国内でも、小規模ながらも各地で「戦争反対」というプラカードを持ったデモが起きている。
一切の人的被害が皆無で単なる領土の取り合いならば「戦争ゲーム」であり、負けたほうが「リセットボタン」を押せばまたやり直せる。
しかし、自国を守るという意識が強ければ当然殺戮が発生することは過去の歴史からも明らかである。
さらに「正義のための戦争」などは存在しないものなのだが、かつての帝国陸軍は大元帥の昭和天皇の下、「聖戦」として東南アジア諸国に侵略戦争を仕掛けたのだが、敗戦後は反省が全くなく、最大の「戦犯」を国体として守ってきたことも事実である。
最近では「狂人」とまで言われているロシアのプーチン大統領が9日、クリール諸島(北方領土と千島列島)に免税特区を設置するための法改正案に署名し、成立したという。
日本がロシアへの経済制裁を発動したことに対し、北方領土の実効支配を強める腹積もりなのだろうが、こんな事態に関連して、煽りメディアは、「ロシア北方領土『特区法』成立で安倍元首相が大失態…岸田首相の“嫌がらせ"にイライラMAX」とか、さらには、「突き付けられた究極の選択 ウクライナ玉砕か世界大戦か」と国民の不安を掻き立てるかのような記事を発している発している。
したがって、こんな批判をされるのは当たりまであろう。
コロナ騒動で無邪気な追随報道で散々な目にあったはずなのに。懲りずに今度はウ問題でまたもやの醜態。すぐに結果がわかってしまうかも知れないが。 https://t.co/jaaUZIzELQ
— 石田博美 (@ingnow_hiro) March 11, 2022
国内テレビメディアが毎日垂れ流している映像では、ウクライナ国内で地下シェルターに避難し身を寄せている家族の映像が紹介されている。
かなりしっかりとしたコンクリート造りのシェルターらしく、大量の食糧も蓄えられている。
こんな映像からは先月24日から開始されたロシアの侵攻を予測して準備されたものであることが容易に想像つく。
ところがこのようなシェルターが造られたときは想定していた「敵」は、ロシアではなかったという。
パリ大学博士・歴史学者の世川祐多がキエフの地下シェルター事情を紹介していた。
「旧ソ時代に建設。ウクライナの地下シェルターが想定していた敵」
■キエフのシェルター ニュースは当たり前のように「キエフの人々がシェルターに潜っている」と言う。 しかし、今東京に空爆があるとして、まさか昔の防空壕が残っているわけもないのだから、いまいちピンと来ず、キエフのシェルター事情は一体どうなっているのかと思う人は多いと思う。 フランスの公共サービス、ラジオ放送局であるラジオ・フランスが運営するラジオ・ネットワークの「「France Info」によると、キエフのシェルターは、何も今回のロシアからの空爆を見越して、硫黄島の地下壕のように急造されたわけではなく、旧ソ連時代に西側諸国からの攻撃に備えて作られたもので、その数は5,000を数えるという。 いかに、ウクライナが地政学的に、西と東の最前線にいるのかということを思い知らされる。パリにはカタコンブやメトロはあっても、シェルターというのは見たことも聞いたこともない。東京に地下街はたくさんあるがシェルターはないであろう。 まさかロシアからの攻撃に使われることになろうとは、シェルターも思わなかったに違いない。 そして、全部が全部そうではないだろうが、日本の戦時中の座れるだけの防空壕というより地下居住空間的なものまであり、ついこの間までの平和な頃には、バーやレストランに改造されて営業されていたものもあるそうだ。 |
そういえば、たまたまテレビで紹介されている地下のシェルター内の様子からは、生命を脅かされる逼迫感ではなく、「なんでロシアが私たちを攻撃しているのだろう」という戸惑いの表情がうかがわれた。
国際政治経済学者で前参議院議員の浜田和幸は欧米とロシアの情報戦の現在のウクライナをめぐる情勢をこんな風に、見立てていた。
