新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

企業が作らせた労働組合は誰のため?

2018年11月22日 11時13分20秒 | 労働組合

その昔、紡績女工と呼ばれた繊維労働者を組織化した大正時代の「友愛会」、後の「労働総同盟」から始まり、戦後すぐから結成された「全繊同盟」は、「人権スト」として知られる近江絹糸の大争議を支援していた。
 
そして、全繊同盟には高度成長期に流通産業など新しい業種が加わるようになり、組織名をカタカナの「ゼンセン同盟」に変更し、2002年9月19日に「全化同盟」「一般同盟」を主軸とする「CSG連合」と組織統合して「UIゼンセン同盟」となり、2012年11月6日に百貨店の労組を中心とするJSD(サービス・流通連合)と統合して「UAゼンセン」となった。
 
組織拡大運動も積極的で、正社員以外のパート、派遣など「非正規労働」の組合員や、クラフトユニオンなど、職能別の組合員を増やしてきており、連合の中でも、時代に適応して伸びてきた、ほとんど唯一の労働組合と言われており、現在では正社員以外の組合員が半数を占めている。
 
それでも、外から見ればUAゼンセンは連合内での最大産別で、旧同盟・民社系の労働組合団体である。
 
少々、長々と連合傘下の産別労働組合の歴史を書いてきたが、「連合の中でも、時代に適応して伸びてきた、ほとんど唯一の労働組合」でありながら、、国民の過半数が9条改正に反対する中で、実は、「最大産別のUAゼンセン、改憲論議推進を表明 9条念頭」という労働組合でもある。
 
そもそも「連合」というナショナルセンターは、社会党系の総評(公務員労組中心、日教組・自治労など)と、民主社会主義と反共を掲げ、自衛隊や日米安保、日の丸・君が代、原発に賛成していた民社党系の同盟(民間労組中心)という、まさに水と油の関係の2つの組織と、中間派だった中立労働組合連絡会議(中立労連)、全国産業別労働組合連合(新産別)の労働4団体によって結成された基本政策のすり合わせをしないままに統一された組織ともいえる。
 
基本は正社員で構成される「企業内労働組合」の集合体であり、一定の組織人員の労組をまるごと傘下に収める組織拡大戦略が基本である。
 
とりわけ構成団体の「同盟」は1970年代後半から1980年代にかけて、新たに結成された労働組合つぶしを先頭に立って行い、特に個人加盟労働組合に対しては徹底的に企業側の手先となって、社内に「第2組合」と呼ばれる企業内組合を作りあげていたという暗黒の歴史を作ってきた。
 
こんな負の歴史を持つ連合傘下に入った労組結成という、昨日の朝日新聞の「3分の1が外国人、『日高屋』労組結成 組合員9000人、大半が非正社員」という記事を読んで違和感を感じてしまった。
 
従来ならば、労働組合の結成は時間をかけて準備して、一定の人数が集まった段階で会社に対して「労組結成通知」を出して、団体交渉を申し入れるということが一般的であった。
 
ところが、朝日新聞記事によると、「店舗網の拡大による従業員数の増加を受け、社内で労組の結成が長く検討されていた」ということは、端から企業側が労組結成を望んでいたということになる。
 
さっそくオジサンは昨朝、こうツイートした。


大したフォロワーもいないオジサンのツイートに実に多くの人が興味を持ってくれた。
 

 
「クロネコヤマトの宅急便」の生みの親であるヤマト運輸元会長の故・小倉昌男。
 
小倉は社長になるまでは、労働組合を嫌っていたというのも、怠け者が賃上げを要求するためのものと思っていたからである。
 
しかし、社長になったら、会社にとっては必要であっても、自分にとっては耳の痛い情報はパッタリと入ってこなくなった。
 
それは当然の話で、うまくいっていないと言ったら、自分の出世がおぼつかなくなってしまうからである。
 
では、そういう情報はどこに集まるのか?
 
それを考えて小倉は労働組合だと思いついた。
 
以来、組合のトップと非公式に会う機会をつくり、経営に役立てたという逸話は有名である。。
 
その経験を踏まえて言った小倉の至言をオジサンは今でも思い出す。

労働組合は企業の病気を知らせる神経だ」 
 
「日高屋」の経営者がこんな気持ちで労組を結成させたのなら少しは見直すのだが、きっとダメだろうな、とオジサンは思う。  
 


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