寝つきの悪さ。浅い眠り。自律神経がイカレているのではないかと思ってしまう。読書に励むとついつい夜更かしをしてしまい、次第に寝起きが収拾つかなくなって、ついには眠る時間になっても、さっさと眠れなくなる。また睡眠時を12時に戻すのは大変である。昨夜は午前4時くらいについに眠って、9時半には起きた。眠れないものだから、夜中に酒をコップ一杯飲んだ。休むべき時間にまた肝臓に働いてもらうのだから、肝臓に負担だろう、と思ったが、そんな馬鹿なことをしてしまった。案の定、起きると、体調が違っている。おそらくこれは肝臓への負担の違和感である。
「菊亭八百善の人々」(宮尾登美子)を読んだ。江戸料理の料亭の話である。享保 の頃から続いた老舗料亭は、時の政策によって、閉店させられたりした。大正時代には関東大震災で倒壊し、再建したと思ったら、軍部による閉鎖命令、あっという間に、東京大空襲で焼かれてしまった。小説は戦後の再建から、うまくいかぬまま閉店するまでの話だった。
戦後は関西の料理に東京は席巻された。特に素材をいかす、京料理などによって江戸料理は見向きもされなくなった。宮尾登美子の言によると、八百善はその後銀座に店をだしたという。それで、それは興味深いと思い、ネットで検索すると、八百善は閉店していた。江戸の料理など「いなか料理」だと、きついことを言う人もいるが、江戸前寿司や天婦羅や鰻やアナゴ、すき焼きなどを生み出している。
八百善は懐石料理店である。江戸期、文人墨客で賑わった。しかし関東ローム層の土ではおいしい野菜もできなかった。魚も、肉も、京都や神戸に負けた。運送が便利になると、関西の素材が手に入るようになった。江戸料理に固執すると、客は離れていく。今は江戸料理の店は一軒もないということである。
この小説はテレビドラマにもなったらしい。DVDにもなっているので、今度借りようと思う。膳にのった料理を見てみたい。