松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

原料の値段を考える その3

2008-08-15 21:54:04 | 復活奮闘日記
こういう記事を見つけました。

-----引用----
崩食豊食 <第5部> ゆがんだ関係
<3>安値の裏側 卸や農家にしわ寄せ(2008/06/29北海道新聞)


「今度の特売で、一束七十五円で売りたいんだが」

 札幌の青果卸業者は、ある葉物野菜について、大手スーパーからこんな注文を受けて耳を疑った。というのも、この商品は普段の卸値が八十五円。スーパーの特売に協力しろという要求だ。

 一応、抵抗してはみたが、大手スーパーの意向に逆らえるはずもなかった。この業者は「こんな無理は毎回はできない。スーパーは『良くて安い物を』と言うが、良い物は高い」とぼやく。

 特売の目玉になりやすい鶏卵などでも、こういった例は多い。ある道内養鶏大手は「生産原価が急騰しているのに、たまったもんじゃない。こんなことが続けば、第二、第三のミートホープが出る」と語気を強める。

 圧倒的な販売量を誇る大手スーパーは、卸業者などに対し価格交渉を有利に進める購買力(バイイングパワー)を持つ。農林水産省によると、二〇〇〇年までの二十五年間で消費された飲食費の最終的な取り分は、一次産業が30.8%から13.8%に減る一方、関連流通業は25.7%から33.2%に増えており、流通の力は着実に増している。

 坂爪浩史・北大大学院准教授(食料農業市場学)は「スーパーは特売協力、開店周年記念協賛金、バックマージンなどさまざまな協力を納入業者に要求し、業者は取引を切られたくない一心で要求をのむ。結局、業者は利益を放出し、倒産することもある」と指摘する。

 だが、必ずしもスーパーが利益を独占しているわけではない。道内大手のある店では毎年秋、百グラム百九十八円で売る生筋子が大人気だった。ところが二年前、百五十円程度だった卸値が二百五十円に急騰。それでも例年通り百九十八円で販売。完売したが、赤字が残った。

 「ゆがんだ流通であることは十分承知している」と同社幹部。「ただ、他店との競争もあるし、売り上げの数字のために仕方がない面もある。こちらも無理をしている」と語る。

 一方でまっとうな価格で売ろうという動きも出ている。「本物の道産品を適正な価格で売りたい」と語るのは、昨春、丸井今井がさっぽろ地下街に開店した道産食品専門店「きたキッチン」の馬籠(まごめ)孝治バイヤー。

 食パン(五枚)五百八十円、タマネギのドレッシング(二百三十五ミリリットル)五百九十九円など、廉価品の数倍という値段ながら、開店から一年以上たっても客足は衰えない。客単価は当初予想の五割増の千五百円という。

 馬籠さんは、納入先が値段を決める際、「ちゃんと利益をとってください」と頼む。スーパーから「もっと安く」と言われ続けた生産者らは驚くが、馬籠さんは「互いに利益がないとやる意味がない。安ければお客さまは喜ぶかもしれないが、生産者は続かない」と語っている。

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良質なものが高いのは、やはり理由があります。自然食品であれば、無農薬であったり手間がかかったり。
今回はもともとなぜあんなに安いパーム油が出回っているのかを知りたくて調べていましたが、やはり安い値段というのは、どこかにしわ寄せがあるのだと思います。

櫨蝋もまた同様に手間暇かけて作られているので、安価な石油やパーム油、中国ウルシ蝋に比べると高くなってしまいます。もっと櫨の原料代を安くしろという声もありますが、原料を作る櫨農家が生きていけるような価格で櫨の実は取引されねば、櫨産業は成り立たなくなってしまうでしょう。適正な価格というのは確かに存在するのです。

だからこそ私たち消費者は、安いモノを無造作に使うのではなく、良いモノを大切に使い続ける心がけが必要だし、そうした消費者の選択が良いモノを作り続けられる支えになるのではないかと思います。

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原料の値段を考える その2

2008-08-14 19:25:44 | 復活奮闘日記
昔、アフリカから黒人を拉致し奴隷としてアメリカで働かせていたのは過去の歴史。
では現代は?
もう奴隷の時代じゃないし、たくさんじゃないだろうけど、そこそこお給料をもらって楽しく働いているんじゃない?そう私は思っていました。
でも、実はそうじゃなかったんです。
以前、NHKBSでたまたま放映されていた砂糖産業のドキュメンタリー映画を観ました。2005年にカナダで制作されたものです。

