松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

Japan Wax Tree

2008-08-04 23:34:23 | 今までのまとめ
蝋というと、櫨蝋だけではなく、石油をはじめ、牛や豚(かつては鯨)などの獣脂、あるいは蜜蝋やウルシ蝋、カルナウバ蝋、パーム蝋、イボタ蝋等、いろんな種類の蝋があります。

それでは櫨蝋の特徴というのは何でしょう。
正木八十八著「日本の櫨と木蝋」によると、櫨蝋の主成分はパルミチン酸81%、オレイン酸13%、日本酸6%という純然たる脂肪だそうです。

パルミチン酸やオレイン酸は他の様々な油脂にも含まれていますが、「日本酸(Japan Acid)」が6%もの含有量を持つというのは櫨だけ。(中国ウルシにもごく微量に存在します)
この日本酸こそ、他の蝋では代用が聞かない、結晶が小さく粘り気のある日本の櫨蝋特有の成分なのです。

日本酸を持つ櫨蝋がJapan Wax、櫨の木がJapan Wax Tree と英訳される所以でもあります。

ところで、もうかなり前になるそうですが、製蝋メーカーの集まる「木蝋組合」で、中国に櫨を植栽したことがありました。もちろん目的は原料の低価格化でしょうが、結局は全滅してしまいました。
原因は櫨の木が中国という土地に合わなかったせいじゃないかと推測されていますが、何が原因にせよ、中国で根付かなくてよかったとつくづく思います。
ただでさえ中国産のモノであふれているのに、この上櫨蝋まで来た日にゃもう…。

とにかく潔く武士が切腹するがごとく、中国に植えられてしまった櫨は毅然として中国の地で生きることを拒否したのではないかと、私はそう理解しています。

日本にしかない櫨。
日本人しか作れない櫨蝋。

私には、櫨が衰退化した過去の遺物ではなく、かけがえのない日本の財産に思えてなりません。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