新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

国の不祥事は絶えず隠蔽されている

2023年07月27日 12時29分14秒 | マイナンバーカード

2011年、東日本大震災による大津波に伴う福島東電第一原発の原発震災から4か月余り経ったころ、オジサンは妻と伊豆の修善寺まで車でいったのだが、まだまだ震災の影響により町はひっそりしていた。
 
その晩泊った宿で タイミングよくサッカーの第6回女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会の決勝日本時間18日)を見ることができた。
 
大輪のなでしこ、初の世界一(2011/7/17)
 
圧倒的に体格で優っている米国の選手相手に小柄ななでしこジャパンは果敢に戦い常に先手を取られながら追いつき最後はなんとか追いつき、PK戦になり、最終キッカーの当時20歳の最年少の熊谷が冷静に決めた瞬間、「過去21敗3分けの米国から初勝利を挙げたという信じられない光景を見ることができた。
 
その後多くの国の女子サッカーもなでしこ同様のパスサッカーを身に着け苦難の時代を迎えた。

それから12年、熊谷がキャプテンになり「新生なでしこシ゛ャパン」が復活の兆しを期待させる活躍をしていた。
 
グループリーグ突破も確定、猶本・藤野のゴールで快勝したなでしこジャパン

■スタメン4人を入れ替え
なでしこジャパンがW杯でグループリーグ2戦連続の勝利を決めた。26日午後にニュージーランド南島のダニーデンで北中米代表のコスタリカとC組の第2戦が行われ、なでしこは2-0で2連勝を飾った。
 コスタリカは昨年7月の北中米予選で4位となりW杯出場権を獲得。2015年以来のW杯2度目の出場であるが、W杯ではまだ勝利をあげていない。またFIFAランクでも日本の11位に対して36位と格下と見られていた。2017年4月に熊本で強化試合を行っているが、この時には3-0でなでしこが勝利している。
 そのコスタリカとの一戦、なでしこは第1戦のザンビアと同じ3-4-3の布陣で試合に入った。これは7月14日に仙台で行われた対パナマ戦でも使ったフォーメーションであり、どちらの試合も5-0で完勝し、被シュートを共に0本で抑えている。
 しかし、このコスタリカ戦では、池田太監督は先発メンバーを4人代えて試合に臨んだ。左シャドーに猶本光、そして左ウイングに杉田妃和、そしてボランチで長谷川唯と組んだのが林穂之香、DF右に石川璃音に代わって三宅史織が先発出場した。
ワントップのFWは田中美南、そしてシャドーとして藤野あおばと猶本光、左右のウイングに杉田と清水梨紗、Wボランチがエースの長谷川唯と背番号10を背負う長野風花に代えて林、DFが熊谷紗希を真ん中にして右が三宅、左に南萌華を置いた。
 コスタリカは前戦スペイン戦のような引いた守備ではなく、攻め上がる姿勢を見せた。15分には敵ゴール前にこぼれたボールに藤野と清水が重なってゴールできなかった。待望の先取点は田中からボールを受けた25分に、左でペナルティエリアに入った猶本がドリブルをして左足を一閃。するとGKの左手に触られながらもゴールマウスに吸い込まれた。
 さらに2分後の27分。右からドリブルで深くえぐった藤野が角度のない所から右足でスーパーシュートを決める。かなり難易度の高いゴールで2-0として前半を折り返した。
■スペインのザンビア戦勝利でなでしこのグループリーグ突破決定
楽勝かと思われた展開だったが、後半になるとになでしこは攻めあぐんでしまい、結局無得点で終了することになった。それでもコスタリカの攻め脅かされる場面もなく、目標の勝ち点3を獲得することができたのは大きい。
 試合後、池田監督はこうコメントした。
「守備陣も良くて勝てて良かった。スタメンを4人代えてもなでしこの選手は誰がでてもできるのが強みだと思っています。相手に対し対応能力が高いのが勝因でしょう」
先取点をあげたW杯初出場の猶本光は、笑みを交えながらこう語った。
「いいボールが(田中美南から)来て決められて良かった。嬉しかった。チームに貢献できてよかった」
日本vsコスタリカ戦の終了後、C組では勝ち点3を持つスペインがザンビアと対戦、5-0で完勝した。
 これでなでしことスペインのグループリーグ突破が決まった。
■スペインとのグループリーグ最終戦の行方
 日本はそのスペインと、31日にグループリーグ最終戦で対戦することになる。そこでC組の1位か2位かが決定するが、それによって次戦の相手が変わってくる。
 次の対戦相手はC組の1位2位がA組の1位2位とたすき掛けで試合が組まれることになる。つまりC組の1位はA組の2位と、2位はA組の1位と対戦することになる。
 A組はノルウェー、スイス、ニュージーランド、フィリピンがいるが、開幕戦でグループの中で一番強いと見られていたノルウェーが開催国のニュージーランドに0-1で黒星を付けられるという波乱があった。
波乱はさらに続いた。W杯初勝利で勢いのあるはずのニュージーランドが次戦のフィリピンにまさかの敗戦、26日現時点では勝ち点はスイスが4、ニュージーランドとフィリピンが3、ノルウェーが1となっている。
 なでしこがスペインとの最終戦を行う7月31日の前日の30日がA組の最終戦が同時刻で行われて順位が決まるが、まだ順位の予想はつかない。それを確認してからスペイン戦が行われるので、場合によっては、与しやすいチームとの対戦を選べる可能性もある。ただこのベスト16同士の試合は、A組のどのチームが出てきても突破できるように思う。
 問題は、前の記事でも指摘しているように、準々決勝あるいは準決勝でE組にいるアメリカと対戦することが確実視されていることだ。なでしこが好調さを維持しながらアメリカ戦を迎えることができれば、上位進出も見えてくる。
 2011年以来の優勝をぜひつかみ取ってもらいたい