フロリダに拠点を置く砂糖の独占企業のオーナー・ハンフォ家は大金持ちで、カリブのドミニカ共和国には960平方キロ(シンガポールに匹敵する面積)の大規模なサトウキビ農場セントラル・ロマーナを所有しています。そこの農場で働く人々は、昔と違って奴隷じゃありませんが、賃金は少ない上、サトウキビしか作れませんから、小麦とか他の農産物が市場に出回りにくく、安く手に入れることもできません。見渡す限りサトウキビ・サトウキビ・サトウキビ…。とにかく周りにはサトウキビしかないんですから、それしか食べるもんがない!おかげで食糧不足に陥っており、飢えをしのぐために子供達はサトウキビを囓っています。ところがサトウキビばっかり囓ってると歯が溶けるし、頭がぼーっとなるそうだし、ともかく他の病気を併発して農場で働く人々はみんな若死にしているのです。

アメリカ本国では砂糖に関する増税や規制への動きはあるものの、大金持ちのハンフォ家は、どっちが政権をとってもいいように共和党・民主党の両方に献金をかかしません。クリントンやブッシュとも交流があり、ハンフォ家に対し邪魔な動きを金の力で排除しています。映像ではフロリダで毎夜のように行われるハンフォ家の豪華なパーティで、富豪の息子や娘達が美しく着飾り楽しく過ごしている映像と、ドミニカ共和国の飢えに苦しむ農場の子供達の悲劇がコントラストのように映し出されていました。

カリブ海ってのは大国アメリカの庭のようなものですから、他の国は手出しができません。一応カリブの国々は独立国ですが、実態はアメリカ(の大企業)に支配されており、まさに現代の奴隷貿易が今も連綿と続いているのです。

ちなみに革命がおきる前のキューバは、今のドミニカと同じ大規模なサトウキビ農場があり、実質的にアメリカに支配されていました。キューバの弁護士フィデル・カストロはこんな半植民地状態の克服を夢見てアメリカに抵抗して革命を起こしたのが1959年の出来事。ソ連が崩壊してからは経済状態が悪化して、今ではアメリカに亡命する人が後を絶ちません。しかし社会主義経済政策の失政はともかく、宗主国のごとく振る舞うアメリカに対し、かたくなに抵抗するカストロの姿は、中南米の国民からは高い共感を得ていると言われています。

日本は64%が輸入砂糖です。清涼飲料やお菓子などいろんな食品に使われているでしょうが、こうした砂糖の過剰摂取は健康に重大な問題を引き起こします。さもありなん。そこには現代の奴隷達の怨念が込められているからでしょうか。

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原料の値段を考える その1

2008-08-13 15:49:15 | 復活奮闘日記
「大航海時代」というゲームがあります。ご存じ15世紀から17世紀まで続いたヨーロッパ人によるインド・アジア・アメリカ大陸などへの海外進出の時代を背景に、プレイヤーが貿易商となって七つの海を冒険していくゲームで、今はオンラインゲームになっていますが、プレステで出てた時に、はまってやってました。

このゲーム、具体的にどうするのかというと、プレイヤーは主人公のポルトガル人で、首都のリスボンからスタートします。最初にわずかな資金を元手にして、小さな船と地元の特産品を購入します。これでほとんど資金は尽きてしまいますが、近くの町のパリとかへ船で移動して売ると、ちょっとした利益が出ます。その利益でパリの産物を買い、帰ってきて売るわけです。そこでまたリスボンの産物を買い…の繰り返し。これを2点貿易と言うわけですが、これだとあまり儲けは出ないし、時間が経つと利益自体も下がってきます。

そこで、次に近くのマディラ島へ行って特産品の砂糖を仕入れます。砂糖はヨーロッパでは取れない珍しい産物なので有効な商品です。砂糖を軸に、リスボン→マディラ→パリ、あるいはパリ→マディラ→リスボンと3地点を行きかう三角貿易をするわけです。ところがこれも少し時間が経つと儲けがあまり出なくなってしまいます。

