エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

吾亦紅

2016年10月25日 | ポエム
吾も亦紅なり!
そう叫びつつ,秋を告げる吾亦紅である。



誠に紅であって「そうだね!」と頷いてあげたい。
秋らしい花である。

秋・・・ぼくは必ず買い求めて家に帰る。
その時に憶い出す短歌は,石川啄木である。



友がみな
我より偉く
見ゆる日よ
花を買いきて
妻と親しむ

才能の欠片が光りつつも、世間に受け容れられない哀しさが漂う歌である。
啄木がまた、故郷の訛りを懐かしんだりする辛さ。
おそらく禁断の女性に問いかける・・・死にたくは無いか。
禁断の女性は・・・のんどの傷を見せる。

なんと云う、絶望であろうか。

今日、吾亦紅を見つつそんな事を思っていた。



白い吾亦紅があった。
始めての白吾亦紅であった。







「吾亦紅白い青いと誹られて」







薄みどりの花が、哀しいのである。



吾も亦紅なり、と訴えて欲しいではないか。
嗚呼、それなのに。

吾亦紅は,この写真のようであって欲しいのだ。
そうでなければ,吾亦紅とは云わないではないか。

吾亦白,なんて繪にならない。
秋の風情を、壊してしまうではないか。
けれど、きっとこの白い吾亦紅は辛いのである。

日曜日に投票日であった、二つの補欠選挙。
いつも思う事なのだけれど・・・。
当選者も、惜しくも落選された者も・・・。
選挙期間中に訴えた心情は、必ず実現して欲しいのである。
吾は白だから・・・などと「斜(はす)に構える」事無く政治を志して欲しい。

珍しい花を見た。
そんな事で,少し感傷的になった。
花の名前と、志について考えてしまったのである。



     荒 野人