 
 
久々の明るい話題なのだが、『年金大崩壊』『年金の悲劇』により講談社ノンフィクション賞を受賞し年金問題に詳しい岩瀬達哉が、ありえない不祥事をあからさまにしていた。
 
中国にマイナンバーと年金情報が「大量流出」していた…厚労省が隠蔽し続ける「不祥事」の全容
 
■隠蔽され続ける不祥事
改正マイナンバー法」が成立した6月2日以降も、マイナンバーカードをめぐるトラブルが、立て続けに公表されている。
健康保険証と一体化した「マイナ保険証」に、他人のマイナンバーが登録されていたり、マイナンバーと紐づけた公金受取口座が、他人や家族名義だったケース。
さらには他人の年金の記録が紐づけられ、個人情報が漏洩していたほか、別人の顔写真がカードに貼られていたなど、惨憺たる状況だ。
しかし法案成立後に、それまで隠していたトラブルを一気に公表するのは、霞が関でよく使われる手法である。
法律が成立したあととなれば、うるさく騒がれても痛くもかゆくもない。じっと頭を下げていれば、やり過ごせるというわけだ。
だが、このマイナンバーについて、今回以上に深刻な不祥事が起きているにもかかわらず、事の真相を厚生労働省は隠蔽し続けている。
厚生年金の受給者のマイナンバーや個人情報―そこには年収情報さえ含まれる―が大量に、しかも中国のネット上に流出した事案である。
■国会での虚偽答弁の連発
わたしは、旧社会保険庁の杜撰な業務運営によって、5095万件もの年金記録が持ち主不明となった「年金記録問題」が発覚した2007年、社会保険庁を監視する「年金業務・社会保険庁監視等委員会」の委員に任命された。
その後、社保庁を解体し、あらたに日本年金機構を設立するにあたり、同設立委員会の委員に就任。引き続き'21年12月まで日本年金機構を「調査審議」する「社会保障審議会年金事業管理部会」の委員をつとめてきた。
日本年金機構が業務委託した事業者(SAY企画)から、厚生年金受給者のマイナンバーのほか、住所、電話番号などの個人情報、さらには所得情報までが中国のネット上に流出したのは、わたしが年金事業管理部会の委員在任中のことだ。
この流出問題を調査する「検証作業班」が、同管理部会の中に設置された際、わたしも4人の検証委員のひとりとして調査にあたってきた。
検証作業班」での調査は約1年半におよび、その過程で判明したことは、機構と厚労省年金局が国権の最高機関である国会で、虚偽答弁を繰り返していたという驚くべき事実だった。
日本年金機構と年金局は、「虚構のストーリー」と「欺瞞の論理」で国会を欺き、国民を騙し続けていたのである。その犯罪的行為を、事実をもって集中連載で明らかにしていくことにする。
ただし、委員時代に課せられていた国家公務員法の守秘義務規定は遵守していることをあらかじめお断りしておく。
すべてのはじまりは、'17年12月31日の大晦日だった。
この日、日本年金機構の「法令等違反通報窓口」に2通のメールが届いた。
■メールの中身は、まさかの…
「最近中国のデータ入力業界では大騒ぎになっております。
『平成30年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』の大量の個人情報が中国のネットで入力されています。普通の人でも自由に見られています。一画面に受給者氏名、生年月日、電話番号、個人番号(マイナンバー)、配偶者氏名、生年月日、個人番号、配偶者の年間所得の見積額等の情報が自由に見られます。
誰が担当しているかはわかりませんが、国民の大事な個人情報を流出し、自由に見られても良いものでしょうか? ネットからハードコピーを取りましたが、アップできませんでした。残念です。
対策が必要と思います。
宜しくお願い致します」
この23分後、通報者は「念のため、(アップできなかった)ハードコピーの情報を送りいたします(原文ママ)」と前書きしたのち、年金受給者の氏名、マイナンバーなど15項目にわたる個人情報を書き写した2通目のメールを送信している。
ここで通報者が言っている「平成30年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」というのは、年金の受給者が日本年金機構に提出した確定申告書類の一種である。
'17年に大幅な税制改正があったため、日本年金機構では翌年の厚生年金から所得税などを源泉徴収する「税額計算プログラム」を作り直す必要があった。そこで、厚生年金の受給者約3506万人のうち、課税が免除されている障害年金や遺族年金などの受給者を除いた約770万人にプログラムの作成に欠かせない「扶養親族等申告書」を送付し、指定のとおり記入したうえ返送するよう求めていた。
返送された「申告書」は、機構が業務委託契約を結んだSAY企画がプログラムへの入力をおこなうはずだった。ところがその業務を、中国のデータ処理会社に再委託していたのである(再委託の件数は、約501万件とされる)。