プレイヤーは、今までたまった資金で、もう少し大きな船を買い、もうちょっと遠く地中海や北海などへ進出して貿易するようになります。そして次第にもっともっと商品の利幅の大きいアジア・アフリカへと進出するわけです。胡椒などは元の値段の50倍くらいの値段で売れるので最高の貿易品です。プレイヤーは当時の人々のように、胡椒を求めて暴風雨や海賊などの様々な危険を乗り越えて、いろんな冒険をしながら楽しんでいくゲームです。私は商売とか経済とか経営とかさっぱりの素人なんですが、なんとコレで商売の基本を覚えることができました。(…って、ホントにこれ基本なのか?)

しかし、私の頭でも理解できるほど商売が単純だった大航海時代から400年。あまりに経済が進みすぎてしまったためか、遠い国からわざわざ運んできた輸入品が市場を席巻し、地元の特産品を圧迫しています。どういうわけだかムダにエネルギー燃料を使った海外品の方が、地元の特産品よりずっと安いってのは不自然ではないのか?

ある日、砂糖産業を追ったドキュメンタリーを観た時、その安さのからくりを知ることになりました。

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久留米井筒屋が来年2月に閉鎖

2008-08-12 20:32:29 | 復活奮闘日記
------引用---
 久留米井筒屋、来年2月で閉店
北九州市に本店を置く百貨店の井筒屋は12日、子会社を通じて運営する久留米井筒屋(福岡県久留米市)を来年2月末で閉店すると発表した。福岡市中心街や郊外の大型商業施設への顧客流出が響き、2008年2月期で約63億円の債務超過に陥っていた。(16:08)NIKKEI NET

------引用終わり--

ああ、ウワサは以前からチラホラ出ていましたが、ついに正式に発表されました。久留米井筒屋は1936年に旭屋デパートとして開業し、67年に久留米井筒屋となった老舗百貨店です。これで久留米に残った百貨店は久留米岩田屋のみになってしまいました。

久留米井筒屋のある六ツ門付近は、以前は活気があり多くの買い物客で賑わっていましたが、ここしばらくは空き店舗が増え、閑古鳥が鳴いていました。地元の人も六ツ門を盛り上げようといろんな企画を出してイベントを行ったりしていましたが、
その六ツ門の芯である井筒屋が閉鎖するってのは、非常に残念なことです。

井筒屋の5F筑後文化村には、当委員会の商品もひと揃い置かせていただいています。

筑後文化村は筑後の産物を一堂に展示販売しているフロアで、井筒屋の中で、唯一コンセプトが際だってはっきりと出ており、筑後地方にはこんなにもいろんな工芸品や産物があるんだなと、筑後地方の良さを実感できる貴重なフロアです。

債務超過に陥った井筒屋が今の時代に適応できなかったと批判するのは簡単ですが、こうした筑後文化村の存在を考えた時、井筒屋自体もまた、筑後地方の産物であったわけですから、消えていくのは本当に寂しい限りです。

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櫨の石鹸、進化中です。

2008-08-11 21:00:57 | ワックスと石鹸
櫨の石鹸がバージョンアップしました。
以前のものより、一回り大きくなって、きめ細かな泡立ちが更にスムーズになってます。
櫨の石鹸は、原料の油脂に「櫨」を使っています。(ま、わざわざ言わなくてもわかるよね)
もともと櫨は結晶が小さく粘り気があるので、石鹸の原料に適しているのです。

しかし、なんといっても価格的に高いのがネック。大抵の石鹸の原料は、安価なパーム油なんですが、櫨蝋と比べるとあまりに安い値段で仕入れることができてしまいます。

…なんでそんなに安いんでしょうね?
ちょっと調べてみると、パーム油の原料であるアブラヤシを作るために、マレーシアなどでは熱帯雨林を焼き払って広大なプランテーションができて、大量生産しているのだそうです。もちろん石鹸だけのためにアブラヤシを作ってるわけじゃなくて、最近は「環境に優しい天然資源パーム油」による合成洗剤が作られてますし、パーム核油ってのは加工食品にも使われますし、最近はほら、アレ。バイオディーゼル燃料への有力な燃料なんです。(単位面積当たりの得られる油脂の量は大豆の7倍)おかげでプランテーションもますます広大になり生産量は増大中。今日も熱帯雨林をせっせと焼き払ってるんでしょうか。環境を守るためのアレコレが、環境破壊の尖兵になっているわけですね。

