9月の話です。
4月から手押し鉋 飯田のEJ302でがんばっていたのですが、
どうも調子が悪い、いくら調整してみてもお尻が削れてしまう。
機械屋さんに相談してみると、
もう一台別の機械と交換することにしてくださいました。
その、一台というのが、
太洋 SHP-300
家具職人の間では、「定盤に板が吸い付く」といういわれがある羨望の機種。
それがちょうど、機械屋さんに入ってきたところだったんです。
かなりラッキーです。
じゃーん、これが太洋 SHP-300
そのシンプルな形状、
右側がえぐれている優美なボディライン(削る作業の際足が立ちやすい)
日本の製造業が高みを目指して日々まい進していた時期を(私が勝手に)彷彿させる正面に大きく書かれた「TAIYO MANUFACTURING」の文字
戦艦のようなマーク
そして、板を平らに削るという、すべての木工作業の最初にして根幹の重要工程をこなすその品質
ということで、
私もあこがれていました。
他の中古の機械はオーバーホールをしてもらったときに塗り替えもしてくれているのですが、私の希望した色が「太洋カラー」とよばれるブルーがかった緑。
自動鉋や昇降盤、角のみなんかは太洋カラーなのに、太洋の機械がなかった。
そこに満を持して太洋がやってきたわけです。
こんなわけで、2台の手押し鉋を体験できることになったので、
太洋が好きなことは置いておいて、少し冷静に2台を比べてみようと思います。
1.定盤調整
実は、太洋の手押しが削れるという最大のポイントはここなのではないでしょうか。
SHPは、前定盤、後定盤とも4点支持でそれぞれが微妙な調整が可能なんです。
そのためにしっかり調整してやれば、きちっと削れるということにつながっていると思います。まあ、この調整は機械屋さんでも大変だというくらいなので、
なかなか自分でやることは難しいと思いますが。
少なくとも、EJ-302にはない調整でした
これが、飯田のEJ-302
2.定盤の厚み
これは厚いほうが平らな面を維持できそうです
SHP-300 70ミリ
EJ-302 60ミリ
太洋のほうが10ミリ厚いですが、それほど厚いというわけではないと機械屋さんが言っていました。
3.刃口の広さ
手道具の鉋も、刃口が狭いほうが安定して削れます。
機械も同じ原理でしょうか。
SHP-300 34ミリ
EJ-302 41ミリ
これは私の独断で普通に削れる状態で測った数値です。また機械の鉋胴の大きさも一緒とは限りませんので比較はできませんが、太洋のほうが狭かったです。
4.定規
直角を出す際の定規です。
SHP-300 127ミリ×1200ミリ 厚み30ミリ
EJ-302 110ミリ×980ミリ 厚み35ミリ
幅というか高さ?、長さともに太洋のほうが大きかったですが、厚みは飯田のほうが扱ったです。
5.定規の固定装置
SHP-300
ここは太洋のものは貧弱さは否めません。ちょっとの衝撃でずれそうな感じで、最初「これで大丈夫かなあ」とは思ったのですが、その後ちょくちょくスコヤでチェックしているのですが意外と安定。乱暴に扱わなければ大丈夫なようです。こまめにスコヤでチェックするいい習慣だと前向きに捉えています。
あと、定規の位置を大きくずらすときは、ネジをさしかえなければいけないのは不便ですね。10センチ、20センチ、30センチと3列の穴があいていてそこに移動します。これで逆にいい点は、機械の後ろに突き出る長さが短くなるので、スペースを少しですが有効に使えます。
あと太洋の定規は45度まで傾けられるようです。いまのところ使ったことはありませんが・・・
EJ-302
一方、飯田のほうは太いパイプを固定しているのですが、シンプルですがしっかり固定できます。定規の位置調整と締めるネジもレバー式で扱いやすいです。これは太洋と逆でパイプが後ろに突き出るスペースを確保しないといけません。
6.定盤の長さ
SHP-300 1830ミリ
EJ-302 2000ミリ
これは飯田のほうが長くていいです。ロングの場合、2200とかもありますから、太洋の1830は少々短いですね。まあ家具に使う通常の部材はそこまで長くないので、普段は問題ないのですが。
7.刃の長さ(有効切削幅)
SHP-300 300ミリ
EJ-302 310ミリ
ここは結構飯田を手放す際、残念だった点。たかが10ミリですがされど大きな10ミリです。つまり300ミリで仕上げたい板があった場合、310ミリで削って後から仕上げで300ミリに落とせるというのは大きな点です。のちのちこの10ミリに泣くこともあるかもしれません。
8.刃の交換
両方とも、通常のジョインター式で、それほど違いはないようです。
ただ太洋には鉋胴固定用のマグネットが別途付属していて、鉋軸ストッパーだけでは不安だからなのか、もしくはより精度高くセットするための積的な道具なのかわかりません。
9.切削屑の排出
SHP-300 後方から
EJ-302 側面から
飯田は側面から滑り台を落ちてくるように屑が落ちてきていて、つまりづらくていいなと思っていました。一方太洋は後方からなので、詰まりやすいのではと心配していたのですが、中は空洞でシンプルに後方に流れていくような作りなので安心しました。また機械正面の穴からよく見えるので、確認ができるし詰まっていればそこからエアーで吹いてやれば一発です。
