有がなされていない。私は早くから日本語でのインタビュー記事で、日本、特に沖縄県内の基地と地域社会がコロナのあらゆる面で協力し、必要なら膨大な基地内に一時的な隔離施設などを設置することを呼びかけてきた。フェンスは物理的な侵入を防ぐことはできても、ウイルスの蔓延を防ぐことはできないので、隣人である基地と地元は必然的に協力する必要がある。報道がないため、実際に協力したどうかはわからない。 皮肉なことに、一般的に在日米軍では4軍(米陸軍、米空軍、米海軍、米海兵隊)間でも方針が異なることが多い。さらに、日本本土の基地と沖縄の基地とでは、政策や手続きも異なるので、さらに混乱する。 ■このままだと地位協定改定圧力 第三に、言語と文化の壁というまさに構造的な問題がある。残念ながら、米側には日本の担当者と効果的に仕事をするための言語能力と文化的理解を備えた職員がほとんどいない。 第四に、コロナへの対処は、我々全員にとって新しい経験であり、それ自体が構造的な問題である。しかし、同盟国でありながら、必要な言語能力、専門知識、コミュニケーション、そして信頼がない状態でそれを行うことは、より困難である。 最後に、これを克服するために、私は以前からお互いのオフィスに連絡官(リエゾンオフィサー、LNO)を配置することを長年提言してきた。すなわち、各地にある防衛省の防衛局が近隣の基地や上位司令部に連絡官を配置し、適宜情報を共有・収集し、米側が希望すれば、防衛局などの事務所に担当官や文官を配置することが考えられる。 成功すれば、また望ましいと判断されれば、受け入れ先の県や市町村にも拡大して、基地との間で相互派遣することができる。 米軍によるコロナ感染への度重なる不適切な扱いに対する懸念の高まりに、日米両政府が積極的に対処しなければ、日米地位協定の改定を求める声は必至だ。私自身はそれに反対しているわけではない。私は、これまでにも、米軍人と日本人女性との間に生まれた子供の父子関係や、日本人従業員のパワーハラスメントの未解決事件などを取り上げてきた。 もし地位協定を改定するのであれば、20年前に私が示した3つの「原則」に従うべきだろう。 1) 改定は日米関係を強化するものでなければならず、弱めるものであってはならない(つまり、関係を永久に損ねるほど政治的なものにすべきではない)、2) 改定は最高水準の人権/市民権と環境法を反映したものでなければならず、単なる主権争いであってはならない(つまり、主権をめぐる戦いにすべきではない)、3) 基地を抱える自治体や県が望む透明性を確保するために、自分の地域の基地が議論されている場合は、隔週で開かれる日米合同委員会を傍聴できるようにすることである。 これらの条件は、20年後の今日でもコロナの中で非常に有効である。 日米両政府はこれ以上、これらの問題を放置してはダメだ。アメリカ政府の誠意、そして日本政府の努力ともに足りなすぎる。国民はこのことをよく見ている。 |
地位協定の改定における3原則は国内からも米国側からも聞こえてこなかったことである。
言い換えれば、日米関係を永久に損ねるほど政治的なものにしないで、また、日米間で主権をめぐる戦いにせずに、豊富なコミニュケーションと情報の共有化により双方の信頼性を醸造し以下の3原則に従って改定を試みるべきであろう、とオジサンは思う。
1) 改定は日米関係を強化するものでなければならず、弱めるものであってはならない
2) 改定は最高水準の人権/市民権と環境法を反映したものでなければならず、単なる主権争いであってはならない
3) 基地を抱える自治体や県が望む透明性を確保するために、自分の地域の基地が議論されている場合は、隔週で開かれる日米合同委員会を傍聴できるようにすることである。