現在出回っているほとんどの安い石鹸はパーム油ですが、この安さはやはり見えない代償を伴っているんだなと思います。

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七夕の里おごおり弓道大会

2008-08-10 22:05:51 | 和弓と櫨
今日は小郡市で通称七夕杯が行われました。
以前行った時、5人立ちですら狭いと思った的前が、今日は更に6人立ち!ちょー狭っ!前の人の頭に弓の末弭がぶつかるんじゃないかと思いましたが、ぎりぎりセーフ。とにかく限界まで詰め込んだ的前でした。

矢取り道から的を見てみると…

ペアが三組入るようになってます。

そう、今日は七夕杯なので、男女ペアの対抗戦なのでした。
いつもは皆中目指して対抗心を燃やす男性陣も、くじか何かでペアを組んだ女性を横にすると、みょーに頬の緩んだお顔になっちゃって、どこかほんわかムード。他の射会とはかなり雰囲気の違う射会でした。

他にも「接待係」という役目の人たちがいて、なんとかき氷食べ放題のサービスがありました。
写真の右隅。かき氷の写真は食べるのに夢中で撮るの忘れてしまいました。orz
今日は暑かったので、結局私は午前に1杯、午後に2杯食べました。え?多い?でももっと食べてた人、絶対いると思うけど~。

他にも昼食時に梨のデザートがあったりと、真夏の射会にしては快適なサービスがあったのでした。

小郡は弓仲間がお金を出し合って、自分たちが半分手作りで作った弓道場なのだそうです。
狭いスペースを利用して、大工仕事の得意な方が荷物置き場と弓立てを自作しています。

テレビまであって、結構居心地良さそうな控え室だったりして。狭い弓道場というハード面の足りない部分を、接待とかサービスとか気遣いとかソフト面で大幅にカバーしている所なんですね。

さて、午前と午後にそれぞれ四ッ矢を引いた今日の結果は、私は2中。ペアを組んだTM先生は3中。合わせて5中でぱっとしませんでした。ところが同じ5中でも算段のM子さん&黒クマペアは、そろって5射目に中ったので余興に出場できた上、見事会長賞を獲得。美味しい梨(筑前町産)をもらって大喜び。ちなみにTS先生も同じく会長賞で梨を獲得し、ペアのお裾分けはアンディーさんへ。

笑顔の2ペアを前にして、
「同じ5中でも、えらい違いだな。」とぼやくTM先生。
「七夕だから、これも星の巡り合わせってやつですよ。」と私。

さて、これで射会シーズンも一段落したので、次は秋の審査に向けてがんばるとするか。

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北京五輪

2008-08-09 20:05:24 | ニュース
北京オリンピックの開会式、見ましたか?
これでもかと繰り出される花火だらけ人だらけの中華民族最高!な開会式でしたね。

…って、実はちょっとだけみてげっそりしたのであんまし見とらんのです。開会式の感想は、こちらのブログがお気に入りなのでどうぞ。

開会式に先立って世界各国の首脳を集めた歓迎昼食会がありましたが、故主席夫妻は首脳らと記念撮影を行った際、首脳らを長い行列に並ばせて順番待ちをさせ、動かない故夫妻らへと歩み寄らせるという、大昔の朝貢外交をやってのけました。
胡主席との握手に長い列 五輪で歓迎昼食会
いやあ、あのブッシュやプーチンさえも並ばせるとは、スポーツと政治は無関係といいながら、徹底的に政治利用するお国柄がよく現れていた出来事でした。

人口消雨のロケット弾を1000発以上も発射したそうですが、まさに戦争なみ。環境には何の影響もないんでしょうか。テレビではヘルメットかぶった軍人らしき人が、上半身裸で高射砲を発射していたのが非常にシュールでした。翌日の北京はやたらと白くけぶった景色がテレビに映ってましたが、単にいつもの光化学スモッグなんでしょうかね。

