金大中元大統領の逝去後、韓国の主要ウェブサイトではサイバー弔花を添えた特製ロゴが掲げられている。(下の画像)
思い起こせば、彼の大統領時代以降、ドラマ・映画・音楽・スポーツ等々、さまざまな分野で日韓間の文化交流が双方向的に進んできた。
しかし、出版文化については、日本→韓国という方向の文化流入が圧倒的で、とても双方向的とはいいがたい。日本のマンガやアニメの影響力はよく知られているが、ここでは小説について考えてみたい。
韓国での日本マンガ占有率が約7割(?)。日本作家の小説の占有率はそれほどではないにしても、ライトノベルを中心にどんどん訳され、書店にたくさん並べられている。
※昨年だったか、ソウルの書店で小説上位20位までに奥田英朗の小説が4つも入っていた。私が彼の名を知った最初で、帰国してから読んだ。
*** ネット投票 今年の1位作家は孔枝泳 ***
しかし、韓国人の読む小説はやはり韓国作家の作品が多い。
自国の文学や、作家に対する関心も決して低くはないと思う。
韓国一のインターネット書店YES24が7月10~31日実施した「第6回ネチズン推薦 韓国の代表作家」が今月初めに公表された。
オンライン投票45,984名中、13172票(17.8%)を獲得して1位に選ばれたのは孔枝泳(コン・ジヨン)。2位は10,162票(13.7%)の金薫(キム・フン)、3位は9,545票(12.9%)の李文烈(イ・ムニョル)だった。
これとともに、「韓国の代表的若手作家」では、映画化されて話題となった「妻が結婚した」の朴賢煜(パク・ヒョヌク) が12,329票(18%)で第1位、キム・ピョラが7,344票(10.7%)で2位、金英夏(キム・ヨンハ)が5,780票(8.4%)で3位となった。
YES24は、作家投票と併せて「2009韓国人必読書」の投票も行った。<詩部門>については後日述べる。<小説部門>では、1位には申京淑(シン・キョンスク)「オンマをお願い」が19,949票(26.7%)で1位、黄皙暎(ファン・ソギョン)の<宵の明星>が14,07票(18.9%)、孔枝泳「るつぼ」が6,501票(8.7%)、具竝模(ク・ピョンモ)「ウィザード・ベイカリー」が 3,054票(4.1%)で続いた。
なお、この「ネチズン推薦 韓国の代表作家・若手作家」のこれまでの選定作家は以下の通り。
代表作家 代表的若手作家
2004年 朴景利(パク・キョンニ) 金薫(キム・フン)
2005年 趙廷来(チョ・ジョンネ) 孔枝泳(コン・ジヨン)
2006年 朴婉緒(パク・ワンソ) 申京淑(シン・ギョンスク)
2007年 黄皙暎(ファン・ソギョン) 殷熙耕(ウン・ヒギョン)
2008年 趙世熙(チョ・セヒ) 鄭利玄(チョン・イヒョン)
2009年 孔枝泳(コン・ジヨン) 朴賢煜(パク・ヒョヌク)
問題は、日本語に訳されているものが非常に少ない、ということだ。
20冊以上の作品が外国で翻訳・出版されている作家は以下の通りである。(2006年11月現在)
①李文烈(33冊) ②李清俊(イ・チョンジュン)(27冊)(2008年死去) ③高銀(コ・ウン)(25冊)※詩人 ④黄皙暎(23冊) ⑤朴婉緒(20冊)
この5人は日本でもそれぞれ訳書が出ている。黄皙暎が脱北少女を描いた「パリデギ」は、昨年刊行され、一部で注目されて、今も大きな書店では棚に並んでいるはずである。
だが、これら韓国作家の名を知っている日本人はどれほどいるのだろうか?
韓国ドラマの原作本などはそれなりに書店に並んでいる。が、未訳の名作はいくつもあるし、既訳の中にも注目されないまま絶版のうきめに合ってしまった作品も多い。
私ヌルボとしては、私の知るかぎり、そんな隠れた名作を紹介していきたい。
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