SAY企画による中国への再委託が発覚後、一連の処理に従事していた機構の梅林芳生・給付業務調整室長は、わたしに言った。
「1月4日の仕事はじめの日に、このメールのことを知って、たいへんな事態だというのですぐに動き出した」
そう、「通報メール」に記載されていたのは、すべて実在する年金受給者の正しい個人情報であった。
■特別監査の実施と事件の露呈
それを確認するや、このメールを印刷したペーパーには「取扱厳重注意」と「配付者限り」のスタンプが押され、日本年金機構の水島藤一郎理事長に報告されている。
その後の水島理事長と年金局の動きは、メールの隠蔽と都合のよい説明を作りだすための工作に費やされている。順を追って見ていくことにしよう。
'18年1月5日に水島理事長は、年金局と今後の対応策を協議。翌6日の土曜日には、抜き打ちでSAY企画への特別監査を実施した。
この時、SAY企画の切田精一社長は、契約に違反して中国大連市のデータ処理会社(大連信興信息技術有限公司)に「申告書」の入力作業を再委託していたと、あっさり認めている。
「申告書」の入力業務は個人情報を取り扱うため、機構では再委託を禁止している。にもかかわらず無断で、しかもよりによって中国への再委託をおこなっていたことに、水島理事長と年金局の幹部たちは震え上がったはずである。
特別監査から4日後の1月10日には、「機構の情報セキュリティー対策」を担当している日本IBMに依頼し、SAY企画へのさらなる立ち入り調査を実施。作業室やサーバー室などのシステム面を調べあげたのち、駆け足ながら2泊3日で中国の再委託先をも訪問させていた。
大晦日の「通報メール」から約3ヵ月後の、'18年3月20日、機構は謝罪会見を開き、SAY企画が「申告書」を中国に再委託するという不正を働いていたと公表した。
この謝罪内容を、政党機関紙の「しんぶん赤旗」が前日の19日にスクープし、NHKと共同通信も示し合わせたかのように報じたため、20日の朝から国会は混乱した。
「申告書」が中国に再委託されていたことを知って、年金受給者の個人情報が流出したのではないかと心配する国会議員の質問があいついだからだ。
■なぜ氏名だけを切り出したのか
約10日間にわたった衆参両院での集中審議で、水島理事長は終始落ち着いた調子で答えている。
「中国の業者の監査をIBMとともに行っております。その結果でございますが、委託をしておりました内容は、いわゆる切り出しました氏名の入力でございました。加えまして、調査をいたしました結果、個人情報等の流出のおそれはないというふうに判断しております」(参議院予算委員会・3月20日)
厚労大臣官房の高橋俊之年金管理審議官もこう断言した。
「SAY企画は、入力業務の再委託を行っておりました。しかし委託した業務の中には、マイナンバーでございますとか住所でございますとか、さまざまな所得額でございますとか、そういうものは一切含んでいないものでございます」(衆議院総務委員会・3月22日)
彼らがこの日までに練り上げていたシナリオは、SAY企画が中国に再委託していたのは「申告書」そのものではなく、そこから切り出した「氏名とフリガナ」だけであり、年金受給者の個人情報もマイナンバーも流出していないというものだった。
ではなぜ、氏名だけを切り出したのか。
この質問を待っていた水島理事長は、滔々と述べている。
「SAY企画に確認をいたしましたところ、氏名の入力については、OCR(光学式文字読み取り装置)の読み取り精度が低いことから、これを補完するため再委託を実施したということであります。
そのため、入力作業に必要となる申告書の漢字氏名及び仮名氏名部分を、トリミングと言っておりますが、切り取った画像を再委託事業者に提供していたということでございます」(衆議院厚生労働委員会・3月28日)
「申告書」は先にも触れたように、「税額計算プログラム」を作成するための基礎資料である。
契約では、SAY企画が雇用したオペレーターが、記載された個人情報やマイナンバーを手打ちで入力し、プログラム化することになっていた。
ところがSAY企画は、オペレーターではなく、OCRを使って記載内容を読み取らせ、プログラムに流し込んでいた。
ただ、「氏名とフリガナ」だけがOCRで正確に読み取れなかったので、この部分だけを切り取って、中国に送り、向こうで入力させていたというのが、水島理事長の説明だ。
これが事実なら、個人情報は流出していないことになる。
しかし水島理事長の、この国会答弁は完全な虚偽である。なぜ筆者は、この答弁が完全な虚偽だと断言できるのか。その真相を、『 「年金の申告書」をスキャンして中国に「丸投げ」…?日本年金機構がひた隠す「ヤバすぎる個人情報流出」の実態とトップが取材で語った「虚飾のストーリー」』で明かそう。
 【続き】
年金の申告書」をスキャンして中国に「丸投げ」…?日本年金機構がひた隠す「ヤバすぎる個人情報流出」の実態とトップが取材で語った「虚飾のストーリー
 
