孔枝泳(コン・ジヨン공지영)の「るつぼ(トガニ.도가니)」を今月初め読了した。(「オンマをお願い」に続く2冊目の原書だ。
韓国のポータルサイトDAUM上で昨年11月から連載されていたネット小説で、今年5月完結まで累積照会数1100万を超えるほど注目された作品ということで、6月末に単行本が出されると、即ベストセラーにランクインした。(教保文庫の8月1週総合5位)
私がこの本を読もうと思った理由のひとつは孔枝泳という作家に対する関心である。
2007年「私たちの幸せな時間(우리들의 행복한 시간)」という韓国映画が日本でも封切られた。カン・ドンウォン、イ・ナヨン主演で、死刑囚の男と自殺未遂を繰り返す女性とのコミュニケーションを描いた秀作だが、その原作者が孔枝泳だった。社会的なテーマを多く取り上げている、386世代>の代表的な女性作家だ。(「私たちの~」の執筆のきっかけも、1997年23人も死刑囚の死刑執行のニュースを聞いた時の衝撃だったという。)
ウィキペディアには「延世大学英文科卒。労働運動に身を投じ、収監も経験する。その体験を反映させた短篇小説「日の上る夜明け」で1988年にデビュー」とある。
数ヵ月前、たまたま「私たちの~」の翻訳を手がけた蓮池薫さんのブログをのぞくと、「孔さんは三回結婚なさって、三回離婚されています。そしてお父さんの違うお子さん三人をご自分で育てていらっしゃる」ということや、来日する彼女を空港に迎えに行った時のこと等々が記されていて、さらに興味が増した。
※このブログには、翻訳者として自立するための友人からのアドバイス、その後
翻訳の苦心と努力等々についても興味深く記されていた。「半島へ、ふたたび」
のタイトルで6月単行本として新潮社から刊行。
この本を読もうと思ったふたつめの理由。教保文庫のサイトからのネット通販で購入するつもりでいたが、職安通りのコリアプラザに行ったらあったので手に取って見てみたところ、これまた「オンマをお願い」と同様のミステリー・タッチで、冒頭から引き込まれた、ということ。
さてさて、この「トガニ」の内容だが、これがすごい衝撃作というか、問題作というか・・・・。
老骨にムチ打って始めたこのブログ、昨日今日と、1日分の分量が多すぎですね。(笑)
・・・・ということで続きは明日。
あ、ちょっと付け足し。「トガニ」というと韓国料理「トガニタン」のトガニ、すなわち「牛の膝皿の骨と肉」を思い起こす方もけっこう多いと思いますが、この本のトガニは同音異義で「るつぼ(坩堝)」のことです。
→<孔枝泳の最新作「るつぼ(トガニ)」を読む②>