23日は3本の映画をハシゴ。2年ぶりくらいかな?
それも全部韓国映画。10年ぶりくらいかも。
六本木シネマート(「木浦は港だ」)からせっせか歩いて、東京国際映画祭会場の六本木ヒルズへ。
観たのは<アジアの風>中の「よく知りもしないくせに」。
開映前、近くの席で40代ほどの女性同士がおしゃべり。「これで28本目」とか「私もそれくらいかな?」とか「コンペティション部門は全部観たのよ」とか、いいなあ・・・。「招待券もらって・・・」とか、いいなあ。って、私ヌルボもウィークデイの午前から映画3本観られるからいいしゃないか(怒)と言われれば「ごもっとも」とうなずくばかりですが・・・。
「よく知りもしないくせに」の主人公は注目の(?)映画監督ク・ギョンナム。映画祭の審査員として提川(チェチョン)に来て、映画の審査は二の次で後輩やら女優やらと酒を飲んだりケンカをしたり等々。これが前半。
後半はその2週間後。先輩から呼ばれて済州島へ行き、学生相手に自作の上映と講演。そして先輩や学生、さらに昔の彼女とかと酒を飲んだりケンカをしたり等々。
どうもこの映画、ホン・サンス監督の私小説ならぬ<私映画>のようです。
自作の上映後のQ&Aで、一女子学生が質問と意見を述べます。
「全然理解不能です。ドラマ的展開もなく、教訓もメッセージもない」。監督が「観る人が観たままに・・・」などと答えると、さらに追い打ち。「謙虚でなく、無責任に聞こえます」。
この場面、ホン・サンス監督自身の実体験のように思えます。この映画自体そうだし・・・。
内輪ネタも一杯。映画祭審査員の言動とか、この東京国際映画祭の審査員諸氏も苦笑したりしたのでは?
「監督にとって一番大切なものは何ですか?」なんて、実際何度となく質問されてるんだろうな?(少なくとも、プロのインタビュアーはこんな愚問はもうしないように!)
「なぜ自分のことばかり書くの?」と聞かれて、「自分のことしかよくわからないから」と答える。その監督が、一方的な思い込みで昔の彼女に思いを伝えると、帰ってきた言葉が「よく知りもしないくせに」。(このセリフ、別場面でも出てきましたが・・・。)
彼女は、「私のこと映画にしないでね」とも言ってましたが、結局映画にしちゃいましたね。(笑)
主人公は一貫して感情をあまり表情に出しません。その代わり、所々で<内心の声>が入ります。
この監督(劇中&ホン監督)、いつも周りの人たち、そして自分自身を第三者的に観察するのが習い性となっているようです。
その名前ク・ギョンナム(具敬(景?慶?)男.구경남)が、クギョン・ナム(구경남)=見物男に通じるのは意図的でしょう。(・・・と思い韓国サイトをいくつか見たら、やっぱりそのようです。)
「ドラマ的展開もなく、教訓もメッセージもない」、たらたらした映画ではありますが、深いと言えば深い、おもしろいといえばおもしろい、予想外に(?)楽しめた映画でした。
※ホン・サンス監督の「アバンチュールはパリで」も今上映中ですね。(シネカノン有楽町2丁目、シネマ・ベティ) そんなに話題にはなってないようですが、これもたるそうな映画のようで・・・。シネマ・ベティは一応近所だし、そのうち行ってみようかな・・・。
※23日3本目の映画はやはり東京国際映画祭の中の「玄海灘は知っている」です。これについてはいずれ・・・。