こういう記事を見つけました。
-----引用----
崩食豊食 <第5部> ゆがんだ関係
<3>安値の裏側 卸や農家にしわ寄せ(2008/06/29北海道新聞)
「今度の特売で、一束七十五円で売りたいんだが」
札幌の青果卸業者は、ある葉物野菜について、大手スーパーからこんな注文を受けて耳を疑った。というのも、この商品は普段の卸値が八十五円。スーパーの特売に協力しろという要求だ。
一応、抵抗してはみたが、大手スーパーの意向に逆らえるはずもなかった。この業者は「こんな無理は毎回はできない。スーパーは『良くて安い物を』と言うが、良い物は高い」とぼやく。
特売の目玉になりやすい鶏卵などでも、こういった例は多い。ある道内養鶏大手は「生産原価が急騰しているのに、たまったもんじゃない。こんなことが続けば、第二、第三のミートホープが出る」と語気を強める。
圧倒的な販売量を誇る大手スーパーは、卸業者などに対し価格交渉を有利に進める購買力(バイイングパワー)を持つ。農林水産省によると、二〇〇〇年までの二十五年間で消費された飲食費の最終的な取り分は、一次産業が30.8%から13.8%に減る一方、関連流通業は25.7%から33.2%に増えており、流通の力は着実に増している。
坂爪浩史・北大大学院准教授(食料農業市場学)は「スーパーは特売協力、開店周年記念協賛金、バックマージンなどさまざまな協力を納入業者に要求し、業者は取引を切られたくない一心で要求をのむ。結局、業者は利益を放出し、倒産することもある」と指摘する。
だが、必ずしもスーパーが利益を独占しているわけではない。道内大手のある店では毎年秋、百グラム百九十八円で売る生筋子が大人気だった。ところが二年前、百五十円程度だった卸値が二百五十円に急騰。それでも例年通り百九十八円で販売。完売したが、赤字が残った。
「ゆがんだ流通であることは十分承知している」と同社幹部。「ただ、他店との競争もあるし、売り上げの数字のために仕方がない面もある。こちらも無理をしている」と語る。
一方でまっとうな価格で売ろうという動きも出ている。「本物の道産品を適正な価格で売りたい」と語るのは、昨春、丸井今井がさっぽろ地下街に開店した道産食品専門店「きたキッチン」の馬籠(まごめ)孝治バイヤー。
食パン(五枚)五百八十円、タマネギのドレッシング(二百三十五ミリリットル)五百九十九円など、廉価品の数倍という値段ながら、開店から一年以上たっても客足は衰えない。客単価は当初予想の五割増の千五百円という。
馬籠さんは、納入先が値段を決める際、「ちゃんと利益をとってください」と頼む。スーパーから「もっと安く」と言われ続けた生産者らは驚くが、馬籠さんは「互いに利益がないとやる意味がない。安ければお客さまは喜ぶかもしれないが、生産者は続かない」と語っている。
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良質なものが高いのは、やはり理由があります。自然食品であれば、無農薬であったり手間がかかったり。
今回はもともとなぜあんなに安いパーム油が出回っているのかを知りたくて調べていましたが、やはり安い値段というのは、どこかにしわ寄せがあるのだと思います。
櫨蝋もまた同様に手間暇かけて作られているので、安価な石油やパーム油、中国ウルシ蝋に比べると高くなってしまいます。もっと櫨の原料代を安くしろという声もありますが、原料を作る櫨農家が生きていけるような価格で櫨の実は取引されねば、櫨産業は成り立たなくなってしまうでしょう。適正な価格というのは確かに存在するのです。
だからこそ私たち消費者は、安いモノを無造作に使うのではなく、良いモノを大切に使い続ける心がけが必要だし、そうした消費者の選択が良いモノを作り続けられる支えになるのではないかと思います。
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崩食豊食 <第5部> ゆがんだ関係
<3>安値の裏側 卸や農家にしわ寄せ(2008/06/29北海道新聞)
「今度の特売で、一束七十五円で売りたいんだが」
札幌の青果卸業者は、ある葉物野菜について、大手スーパーからこんな注文を受けて耳を疑った。というのも、この商品は普段の卸値が八十五円。スーパーの特売に協力しろという要求だ。
一応、抵抗してはみたが、大手スーパーの意向に逆らえるはずもなかった。この業者は「こんな無理は毎回はできない。スーパーは『良くて安い物を』と言うが、良い物は高い」とぼやく。
特売の目玉になりやすい鶏卵などでも、こういった例は多い。ある道内養鶏大手は「生産原価が急騰しているのに、たまったもんじゃない。こんなことが続けば、第二、第三のミートホープが出る」と語気を強める。
圧倒的な販売量を誇る大手スーパーは、卸業者などに対し価格交渉を有利に進める購買力(バイイングパワー)を持つ。農林水産省によると、二〇〇〇年までの二十五年間で消費された飲食費の最終的な取り分は、一次産業が30.8%から13.8%に減る一方、関連流通業は25.7%から33.2%に増えており、流通の力は着実に増している。
坂爪浩史・北大大学院准教授(食料農業市場学)は「スーパーは特売協力、開店周年記念協賛金、バックマージンなどさまざまな協力を納入業者に要求し、業者は取引を切られたくない一心で要求をのむ。結局、業者は利益を放出し、倒産することもある」と指摘する。
だが、必ずしもスーパーが利益を独占しているわけではない。道内大手のある店では毎年秋、百グラム百九十八円で売る生筋子が大人気だった。ところが二年前、百五十円程度だった卸値が二百五十円に急騰。それでも例年通り百九十八円で販売。完売したが、赤字が残った。
「ゆがんだ流通であることは十分承知している」と同社幹部。「ただ、他店との競争もあるし、売り上げの数字のために仕方がない面もある。こちらも無理をしている」と語る。
一方でまっとうな価格で売ろうという動きも出ている。「本物の道産品を適正な価格で売りたい」と語るのは、昨春、丸井今井がさっぽろ地下街に開店した道産食品専門店「きたキッチン」の馬籠(まごめ)孝治バイヤー。
食パン(五枚)五百八十円、タマネギのドレッシング(二百三十五ミリリットル)五百九十九円など、廉価品の数倍という値段ながら、開店から一年以上たっても客足は衰えない。客単価は当初予想の五割増の千五百円という。
馬籠さんは、納入先が値段を決める際、「ちゃんと利益をとってください」と頼む。スーパーから「もっと安く」と言われ続けた生産者らは驚くが、馬籠さんは「互いに利益がないとやる意味がない。安ければお客さまは喜ぶかもしれないが、生産者は続かない」と語っている。
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良質なものが高いのは、やはり理由があります。自然食品であれば、無農薬であったり手間がかかったり。
今回はもともとなぜあんなに安いパーム油が出回っているのかを知りたくて調べていましたが、やはり安い値段というのは、どこかにしわ寄せがあるのだと思います。
櫨蝋もまた同様に手間暇かけて作られているので、安価な石油やパーム油、中国ウルシ蝋に比べると高くなってしまいます。もっと櫨の原料代を安くしろという声もありますが、原料を作る櫨農家が生きていけるような価格で櫨の実は取引されねば、櫨産業は成り立たなくなってしまうでしょう。適正な価格というのは確かに存在するのです。
だからこそ私たち消費者は、安いモノを無造作に使うのではなく、良いモノを大切に使い続ける心がけが必要だし、そうした消費者の選択が良いモノを作り続けられる支えになるのではないかと思います。
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