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今回からエンタメ系。
まずSFと冒険小説計24冊です。
☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
☆ 214 | ブラッドベリ | 火星年代記 | 早川文庫 | 214~227=SF。 214はfantazyの古典的名作。ブラッドベリは有名になりすぎてチョット残念。他に、優れた短編も多い。 215は、異星人とのファースト・コンタクトを扱った傑作。 215、クラークは「2001年宇宙の旅」の作者。映画が全然理解できなかった人は原作(早川)を読もう。半分くらいはわかる。 216は「SFハンドブック」(早川)選定ベスト1。猫のピートとタイム・トラベル、最後はきっとジワーンとくるヨ。 217は 218と219はハードSFの傑作。 218は、月の裏側で、宇宙服を着た、な、なんと、5万年前の人間の死体が発見されたという突飛な謎から始まる。 219は大きさ、重力、時間等の観念が全然異なる星とのコンタクト。 220は、たとえばアナタを構成する細胞の一つひとつが知的生物だったら、という発想がモト。いやあ、いろいろ考えつくものだなあ・・・・。 221は発想の妙にうなる短編集。 222は洒落たアンソロジー。風呂場で読むのに最高!? 223・224、素敵な音楽をSFで聴こう! 「無伴奏ソナタ」(カード)は短編集。<見えない絵>が最も美しいように、これらの作品からは<聞こえない音楽>の妙なる調べが漂う。 225は“茫々とした”時空をあしゅらおうが駆けめぐる。萩尾望都の漫画でもおなじみ。僕は入試直前に読みふけったため浪人するハメとなった。 226、筒井康隆のわはははは初期のドタバタSFはがひひひひ眼球が回転しアゴが震動し脳味噌が沸騰する。 227はタイム・トラベル物の代表作。216と読み比べて。コチラも泣かせる。旅先は、216は未来だがコチラは過去るあえて言えば僕はコチラが好き。ベストセラー「鉄道員」で有名になった浅田次郎「地下鉄に乗って」(徳間)も過去の日本をかいま見る旅。 228、ジュニアSFはオタク的世界のようで敬遠していたが、こんなおもしろい対策もあるんだなあ。主人公の少女が人間的に成長していくのが至極健全。 SFではウェルズやヴェルヌの個展も一通り読んでおきたい。 229~234=冒険小説。 229・230のヒーローの定位置はコックピット。ハラハラドキドキ、読みだしたらヤメラレナイ! 231の“ジャッカル”はドゴール(知ってるかな?)をねらう殺しのプロ。結果はわかっていても読ませるのはさすが。トンプソン「A-10奪還チーム出動せよ」(新潮)やトーマス「ファイア・フォックス」(早川)もおもしろかった。スパイ物のフリーマントルの作品(新潮)もなかなか。 232は痛快なコン・ゲーム(詐欺小説)。国産では小林信彦「紳士同盟」(新潮)がある。アーチャーの作品はどれも夢中になれる。「ケインとアベル」(新潮)も読んでみて。 233~236は国産の代表。 233は大正末、234は昭和初期の中国が舞台。カッコいいヒーローが<到着?と<脱出>をめざし大活躍。蛇足だが、歴史の勉強にもなる。・・・・蛇足だなあ。 235・236はスペイン現代史の闇の部分に関わる、白熱の冒険小説。 237=異色の、そして感動のスポーツ小説。アメリカ横断マラソンに集まった世界のランナーたち。 |
☆ 215 | クラーク | 幼年期の終わり | 早川文庫 | |
216 | ハインライン | 夏への扉 | 早川文庫 | |
△ 217 | カルヴィーノ | レ・コスミコミケ | 早川文庫 | |
☆ 218 | ホーガン | 星を継ぐもの | 創元文庫 | |
219 | フォワード | 竜の卵 | 早川文庫 | |
220 | ベア | ブラッド・ミュージック | 早川文庫 | |
221 | シェクリイ | 人間の手がまだ触れない | 早川文庫 | |
× 222 | 各務三郎(編) | 世界ショートショート傑作選 | 講談社文庫 | |