開会式というおめでたい日は実際にグルジアで戦争も始まった記念日になっちゃいました。そういえば、中国は東京オリンピックをボイコットした挙げ句、オリンピック期間中に合わせて核実験をしましたね。オリンピックを平和の祭典だなんて本当に思っている人いるのかどうかは別として、あのメラメラと燃えさかる聖火を見ていたら、きな臭い火種のイメージを予感させるってもんです。

しかし日本の首相も自国選手に対して「まあ、せいぜい頑張ってください。」という気の抜けた励ましもさることながら、自国選手の入場行進中に立ちもせず、関係ないフリしたことにも唖然とした方が多かったんじゃないでしょうか。

もうすでに厳戒態勢の北京でアメリカ人観光客が一人殺されました。被害者は男子バレーボールチームのコーチの親類。どういう裏があるのやら。あんなにも厳重に警備をしていたのに、予想の斜め上を行く展開です。

聖火リレーからもう何から何まで不穏な空気漂う今回のオリンピック。まだ競技は始まったばかりですから、今後もじわっと見守りたいと思います。

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おおきな樹

2008-08-08 22:02:20 | 美味しい食事
櫨を通じて知り合ったSさんらと鳥栖市にある野菜料理レストラン「おおきな樹」に行ってきました。
ここは自家農園で無農薬・有機栽培した野菜を使った料理のお店です。

今日は勉強会ということで、食事の前にフードコーディネーターの松田さんの食に関するお話を聞きました。とても興味深い話が多かったんですが、中でも私が興味を持ったのが「アブラ」の話。

大量生産・大量消費をまかなうために、市販のある特保マークのついた植物油には「特別な」薬品や酸化防止剤などの様々な添加物が入っており、自然界に絶対存在しない油になっているのだそうです。しかし、自然界に存在しない油は人間の体も分解できないため「体に吸収されない」→「コレステロールをあげない」ということで、健康にいいという謳い文句で宣伝しています。「コレステロールをあげない」油というのは耳に心地よい響きですが、よく考えればそんな都合のよい油なんてなく、大きな代償を伴うものなんですね。

また原料から油を抽出する時の話。基本的に植物から油を抽出する時は、機械ですり潰して圧縮して搾り取って濾過する「圧搾法」が伝統的な手法ですが、最近の市販の植物油は薬剤抽出法が使われています。すなわち「ヘキサン」という化学物質を使っていること。ペンキをシンナーで溶かすように「ヘキサン」は原料のごくわずかな油分も抽出し、ヘキサンを先に蒸発させてまた回収し、それを何度も使うのが最も一般的な方法なんだそうです。

ここまで聞いて、私は食べ物の話を聞いているのに、櫨蝋の問題とかぶっていることに気がつきました。櫨蝋もれっきとした脂肪であり油脂でもあり、櫨の実から蝋を抽出する時、同じように伝統的な圧搾法とヘキサン抽出法とがあるからです。

ヘキサンを使って抽出した櫨蝋は、伝統的圧搾法で抽出した櫨蝋と比べ、手がけをする職人達の肌をかぶれさせるという報告が出ています。もちろん櫨マケじゃありません。「化学物質マケ」です。手がけでかぶれるぐらいですから、食べ物として体内に入れた場合の怖さを想像すると、ぞっとしてきます。化学薬品や添加物というのは食品に含まれる量はわずかですが、それが蓄積されてくると、将来、深刻な病気の原因になりえるのではないでしょうか。

お話の後は、お待ちかねのランチ(上画像)です。玄米・野菜中心のできるだけ油を使わない料理をいただきました。調理に気をつけるだけで、ずいぶんカロリーが減ります。これで500kcalだとか。ま、腹八分………七分って感じかな?ともかく食後のデザート・梅ゼリーも美味しかったです。

店内は省エネのため電気を消していますが、自然光だけで十分明るい光が入ってきます。


店内の一角に、店が使っている油や醤油などの食品や、おすすめの商品が置いてありました。

私はとりあえず、菜種を伝統的圧搾法で抽出した「菜種油」1200円を購入しました。
「もちろん安全な油だからといって、摂りすぎは禁物よ。ちょっとだけね。」とSさん。
……安全だから、がばーっと使おうかと思ってました。ま、そうですよね。