■理事長のウソ
まさか、国会で堂々と嘘を述べるなど、誰も想像すらできない。個人情報の流出をなかったことにしたかった、機構と年金局のひねり出した「虚構のストーリー」が、この説明だった。
では、なぜ、水島(藤一郎日本年金機構)理事長の説明が虚偽と断言できるのか。
「税額計算プログラム」の作成プロセスを検証すれば、機構と年金局の「虚構のストーリー」を簡単に見抜くことができる。
「申告書」には、あらかじめ機構が保有する前年の個人情報が一人ひとり印刷されている。当然、「氏名とフリガナ」も、大きなゴチック体で印刷されているのである。
受け取った年金受給者は、それら印刷内容に誤りや漏れがないかをチェックし、訂正や追加すべき事項があれば、指定の箇所に手書きで補正し、機構に送り返す。
たとえば生年月日が間違っていれば、二重線で消したのち、余白部分に正しい生年月日を記入するのだが、この余白の幅は、わずか5mm程度でしかない。
また、配偶者や扶養している親族に障害がある場合、「申告書」の裏面に設けられた「摘要欄」に必要事項を手書きで記入することになっている。
「記入の具体例」は、次のように記入するよう求めている。
「年金陽子は、身体障害者手帳(平成22年4月1日交付、2級)」
さらに別居している場合は、「年金陽子の住所は、東京都〇〇市△△ 〇丁目×番〇号」と記入するのである。

