在日二世の女性・梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督が、10年間にわたって朝鮮総連の活動家だった父を撮ったドキュメンタリー映画「ディア・ピョンヤン」は2006年一般公開されて話題となり、いくつかの映画祭で賞を受けたりもしています。
私ヌルボは、韓国オタク・映画オタクを自任している(?)にもかかわらず、見逃してしまっていましたが、先頃横浜のシネマジャック&ベティで、「よこはま若葉町多文化映画祭」という企画特集の中で上映していたので観てきました。
梁英姫監督自身のナレーションで進行します。
英姫さんは日本で一番の在日コリアンの集住地域・大阪市生野区で育ちました。
彼女の父は大多数の在日と同じく<南>の出身(済州島)。しかし<北>の金日成を信奉し、長く朝鮮総連の幹部として活動してきました。
1972年、英姫さんが幼いころ(6歳?)、3人の兄は帰国船で北朝鮮へ。下の兄は中学生でした。
※北朝鮮帰国事業関係の本を読むと、1959年に始まってから数年後にはもう北朝鮮の実情がわかって帰国者数は急減していったといいます。この父親の場合、内部にいながらもそれがわからなかったのか、疑問が残りました。(総連幹部としての立場もあったのか・・・。)
英姫さんの初の平壌行きは1983年。兄たちとは12年ぶりの再会でした。
祖国の窮状を知った両親は、息子たちにせっせと仕送りを始めます。(その回数と分量はハンパじゃない!)
英姫さんは民族学校に通い、模範的両親の娘として模範的な生徒でしたが、その後北朝鮮への違和感を募らせます。それは父に対する反抗心となります。父を愛してはいても、祖国と金日成に絶対的な忠誠を捧げ続ける一面を理解することができない・・・。
ところが・・・・、
カメラ自身が持つ力、なんでしょうねー。
以前「home」というドキュメンタリー映画が一部で話題になりました。日本映画学校の学生だった小林貴裕さんが「引きこもり」の兄にカメラを向けた映画です。執拗にとりつづける中で、閉ざされていた兄の心が徐々に開かれていく過程に、とても興味を覚えました。
「ディア・ピョンヤン」でも、カメラを向けて撮り続ける中で、お父さんとと英姫さんの関係性が変わっていくんですね。お父さんも、総連の幹部だった人がこんなことを言ってしまっていいのか?ということまで口にするようになります。
この映画は、「在日の家族の生活」「在日の韓国・北朝鮮との関わり」「北朝鮮の今の姿」「朝鮮総連」「北朝鮮帰国事業」等々に関心のある方なら、政治・思想的立場を問わず非常に得るところの多い映画です。
ただ、この映画の<キモ>は家族愛なんですねー。ヌルボが「皆さんにお薦め!」という理由もそこにあります。
映画の最初と最後に収められている娘から父親への<セベトン>(お年玉)のやりとりにも、ホントに気持ちがこもっている感じでよかったです・・・。
この映画は韓国でも上映されました。ネットで検索して観た人の感想をいくつか読んでみましたが、
「なんの事前情報もなく、偶然に観ましたが、後に何も残らない娯楽映画と違い、胸の奥に何か深く考えさせる、また静かな余韻を残してくれる映画でした」「わが韓民族の歴史的傷とその後遺症はまだ現在進行形だという考えがする」等々、至極まっとうなコメントが記されていました。
※シネマジャック&ベティでの上映は終わってしまいましたが、レンタル店でDVDがあると思います。
☆この映画に収められた映像中、<北>の実像を読み解こうという観点からの記事は、別立てで記事をアップします。
私ヌルボは、韓国オタク・映画オタクを自任している(?)にもかかわらず、見逃してしまっていましたが、先頃横浜のシネマジャック&ベティで、「よこはま若葉町多文化映画祭」という企画特集の中で上映していたので観てきました。
梁英姫監督自身のナレーションで進行します。
英姫さんは日本で一番の在日コリアンの集住地域・大阪市生野区で育ちました。
彼女の父は大多数の在日と同じく<南>の出身(済州島)。しかし<北>の金日成を信奉し、長く朝鮮総連の幹部として活動してきました。
1972年、英姫さんが幼いころ(6歳?)、3人の兄は帰国船で北朝鮮へ。下の兄は中学生でした。
※北朝鮮帰国事業関係の本を読むと、1959年に始まってから数年後にはもう北朝鮮の実情がわかって帰国者数は急減していったといいます。この父親の場合、内部にいながらもそれがわからなかったのか、疑問が残りました。(総連幹部としての立場もあったのか・・・。)
英姫さんの初の平壌行きは1983年。兄たちとは12年ぶりの再会でした。
祖国の窮状を知った両親は、息子たちにせっせと仕送りを始めます。(その回数と分量はハンパじゃない!)
英姫さんは民族学校に通い、模範的両親の娘として模範的な生徒でしたが、その後北朝鮮への違和感を募らせます。それは父に対する反抗心となります。父を愛してはいても、祖国と金日成に絶対的な忠誠を捧げ続ける一面を理解することができない・・・。
ところが・・・・、
カメラ自身が持つ力、なんでしょうねー。
以前「home」というドキュメンタリー映画が一部で話題になりました。日本映画学校の学生だった小林貴裕さんが「引きこもり」の兄にカメラを向けた映画です。執拗にとりつづける中で、閉ざされていた兄の心が徐々に開かれていく過程に、とても興味を覚えました。
「ディア・ピョンヤン」でも、カメラを向けて撮り続ける中で、お父さんとと英姫さんの関係性が変わっていくんですね。お父さんも、総連の幹部だった人がこんなことを言ってしまっていいのか?ということまで口にするようになります。
この映画は、「在日の家族の生活」「在日の韓国・北朝鮮との関わり」「北朝鮮の今の姿」「朝鮮総連」「北朝鮮帰国事業」等々に関心のある方なら、政治・思想的立場を問わず非常に得るところの多い映画です。
ただ、この映画の<キモ>は家族愛なんですねー。ヌルボが「皆さんにお薦め!」という理由もそこにあります。
映画の最初と最後に収められている娘から父親への<セベトン>(お年玉)のやりとりにも、ホントに気持ちがこもっている感じでよかったです・・・。
この映画は韓国でも上映されました。ネットで検索して観た人の感想をいくつか読んでみましたが、
「なんの事前情報もなく、偶然に観ましたが、後に何も残らない娯楽映画と違い、胸の奥に何か深く考えさせる、また静かな余韻を残してくれる映画でした」「わが韓民族の歴史的傷とその後遺症はまだ現在進行形だという考えがする」等々、至極まっとうなコメントが記されていました。
※シネマジャック&ベティでの上映は終わってしまいましたが、レンタル店でDVDがあると思います。
☆この映画に収められた映像中、<北>の実像を読み解こうという観点からの記事は、別立てで記事をアップします。