自然食品は普通のものより、やや値段が高めなのが難点ですが、こうした知識をもとに日頃から適度に心がけていくのが大切だと思います。

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田主丸郷土会歴史講座

2008-08-07 20:25:07 | 復活奮闘日記
来る8月30日(土)と9月27日(土)の二回にかけて、地元田主丸郷土会の歴史講座において「松山櫨」をテーマにした講演をすることになりました。

一回目は「亀王の大庄屋竹下武兵衛と松山櫨」
松山櫨は亀王の大庄屋竹下武兵衛が発見しましたが、何の脈絡もなく突然発見したのではなく、当時の天災や一揆といった時代状況の中で、必然的ともいえる運命の出会いがあったのではないかと思います。
そこで私は武兵衛をめぐる時代年表を作成し、できるだけ当時の状況を思い起こしながら松山櫨が生まれた背景を探りたいと思っています。

二回目は「松山櫨の歴史と現状」
松山櫨から櫨全体へと歴史を広げて、櫨蝋による和ろうそくのことや櫨産業の現状やこれからの展望をお話する予定です。

私は歴史家ではありませんので、松山櫨に関するほとんどの知識は故古賀幸雄先生の遺した著作によるものです。武兵衛に関して古賀先生に質問したいことがたくさんあったのに、直接お会いすることもなく昨年九月に亡くなられてしまい本当に残念です。今回の地域講座第一回目は古賀先生の昭和58年の講演記録をもとに、地元の歴史に詳しい郷土会の方達と一緒に松山櫨の生まれた当時の歴史の旅をしていくことになります。

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櫨蝋のワックス、東京進出

2008-08-06 21:57:05 | 和弓と櫨
嬉しいお知らせです。
東京の小山弓具で、「櫨蝋のワックス」を取り扱っていただくことになりました。

小山弓具の歴史を遡ると、古くは徳川家康公に付き従い、江戸城の薪調達係として仕え、六代目からは弓馬術礼法小笠原流宗家の御弓師となり、現在でも皇室行事に献上弓製作に携わったりと大変歴史のある弓道具店です。

私も使っている初心者向きのグラスファイバー弓「練心」は、こちらで製作されており、学生さんなども、気がつかないうちに小山弓具の弓道具を使っていることが多いんじゃないでしょうか。

すでにオンラインショップで販売してもらっています。サイトはこちら
弓引き御用達の品々が揃っているので、ぜひご覧下さい。

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東京ミッドタウンって何?

2008-08-05 21:47:52 | 復活奮闘日記
来月9月の一ヶ月間、東京ミッドタウン内のTHE COVER NIPPONで開催される「筑後展」に参加させていただくことになりました。

房屋さんを通じて、発起人の(株)サンテコーポレーションの原口社長やまるは油脂化学(株)の林社長からお誘いがあった時、「東京ミッドタウンって何?」と顔ポカン状態だった私。
無知って恐ろしいですね。どうやら日本の中心地・東京で、オフィスにショップ&レストラン、美術館、ホテル、広大なガーデンなど、様々な施設があり、刺激的なイベントが行われる今最もオシャレな所みたいです。

田舎に住んでいる私は、東京と聞くだけで気後れする上、そんな最先端の場所と何か関わりを持つなんて、本来考えもしなかったんですが、きっと櫨の神様のお導き?なんでしょうかね。

今回開催する「筑後展」は普通の物産展とは趣向が違い、商品が完全に日本製であり、筑後地域の産物であるという条件がありました。幸い、当委員会が販売している商品は全て条件にあてはまります。

今回の「筑後展」イベントは「ひだまりプロダクツ」と題されて、筑後地域でこだわりの商品を出している事業者が18社集まりました。長く伝統文化を継承してきた中小企業や、私みたいなポッと出の新参者もいたりして、こうした小さな日だまりを集めた会の旗印が「ひだまりCHIGGO」(上画像)となり、東京ミッドタウンで筑後の産物をアピールするわけです。

今日はえ~るピアで初顔合わせ。集まった事業者は、みな独創的な商品を出しており、商品に対し強い思い入れとこだわりを持っている方たちばかりのようで、私も心強く感じました。

先月末に当委員会の商品サンプル(眞櫨きゃんどるやキャンドルホルダー等)を送っており、商品のセレクトが心配でしたが、ありがたいことにこちらが提示した商品は全て取り扱ってもらえることになりました。

