行政視察報告(その3-米子図書館)

2009-11-19 23:53:00 | 議会活動
(写真)米子図書館の移動図書館バス

19日は米子市立図書館を訪問しました。米子市は鳥取県西部、山陰の中央に位置する人口15万人、6万2千世帯の市です。古くから商業都市として栄え、JR山陰本線、伯備線、境線の結節点であり、米子自動車道、山陰自動車道、米子空港など山陰の交通の要衝でもあります。鳥取大学医学部や山陰放送があり山陰の拠点都市の1つとなっています。

米子図書館は蔵書数23万8千冊、職員は14名。週2回市内16箇所を巡回する移動図書館車を有し、平成15年には子ども読書推進活動で文部科学大臣賞を受賞しています。とりわけ米子図書館は米子方式というユニークな取り組みをしていることで知られています。

米子市は市民の陳情に応えるために、平成9年度から専任の図書館職員を市内の小中学校・養護学校など34校全てに配置。その後平成14年からは司書教諭を配置すると言う先進的な取り組みを行ってきました。

平成13年には市の公用車を活用した配本システムをスタートしました。これが米子方式と呼ばれるものです。子どもたちは市立図書館まで出向かなくても、リクエストすれば市の公用車で届けてもらえます。現在では火・木・金曜日に配本するなどきめ細かなサービスを実施しています。そのほか朝の読書用の図書の場合は年2~3回の長期貸出を実施しています。

こうした中でリクエスト貸出は現在1万1500冊、長期貸出は1万9000冊になっています。学校図書館からの問い合わせも年間1700件にのぼっています。こうして図書館が学校教育を応援する仕組みが出来あがっています。

そんな取り組みを行っている中で、年間行事など郷土資料が不足していることに気がつきました。こうして「ふるさと米子探検隊」というブックレットを発行するようになったそうです。現在までに13号まで発行しています。ちなみにテーマは「民話マップの巻」「米子城入門の巻」「お寺や神社を調べてみようの巻」などとなっています。

図書館というとどうしても「待ち」の姿勢です。市民に来ていただくことが第一です。しかしここの図書館は違います。子どもたちや市民に本の出前サービスを実施し、リクエストにお答えし、さらに不足している資料は自分達で作ってしまうという行動派でもあります。これは図書館としての本来あるべき姿ではないでしょうか。振り返ってみてわが町の図書館はどうでしょうか。

最近パソコン・DVD・インターネットなどのバーチャル図書館が話題になっていますが、それよりも調べものをする時、親身になってお手伝いいただけることが図書館の原点だということをあらためて認識させられました。

行政視察報告(その2-水木しげるロード)

2009-11-19 21:00:00 | 議会活動
(写真)水木しげるロードには妖怪のオブジェが並んでいます。

境港市では「水木しげるロード」を視察しました。

境港市は古くから天然の良好として栄え港を中心に発展してきました。しかし水揚げ量の減少など漁業の不振が続く中、商店街はさびれる一方でした。こうした現状を打破するために、平成元年からまちづくりを検討する中で、地元出身の漫画家水木しげる氏の妖怪オブジェ・モニュメント・絵タイルを歩道に配置し、「水木しげるロード」として整備しようという構想が生まれました。

妖怪オブジェといっても怖いイメージではなく、誰もが触れて楽しめる親しみやすいものです。彫刻と黒御影石の台座が一体化し、これまでにない新しい町並みを形成しています。

当初は「そんなものが店の前にあればお客は逃げてしまう」などと妖怪に対する反発もありました。しかし、マスコミで大きく取り上げられたり、観光客が徐々に訪れる中で商店街の売り上げも伸びてきたそうです。そんな中、これまで反対していた商店も「うちの前にもぜひ置いてくれ」と言うようになったそうです。

こうしてJR境港駅から商店街まで約800メートルの沿線に、妖怪オブジェ102体、妖怪レリーフ5基、絵タイル8枚が設置され、アーケーも改装され、公衆トイレ、ポケットパークなどが整備されました。その後妖怪オブジェも徐々に増え現在134体になっています。

このほか住民による鬼太郎をテーマにしたまちづくりへの取り組みが行われ、ゲゲゲのしげる会、水木ロードを育てる会、鬼太郎温度保存会などが活動しています。商店街としてもゲタ飛ばし大会、妖怪オブジェコンクール、境港妖怪ジャズフェスティバル、妖怪川柳コンテスト、境港妖怪検定など多面的なイベントを開催するまでになっています。こうした中で観光客も右肩上がりに推移し、平成20年度には172万人になっています。

こうした取り組みが成功したのは、なによりも地域を活性化したいと願う地元の熱意と、いつまでも故郷を大切にしようとする水木氏の思いがあったからこそです。それにしても妖怪を地域活性化の起爆剤にしてしまった境港の皆さんのエネルギーにはただ脱帽するばかりです。

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