この「摘要欄」のスペースも「タテ2cm×ヨコ11cm」と限られていて、人によっては、びっしり手書き文字で埋まってしまう。
先の水島理事長の国会答弁は、ゴチック体の活字で大きくきれいに印刷された「氏名とフリガナ」のみが読み取れなかったとするものだ。ということは、わずか5mm程度の余白に訂正した数字や、「摘要欄」に「小さな手書き文字」で書き込まれたさまざまな個人情報は、OCRで正確に読み取れたことになる。
逆ならわかるが、ありえない話である。
百歩譲って、水島理事長が答弁したとおり、OCRでこれら手書きの文字が読み取れていたとしても、それだけではまだプログラムは作成できない。
プログラムの作成には、機構の「入力コード」を使い、厳格に定められた「入力位置」を守らなければならないからだ。
■さらなる複雑な入力作業
平成30年の「申告書」の場合、プログラムの先頭には、まず「730」と入力することになっている。この数字は、「申告書」には記載されていないため、オペレーターによる手入力が必須となる。
ちなみに「7」は平成をあらわす入力コードで、「730」は平成30年の「申告書」であることを示している。
続けて「基礎年金番号」「年金コード」などの4項目の入力位置が設定されているが、この4項目は「入力不要項目」として、機構で処理することになっている。そのため、オペレーターは、空欄を意味するコンマを4つ打ち込むのである。
さらにこの4つの「入力不要項目」のあとに、「年金証書記号暗号番号」や「生年月日」などを入力するのだが、OCRで読み取っていたとしても、その数字をただ流し込めばいいというわけではない。
たとえば大正10年10月28日生まれの人は、機構の定めた「入力コード」に従い「3101028」と入力しなければならない。先頭の「3」は大正を示す「入力コード」で、昭和生まれは「5」、平成生まれは「7」を、それぞれの生年月日の先頭に配置するのが、プログラム作成のルールである。
このあとに続く、電話番号や申告書コードも「入力不要項目」として、コンマのみの入力となる。上の図で見ると、「申告書」の該当年である「730」(1)から10項目めに、はじめて配偶者のフリガナと漢字氏名を入力するのだが、前者は「半角文字」、後者は「全角文字」で打ち分けなければならない。
まして「摘要欄」に手書きで記入された住所と他の情報は、分離したうえ、住所は「住所欄」に、その他の情報は「扶養親族摘要欄」に別々に流し込まなければならない。
このような複雑な作業は、オペレーターが「申告書」の内容をひとつひとつ視認しながら入力しないことにはできないのである。
■「ソフトは廃棄された」
それでもなお、OCRでこの複雑な作業をこなしていたとするなら、少なくともOCRで読み込んだ数字を「入力コード」に転換するソフトや、入力不要項目をコンマに置き換えたり、その他の個人情報をプログラムの指定位置に正確に流し込める、複数のソフトが開発されていなければならない。
「税額計算プログラム」の担当部署である給付業務調整室の給付企画グループは、そんなソフトは確認していないと述べたあと、口を滑らしたことに気づいてか、慌ててこう弁解した。
「OCRで読み取らせていたとすれば、僕らが理解してないだけで、そういうプログラムを作ったんじゃないかと思います」
