25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

超スッキリした

2019年12月24日 | 日記
 58年前、9歳か10歳の頃、前の歯一本の乳歯が抜け落ちず、その乳歯一本について両親も敏感ではなく、永久歯が生えてきているというのに放っておいたら永久歯が乳歯に邪魔されて、行き場がなく、まっすぐではなく、乳歯を避けるように生えてきた。これには歯医者さんも困ってしまい、抜いてしまうのもまだ子供だからどうかとも思ったのだろう。なんとか格好をつけてくれたもののこれが人生で一番の鬼となった。

 大人になってからでもいっそのこと前歯4本を抜いて入れ歯にするという方法もあったのに、「抜く」という気持ち悪さに、できるだけ歯医者さんは避ける、意気地なさが身についてしまった。
 寄る年波には勝てず、歯周病も出てきた。なんとか歯肉を強める歯ブラシと歯磨きで頑張っているが、なんとも深いで「鬼の歯」も含めて、前歯4本、抜いてもらうことにした。
 その覚悟を決めて今日歯医者さんに行った。ぼくは60年も気にしてきたのに、歯医者さんは、ぼくの言うことに「うん、うん」と合図地を打ち、代替案もないらしく、ぼくの希望とおり、歯肉に麻酔を打って、ゴリゴリと歯を抜いた。全く痛くない。
 前歯4本がなくなったと思うとスッキリした。このスッキリ感は60年のこころの羞恥、苦痛、重荷なども吹き飛ばしてくれた。
 なんだ、こんなものか、と次には「もっと早くやっておけばよかった」という若干の後悔の念も湧いた。しかし断然、ようやくこの日が来たか、と感慨深いものがある。

 今はまだ口の中に血止めの綿が入っている。1時間で取り除いてもよい、というので、あと15分でさらに具体的にスッキリする。正月は前歯がないので、子供や孫には照れ臭いが、マスクでもしておればよかろう。
 歯医者さんには、「なまことあわびが食えるようにしてくれ」と言ってある。

 日中韓首脳会議、とくに日韓首脳会議があるとテレビは報じているが、日韓問題よりもぼくには「歯」のことに今日は思いが集中するだろう。人ひとりの細かいこと、小っちゃいことが人には国際問題よりも重要なのである。あと5分で血止め綿が取れる。