223 | カード | ソングマスター | 早川文庫 | |
224 | マキャフリー | 歌う船 | 創元SF文庫 | |
225 | 光瀬龍 | 百億の昼と千億の夜 | 早川文庫 | |
226 | 筒井康隆 | 東海道戦争 | 中公文庫 | |
☆ 227 | 広瀬正 | マイナス・ゼロ | 集英社文庫 | |
228 | 小野不由美 | 月の影 影の海 (十二国シリーズ) | 講談社χ文庫 | |
☆ 229 | ネイハム | シャドー81 | 新潮文庫 | |
☆ 230 | ブロック | 超音速漂流 | 文春文庫 | |
231 | フォーサイス | ジャッカルの日 | 新潮文庫 | |
232 | アーチャー | 百万ドルをとり返せ! | 新潮文庫 | |
233 | 生島治郎 | 黄土の奔流 | 角川文庫 | |
234 | 景山民夫 | 虎口からの脱出 | 新潮文庫 | |
235 | 五木寛之 | 戒厳令の夜 | 新潮文庫 | |
236 | 逢坂剛 | カディスの赤い星 | 講談社文庫 | |
237 | マクナブ | 遥かなるセントラル・パーク | 文春文庫 |
今見てみると、ほとんど「定番」の作品が並んでいますね。※→参考「『SF入門』 オールタイム・オールジャンル・ベスト一覧」
では、なんでアイザック・アシモフ(「鋼鉄都市」等)、スタニスワフ・レム「ソラリスの陽のもとに」を入れなかったか、というと、私ヌルボ本人もわかりません。
フィリップ・K・ディックを入れなかったのは、万人向きとはいえないと思ったから、かな?
今もSFのオールタイム・ベストというのをいろいろ見てみると、数十年前とたいして変わらないものがほとんど。そんな中で、「殿堂入り」作品を除外した<現代SFをまるごと楽しむための100冊>というのもありました。うーむ、これは少ししか読んでないぞ。しかし、これとても1999年のリストか。この10数年、本の情報に疎くなってきてるかも・・・。
※90年代までに刊行された作品でも、このリスト作成後に読んだオススメ本は、2000年以降の作品とともに補遺に入れました。
次はミステリー&ホラーです。
高校生に勧めるべきかは別としてやはり私はここに挙げられていないレムをはじめ、ディックやバラード、ヴォネガットらが好きなので(冒険・スパイ関連ではグレアム・グリーンやル・カレ、リストにもあるフォーサイスなど)、今回も読んだことのあるのはブラッドベリやクラーク、ネイハムなど計6冊だけです。もっともよく読んだのは高校くらいまでで、特にSFとはすっかりご無沙汰していますけれども。
筒井康隆では「おれに関する噂」や「笑うな」といったお馬鹿な短篇小説やショート・ショートが好きで、むしろ最近1冊(60年代)だけ再刊された「○○年代日本SFベスト集成」というアンソロジーは、日本のSF(漫画も含め)を概観できる優れたものなので高校生にもお勧めしたいですね。私は中学から高校にかけて読みましたが、ニーチェやダリの絵に取材した荒巻義雄の作品など、全く理解できずに何度挑戦しても歯が立たずびっくりしたものです。
広瀬正は若くして亡くなったのが残念です。近年、再評価されているのがうれしいですけれども。
「戒厳令の夜」は映画が余りにひどい出来だったので(当時中学生だった私には、樋口可南子のヌード姿くらいしか記憶に残っていません…)、是非再映画化して欲しいものですが、お金がかかりすぎて無理でしょうかね。映画の後に原作も読みましたが、あの作品でパブロ・ネルーダという詩人のことを初めて知りました。
ちなみにネルーダはノーベル文学賞を取っていますが、カルヴィーノは取っていませんね(取っいてもおかしくない人だとは思いますが)。
「まっぷたつの子爵」以来何冊も読んでいる好きな作家なのに、長く誤解していました。ずっと前、受賞のニュースを聞いたようなうっすらとした記憶があるのですが、あれは1985年の訃報だったかも・・・。
「ネルーダ」と「映画」といえば、「イル・ポスティーノ」を連想しますが、あれも良くできたフィクョンでした。