エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

藤袴

2016年10月22日 | ポエム
ふじばかま・・・である。
季節としては、仲秋の頃が見頃なのだ。

既に遅し、の感がある。
けれど、一茎で何段にも枝別れして咲く藤袴は結構長く花を楽しめる。



この花は、東久留米の野草園の入口で見つけた。
まだ、薮蚊がいて腕を刺されながら歩いた。
奥に、細長く径が続いていて野草が植栽されている。







「ひと時の色づく前や秋の草」







こうして眺めていると、なかなかに風情の漂う秋の草である。
藤袴は、もう少しすると葉を黄葉させて散る。
儚く散ってゆく。



けれども、散りゆく前の生の謳歌はどんな花も同じである。
ほんのひと時、花を見せて・・・。
直ぐに散ってゆく。

その儚さに、文人は魅せられた。
古今東西,同じである。
儚さこそが、創作意欲を掻き立てるのかもしれない。

一瞬の、最後の瞬間に燃え上がる「ほのほ」である。
鮮烈で、熱い。
冷えているようでいて、内面は燃え上がっている。

人はそれを「年寄りの冷や水」などと揶揄する。
だがしかし、そうしたパトスが消えてしまったら俳句などは詠めない。
感動する心。
刹那を大切にする思ひ。
それが俳句なのかもしれない。



     荒 野人