「プーチンは救世主?ウクライナ元首相が衝撃発言。欧米・ロシアの情報戦で見えぬ真相」
■情報戦で真相が見えない ウクライナ危機の真相を見極めるのは容易なことではありません。 なぜなら、ロシア側も、ウクライナを支援するアメリカ側も、手練手管の情報戦を展開しているからです。 いわば、米ロという核超大国による「見えないミサイル合戦」と言っても過言ではありません。 もちろん、戦争はあってはならない行為です。 しかし、現在進行中のウクライナでの悲惨な戦争に世界の耳目が釘付けになっていますが、イエメンはじめ世界各地では相変わらず民族紛争や血なまぐさい戦争が継続しています。 ただ、主要メディアが大きく報道していないだけなのです。 日本におけるウクライナに関する報道は欧米メディアの影響を強く受けており、ロシアを「悪の帝国」、プーチン大統領を「精神異常の独裁者」と見なすようなものが主流となっています。 とはいえ、インターネットの時代であればこそ、そうした欧米メディアとは異なる情報にも接することができ、双方の見方の違いを知ることもできるのです。 ■「プーチンは恩人」ウクライナ元首相がFacebookで衝撃発言 例えば、ウクライナの元首相のミコラ・アザロフ氏は自らのFacebookで衝撃的な情報を相次いで発信しています。 曰く「2021年12月からNATOはウクライナへの核武装部隊の派遣計画を始めた。その上で、ウクライナ軍はアメリカと連携し、2月25日にはロシア系住民の多いドンバス地域への攻撃を開始する手はずを整えていた」。 そのことを察知したプーチン大統領は「400万人のロシア系住民を守る決断を下した」というのです。 要は、「プーチン大統領はウクライナに住むロシア系住民の命の恩人」という見方に他なりません。 ■ウクライナ国内のロシア系住民にも危機が迫る 真偽のほどは現時点では不明ですが、事程左様に、ウクライナ内部には多様な見方があるわけで、ゼレンスキー大統領とは異なる声もあることを知る必要があります。 なぜなら、ゼレンスキー政権の意向を反映するウクライナの大手メディアは「ドンバスに暮らすロシア系住民の内150万人は抹殺に値する」といった主張を掲載しているからです。 ■親ロシア派の元首相は命を狙われている? そうした差別的でロシアを敵視する論調に反対してきたのがアザロフ元首相ですが、身の危険を感じ、妻と共に車でキエフからの脱出を図ったところ、途中で狙撃され、車は大破したそうです。 現政権に反対の意見を発する元首相を暗殺しようとする動きでしょうか。 異常ともいえる世界では、ロシアもウクライナも指導者の言動には常軌を逸したものが感じられます。 |
ロシアのウクライナ侵攻に関しては、当初米国のバイデン大統領は静観していたことにより、プーチンは確信をもって戦争をしかけたといわれていた。
しかし戦禍が広がり民間人の死傷者が増えるにしたがって傍観者としてはいられない米国はウクライナへの具体的な支援策に乗り出している。
「米国の136億ドルのウクライナ支援、その中身は?」
(CNN) 米議会で審議が進む大型歳出法案にはロシアの侵攻に抵抗するウクライナ向けの136億ドル(約1兆6000億円)の軍事・人道支援が含まれている。 議会は今週中にこの法案を通過させる予定だ。 法案に含まれるウクライナ向けの金額は、議員たちが数日間にわたって交渉した結果、ホワイトハウスが先週要求した100億ドルから増加した。 ウクライナ支援は、昨年10月に始まった2022会計年度の連邦政府の支出上限を決める歳出予算案に添付されている。議員たちは数カ月にわたって通年の予算案について議論し、その間の政府の運営を維持するために3つの暫定予算案を可決した。 2741ページに及ぶ法案は9日朝に発表された。議会は、政府閉鎖を避けるために、11日の真夜中までにこの法案か別の暫定予算案を通過させなければならない。