既に商品撮影が終わり、フリーペーパー作成の真っ最中です。どんな風に扱われているのか私も興味しんしん。
これから9月にかけて「筑後展」の情報が入り次第お知らせしていきます。

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Japan Wax Tree

2008-08-04 23:34:23 | 今までのまとめ
蝋というと、櫨蝋だけではなく、石油をはじめ、牛や豚(かつては鯨)などの獣脂、あるいは蜜蝋やウルシ蝋、カルナウバ蝋、パーム蝋、イボタ蝋等、いろんな種類の蝋があります。

それでは櫨蝋の特徴というのは何でしょう。
正木八十八著「日本の櫨と木蝋」によると、櫨蝋の主成分はパルミチン酸81%、オレイン酸13%、日本酸6%という純然たる脂肪だそうです。

パルミチン酸やオレイン酸は他の様々な油脂にも含まれていますが、「日本酸(Japan Acid)」が6%もの含有量を持つというのは櫨だけ。(中国ウルシにもごく微量に存在します)
この日本酸こそ、他の蝋では代用が聞かない、結晶が小さく粘り気のある日本の櫨蝋特有の成分なのです。

日本酸を持つ櫨蝋がJapan Wax、櫨の木がJapan Wax Tree と英訳される所以でもあります。

ところで、もうかなり前になるそうですが、製蝋メーカーの集まる「木蝋組合」で、中国に櫨を植栽したことがありました。もちろん目的は原料の低価格化でしょうが、結局は全滅してしまいました。
原因は櫨の木が中国という土地に合わなかったせいじゃないかと推測されていますが、何が原因にせよ、中国で根付かなくてよかったとつくづく思います。
ただでさえ中国産のモノであふれているのに、この上櫨蝋まで来た日にゃもう…。

とにかく潔く武士が切腹するがごとく、中国に植えられてしまった櫨は毅然として中国の地で生きることを拒否したのではないかと、私はそう理解しています。

日本にしかない櫨。
日本人しか作れない櫨蝋。

私には、櫨が衰退化した過去の遺物ではなく、かけがえのない日本の財産に思えてなりません。

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郡民体育大会

2008-08-03 22:33:31 | 和弓と櫨
今日は朝倉郡郡民体育大会でした。
まずは矢渡しから始まりました。


朝倉郡は東峰村(宝珠山)と筑前町しかないので5名一組による2チーム対抗戦ですが、ほとんど毎年宝珠山が勝っています。


人数が少ないので、四ッ矢三立ち12本を引きました。しかし、28中対21中となり、7中差で軍配は宝珠山へ。

中学生も、いっぱしの大人っぽく道着袴姿で引いていました。


ちなみに私は12本も引いたのに、中ったのは一本だけ。
手の内が緩んでいたのが原因みたいでした。

午後からはみっちり教士の先生から指導をうけましたが
まだいろいろと課題が多そうです。

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和ろうそく贈答セット

2008-08-02 21:25:34 | 復活奮闘日記
初盆や一周忌を迎える方に、和ろうそくの詰め合わせセットができないかと言われました。
「だ~いじょうぶ。予算内で入れてあげますよ!」
と、威勢のいい返事をしたものの、あーでもない、こーでもないと
ラッピングに一苦労しながら作ったのがコレ。
このフタつきカゴなら後で小物入れにも使えそうです。


このセットのふたを閉じて、のしをつけた後、風呂敷風に包んで渡します。
さて、気に入ってくれるかな?

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靴墨にも櫨蝋が

2008-08-01 23:00:56 | ワックスと石鹸
先日、水俣へ行った時、はぜのき館で撮ってきた写真です。
靴墨にも櫨蝋が使われているとのことです。
これらの商品を使ったことはありませんが、櫨蝋のワックスを靴磨きに使う場合もあることを、以前のエントリで書きました。

あれから実際に使っていただいた方からの話をまとめると、新品の靴には効果的な櫨蝋のワックスも、ある程度使い込んで表面の色が落ちたりした物にはあまり効果がないとのことです。深いキズや革が擦れてデコボコができてしまった場合は、こうした市販の靴墨の方が効果的なようです。茶色とかもあればいいのに。


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