今回は、「伊万里 染付山水文灰吹き(灰落し)」の紹介です。
これは、昭和53年に、馴染の骨董店の主人から、タダで頂いたものです。
その時、主人は、これは「茶巾筒」ですと言って贈呈してくれました。
それで、私も、お茶などしませんから、「茶巾筒」など見たこともありませんので、これまでず~と、これを「茶巾筒」と信じ、一度たりとも疑ったことなどありませんでした(-_-;)
ところが、この度、ブログで紹介する段になり、「あれっ、これは本当に茶巾筒なのかな~」と初めて疑問が生じました。ブログで紹介するとなると、あまり、無責任なことも書けませんものね、、、。
でも、直ちに、「これは茶巾筒ではなく、煙草盆で使う灰吹き(灰落し)であろう」という結論に達しました。
この器を貰ったのが昭和53年。あれから42年。私も、だいぶ古伊万里に明るくなったものだな~と感無量です(^-^; (←自己満足)
自己陶酔はこれくらいにして、次に、その「灰吹き(灰落し)」を紹介いたします。
正面
正面の反対面
底面
ところで、私が、何故、この器を、茶巾筒ではなく、煙草盆で使う灰吹き(灰落し)であろうという結論に達したかと言いますと、それは、次のようなことからです。
「茶巾筒」ともなりますと、お茶席に入るわけですから、このように武骨なものではなく、もっとスマートなはずですよね。
それで、ネットでちょっと調べてみましたら、茶巾筒は、案の定、もっと垢抜けてスマートなものでした(下の写真参照)。
茶巾筒(ネットから画像を拝借)
それに、茶巾筒は、茶巾を入れるための筒ですし、その筒には蓋をしないでしょうから、筒の口にも釉薬が塗られ、口は綺麗に仕上げられているはずですよね。
ところが、この器の場合は、口縁の釉薬が拭い去られて焼かれているんです。これは、蓋をすることを前提とした作りなわけですね(下の写真参照)。
そんなところから、私は、この器は、茶巾筒ではなく、煙草盆で使う灰吹き(灰落し)であろうと思ったわけです。
もっとも、茶巾筒にも、蓋付の茶巾筒というものもあるようですから、蓋を伴う器なのか、蓋を伴わない器なのかだけで、その判断は出来ないようですけれど、、、。
口縁の釉薬が綺麗に拭われて焼かれています。
これは、普通、蓋を伴うことを予定しています。
なお、灰吹き(灰落し)は、一般には、下の写真から分かりますように、煙草盆の中に火入れと共に収められて使われます。
既に閉鎖している拙ホームページの「古伊万里への誘い」の
「古伊万里ギャラリー250 伊万里色絵火入れと灰吹き(灰落し)」から転載
左:火入れ 右:灰吹き(灰落し)
以上の例からも分かりますように、この器は、先日紹介しました「伊万里 染付牡丹文火入れ」とセットで、煙草盆の中に収められて使われるに相応しいものであると思います(^-^;
先日紹介した「伊万里 染付牡丹文火入れ」とツーショットで!
お似合いですよね(^-^;
製作年代: 江戸時代後期
サ イ ズ : 口径;5.2cm 高さ;6.8cm
追 記:令和4年4月13日
この記事を読まれた方から、令和4年4月13日付けで、
「 本体と蓋が接する部分に釉薬が無いのは理解できますし、灰吹きの場合は煙管の金具が当たるので強度的には釉薬をのせた方が良いようには思います。しかし、タバコ盆の灰吹きが竹製なのは、煙管を傷つけないようにする意味からも、柔らかい青竹が主に使われるものと考えています。また、磁器に金属が当たるのは少し乱暴です。本体と蓋とが接する面に釉薬が無いのは刻み煙草を保存するにも湿気を通さずに有利だと思います。それらの事から、これは煙草入れではないでしょうか。」
という趣旨のコメントが寄せられました。
このコメントは、至極、もっともなご意見ですね(^_^)
骨董界の人間は、お茶などやってない者が多いものですから、お茶道具のことなど知らないので、一般的には、このような器を「灰吹き(灰落し)」と言っているわけですけれど、本来の用途は「タバコ入れ」なのかもしれません(~_~;)
もう少し、この器の本来の用途について解明する必要があるように思いました。
貴重なコメントをありがとうございました(^-^*)
追記(その2):令和4年5月19日
上の追記の中に書きましたように、この器への貴重なコメントを寄せてくれた方がいました。
その方は、その後もこの器に関心があったようで、今回(令和4年5月16日付けで)、再度、この器へのコメントを寄せてくださいました。その方の、新たなコメントの趣旨は次のようなものでした。
「和ロウソクの芯を切ったものを入れる器があるようですね。それは「芯切入れ」といい伊万里などの陶器製(金属製もあります)では、高台部分が糸きりのままのようです。現在では長くなったロウソクの芯を切ること自体経験しないことですが、和ロウソクが主流だった頃はよく見られた器だったとのことです。そして、この器と見た目が似ていました。この前「莨入れ」ではないだろうかとのコメントをしたばかりですが、その後、この器は、恥ずかしながら「芯切入れ」ではないだろうかと思うようになったしだいです。」
私は、その後も、この器について何の勉強もせずに過ごしていました(><)
この器の高台部分は糸切りではなく、ベタ底ではありますが、同じようなものですね。
私も、恥ずかしながら、不勉強で、そう言われればそうかな、と思うしだいです(~_~;)
この器に関心をもっていただき、再度のコメントまで寄せてくださいましたことに感謝しております。ありがとうございました(^-^*)