エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

茶の花

2016年10月23日 | ポエム
茶の花,季語としては「冬」なのである。
けれども、もう大分前から咲いている。
少しづつ少しづつ,咲き継いでゆくのである。

そのありように、ぼくはいたく感動する。
感動するし、驚愕する。
命の「ほのほ」に対してである。



咲き終わっても、まだその使命感に燃えて枝に残ろうとする。
もう一方では、素早く落花して寿命を終えんとする花もある。



とりわけ古茶の木の下には、栄枯盛衰のドラマが待っている。
一つひとつの花の命、に対してである。

「花の命は短くて,苦しき事のみ多かりき」
だが,余人の視覚と嗅覚と、そして歓声を刺激する。
而して、命を終える。

苦しいけれど、恋せよ乙女。
でもある。



茶の花の蕾は,丸くて小さい。
薄みどり、である。
開けば,真っ白となる。
花の寿命の巧みさ、である。







「茶の花の丸き蕾や垣に沿い」






かくして、ぼくは茶の花に吸い付けられた。
同じ場所にバラ園があるのだけれど、古茶の木にべったりと貼り付いてしまった。

秋薔薇のかほりは、終始漂って誘うのだが・・・。
やはり、茶の花が素敵であった。



     荒 野人