ウクライナ支援で超党派の支持があることもあって、議員らは法案が期限までに通過すると楽観視している。 ウクライナ支援金の使途 ウクライナに対する136億ドルの支援金は、以下のように使われる予定だ。 軍事援助 下院歳出委員会が出した法案の概要によると、支援パッケージの約半分の65億ドルは、米国防総省が地域に部隊を派遣し、ウクライナに防衛装備を送るのに使われる。 米国はロシアがウクライナに侵攻する前から、そして侵攻後も、欧州全域に数千人の軍隊を配備してきた。しかし、北大西洋条約機構(NATO)非加盟のウクライナに軍隊を派遣することは、米国と西側の同盟国にとって越え難い一線だ。 人道支援 下院歳出委員会が提供したファクトシートによると、40億ドル超がウクライナから逃れた難民や国内で避難生活を送る人々への人道支援、同地域の脆弱(ぜいじゃく)なコミュニティーへの緊急食糧支援や医療、緊急支援を提供する。 経済支援 サイバーセキュリティやエネルギー問題など、ウクライナおよび周辺国の経済的ニーズへの対応に約18億ドルを提供する。 また、同法案では、海外のニュース放送における偽情報に対抗するため、独立した連邦機関である米グローバルメディア局向けの2500万ドルの予算を要求する。さらに1億2000万ドルが、ウクライナの活動家やジャーナリストを支援し、ロシアの人権侵害に対する説明責任を求めるために使われる。 これまでのウクライナ支援 米国は長年にわたりロシアの侵略に抵抗するウクライナを支援しており、14年にロシアがウクライナ東部に侵攻し、クリミアを占領した後、支援を拡大した。 米国務省によると、以来、米国はウクライナに総額56億ドル超の支援を行ってきた。 昨年だけでも、米国はウクライナの民主化と経済発展を支援するために3億ドル超、安全保障支援に6億5000万ドル超を支出した。そのうち約2億ドル(約232億円)は、緊張が高まっていた昨年12月に承認された。 先月ロシアがウクライナに侵攻した数日後には、国務省がウクライナに約5400万ドルの人道支援を行うと発表した。 |
NATO非加盟国のウクライナに米軍を派兵することはできないので、最大限の軍事的な支援をしているのが米国である。
それなりの国力がある米国なので可能な支援なのだが、日本は2015年の安保法制で、解釈改憲によって集団的自衛権の行使を可能にしたことから、そのうちに参戦を余儀なくされる可能性もある。
「安倍元首相に引きずられるように、岸田内閣は無自覚のうちに危険な領域に踏み込んできている。防弾チョッキをウクライナに送るなんて、軍事国家のやることです。憲法で戦争をしないと明確にしている国のすることではありません。ウクライナ対ロシアの戦いになっていますが、実態はバイデン対プーチンの戦争。岸田内閣は、日本国民の生命と安全を守ることを第一に考えれば、全方位に目を光らせながら、平和に生きる道を探るべきなのです」と政治評論家の森田実は警告していた。
1991年の湾岸戦争のとき、米多国籍軍の戦費130億ドルを負担をした日本政府と国民に対してに対して「人的貢献がない」と批判した当時のアーミテージ米国務副長官が日本の柳谷駐米大使に発言したことばが「「ショー・ザ・フラッグ」であった。
通常は「日の丸を見せろ」と翻訳・解釈されているが、日米関係がギクシャクすることを恐れ、その後マスコミを通して「旗色を鮮明にしろという意味だった」とトーンダウンさせ世論の反米化を防いだことがあった。
それから2年後のイラン戦争時、アーミテージは「ショー・ザ・ブーツ」、正確には「ブーツ・オン・ザ・グランド」と叫び「軍靴を履いて戦場に立て」とまで日本政府に迫ったこともあった。
岸田文雄が曖昧な姿勢を続けていると、まさかとは思うが今度は「ショー・ザ・ボディ」、つまり、「戦死者を出すことを恐れるな」「戦死者を出せ」という圧力が米国から起きかねないのでは、とオジサンは思う。