杣の径を歩くと云うのは、楽しい。
杣径は、不思議な径である。
まるで異次元へ通じる径、であるかのように錯覚してしまう。
「杣道」とは、杣人が使った細くて険しい道の事だ。
杣人とは、マタギ或いは山人、そして山での仕事を生業とする人の事。
獣道とは似て非なるものである。

この杣の径を歩きながら、ぼくは今年の夏の光と訣別した。
そんな気分でもあった。
夏の光から、杣道は秋へと移ろう。
移ろいは優しいのである。

「団栗の転び弾ける杣の径」

杣の径を歩んで倦み疲れたら、このベンチで一休みし給え。
きっと優しく抱き竦めてくれる。
この杣という言葉、秋から冬へと美しい響きとなって人の耳元に囁きかけてくる。
その秋の声を聴くのが大好きである。

杣道が発する訳でもなかろうに・・・。
だがしかし、確かに声がする。

あるいは、地中深く穿孔する蝉の幼虫の悲鳴か。
あるいはまた、螻蛄の鳴声か。
否、ぼくの囁きにも似た悲鳴なのかもしれない。
杣の径で、何か声を聴いたら・・・。
野人の囁く悲鳴だと、そう思ってくれないだろうか。

傷ついた心に、山が振動する。
マグマが、ゆっくりと盛り上がってくるかもしれない・・・。
因みにであるけれど・・・。
いまはこの径、トレイル・ランのルートとして活用されている。
山野を駆け抜ける、スポーツである。
それだけに素朴な径のオマージュは、減殺されてしまっている。
けれど、杣の径の面影は確かである。
荒 野人
杣径は、不思議な径である。
まるで異次元へ通じる径、であるかのように錯覚してしまう。
「杣道」とは、杣人が使った細くて険しい道の事だ。
杣人とは、マタギ或いは山人、そして山での仕事を生業とする人の事。
獣道とは似て非なるものである。

この杣の径を歩きながら、ぼくは今年の夏の光と訣別した。
そんな気分でもあった。
夏の光から、杣道は秋へと移ろう。
移ろいは優しいのである。

「団栗の転び弾ける杣の径」

杣の径を歩んで倦み疲れたら、このベンチで一休みし給え。
きっと優しく抱き竦めてくれる。
この杣という言葉、秋から冬へと美しい響きとなって人の耳元に囁きかけてくる。
その秋の声を聴くのが大好きである。

杣道が発する訳でもなかろうに・・・。
だがしかし、確かに声がする。

あるいは、地中深く穿孔する蝉の幼虫の悲鳴か。
あるいはまた、螻蛄の鳴声か。
否、ぼくの囁きにも似た悲鳴なのかもしれない。
杣の径で、何か声を聴いたら・・・。
野人の囁く悲鳴だと、そう思ってくれないだろうか。

傷ついた心に、山が振動する。
マグマが、ゆっくりと盛り上がってくるかもしれない・・・。
因みにであるけれど・・・。
いまはこの径、トレイル・ランのルートとして活用されている。
山野を駆け抜ける、スポーツである。
それだけに素朴な径のオマージュは、減殺されてしまっている。
けれど、杣の径の面影は確かである。
荒 野人