また、年金局の事業企画課の担当者は、SAY企画に特別監査で入った時には、すでにソフトは廃棄されていて、どのようなソフトだったかわからないと述べた。そして、下を向いたまま押し黙ってしまった。
存在しないソフトの確認などできない以上、苦し紛れに、こう語るしかなかったのだろう。
■すべてのデータが流出
では、SAY企画は、何を中国に再委託していたのか。
「氏名とフリガナ」を切り出すソフトの存在すら示すことができないうえ、OCRで読み取ったとする多種多様な個人情報やマイナンバーを、プログラムの指定された位置に正確に流し込むことが不可能な以上、行きつく合理的結論はひとつしかない。
SAY企画は、「申告書」をスキャナーで画像データ化したのち、それをそっくりそのまま中国に丸投げしていたことになる。
この恐ろしい事実を隠蔽するため、「氏名とフリガナ」だけを切り出し、中国に送っていたという「虚構のストーリー」を捻り出していたわけだ。
国会での集中審議が一段落したあと、機構の理事長室を訪ねたわたしに、水島理事長はこう零していた。
「今回の件は、厚労省から機構に出向で来ているキャリアが悪い。彼らは、実務を知らないのでまともな判断ができない。機構のプロパー職員で、この業務の責任者であった福井隆昭(給付業務調整室長)の違反行為を、彼らは誰ひとりチェックできていない。
それをいいことに福井は、SAY企画の契約違反を承知で、業務開始のOKを出した。これは犯罪行為だ。福井には厳しく対応する。降格させる」
このあと、わたしは年金局の事業企画課に、福井室長へのヒアリングをセットするよう何度も要請したが実現しなかった。福井室長はまだ定年という年齢ではなかったが、'18年7月31日付で退職してしまったからだ。
■たすべき理事長の責務
先の理事長室での会話から約1週間後、水島理事長はわたしの携帯に電話をかけてきて、こう言った。
「昨日までは、まったく動けなかったが、今日は家で仮眠し、これから出かけるところだ。うしろから銃で撃たれてはたまらない。しかし冥土のみやげのつもりで頑張る」
いまにして思えば、国会で嘘をつき続けるという宣言であったのだろう。ある意味、気の毒な役回りを押し付けられていたわけだが、それを引き受けたということは、コンプライアンス意識を捨て去ったということでもある。
日本年金機構のトップの務めは、事案を正確に公表し、国民への注意喚起をはかり、制度への信頼性を高めるものでなければならない。
その義務を果たすことなく、年金官僚たちの保身と小心の手助けをしたことの罪は重い。まさに犯罪行為そのものだろう。
水島理事長は、このまま知らん顔を決め込み、頬かむりを続けるつもりなのか。
自宅を訪ね、何か言い分があれば伺うと伝えたものの、過去の虚偽答弁を繰り返すだけだった。
(機構職員や年金局の官僚たちの役職は当時のままとした)


 
「個人情報を取り扱うため、機構では再委託を禁止している」という当たり前のルールを平然と破るという信じられないことが常態化しているということから、日本のデジタル化は遠い将来の話かもしれない、とオジサンは思う。 
 
 
  

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