10.電源コード
SHP-300 機械正面向かって左の前から
EJ-302 機械後方から
これは飯田のほうがスマートです。まあコードを長くしてやれば問題ないのですが。
以上、ちょっと考えられるポイントを比較してみました。
また気持ちの面では、機械の状態が違うので比較できませんが、
とにかく飯田のときは多少ズレがあったのか、
削るたびにストレス溜まるというか、心配で、削るのが怖いというか億劫というか楽しくありませんでした。
太洋は再度調整したうえで来た機械でしたから削れて当たり前なのかもしれませんが、
とにかく今は削っていて楽しいです。はぎ面もバッチリでますしね。
このストレスというのは、毎日使う仕事の機械でしたら早急に取り除いたほうがいいかもしれません。
数万円のアップ料金でしたが、私はこの交換は大きな正解だったと思っています。
太洋の刻印された製造年月日を見ると、
「1973年9月」
飯田は多少新しくて、それに比べると年数はかなり経っていますが、
私の誕生日は、
「1973年8月」
兄弟みたいなもんです。愛着を感じます。
きっと一生つきあっていくのでしょう。
4月から手押し鉋 飯田のEJ302でがんばっていたのですが、
どうも調子が悪い、いくら調整してみてもお尻が削れてしまう。
機械屋さんに相談してみると、
もう一台別の機械と交換することにしてくださいました。
その、一台というのが、
太洋 SHP-300
家具職人の間では、「定盤に板が吸い付く」といういわれがある羨望の機種。
それがちょうど、機械屋さんに入ってきたところだったんです。
かなりラッキーです。
じゃーん、これが太洋 SHP-300
そのシンプルな形状、
右側がえぐれている優美なボディライン(削る作業の際足が立ちやすい)
日本の製造業が高みを目指して日々まい進していた時期を(私が勝手に)彷彿させる正面に大きく書かれた「TAIYO MANUFACTURING」の文字
戦艦のようなマーク
そして、板を平らに削るという、すべての木工作業の最初にして根幹の重要工程をこなすその品質
ということで、
私もあこがれていました。
他の中古の機械はオーバーホールをしてもらったときに塗り替えもしてくれているのですが、私の希望した色が「太洋カラー」とよばれるブルーがかった緑。
自動鉋や昇降盤、角のみなんかは太洋カラーなのに、太洋の機械がなかった。
そこに満を持して太洋がやってきたわけです。
こんなわけで、2台の手押し鉋を体験できることになったので、
太洋が好きなことは置いておいて、少し冷静に2台を比べてみようと思います。
1.定盤調整
実は、太洋の手押しが削れるという最大のポイントはここなのではないでしょうか。
SHPは、前定盤、後定盤とも4点支持でそれぞれが微妙な調整が可能なんです。
そのためにしっかり調整してやれば、きちっと削れるということにつながっていると思います。まあ、この調整は機械屋さんでも大変だというくらいなので、
なかなか自分でやることは難しいと思いますが。
少なくとも、EJ-302にはない調整でした
これが、飯田のEJ-302
2.定盤の厚み
これは厚いほうが平らな面を維持できそうです
SHP-300 70ミリ
EJ-302 60ミリ
太洋のほうが10ミリ厚いですが、それほど厚いというわけではないと機械屋さんが言っていました。
3.刃口の広さ
手道具の鉋も、刃口が狭いほうが安定して削れます。
機械も同じ原理でしょうか。
SHP-300 34ミリ
EJ-302 41ミリ
これは私の独断で普通に削れる状態で測った数値です。また機械の鉋胴の大きさも一緒とは限りませんので比較はできませんが、太洋のほうが狭かったです。
4.定規
直角を出す際の定規です。
SHP-300 127ミリ×1200ミリ 厚み30ミリ
EJ-302 110ミリ×980ミリ 厚み35ミリ
幅というか高さ?、長さともに太洋のほうが大きかったですが、厚みは飯田のほうが扱ったです。
5.定規の固定装置
SHP-300
ここは太洋のものは貧弱さは否めません。ちょっとの衝撃でずれそうな感じで、最初「これで大丈夫かなあ」とは思ったのですが、その後ちょくちょくスコヤでチェックしているのですが意外と安定。乱暴に扱わなければ大丈夫なようです。こまめにスコヤでチェックするいい習慣だと前向きに捉えています。
あと、定規の位置を大きくずらすときは、ネジをさしかえなければいけないのは不便ですね。10センチ、20センチ、30センチと3列の穴があいていてそこに移動します。これで逆にいい点は、機械の後ろに突き出る長さが短くなるので、スペースを少しですが有効に使えます。
あと太洋の定規は45度まで傾けられるようです。いまのところ使ったことはありませんが・・・
EJ-302
一方、飯田のほうは太いパイプを固定しているのですが、シンプルですがしっかり固定できます。定規の位置調整と締めるネジもレバー式で扱いやすいです。これは太洋と逆でパイプが後ろに突き出るスペースを確保しないといけません。
6.定盤の長さ
SHP-300 1830ミリ
EJ-302 2000ミリ
これは飯田のほうが長くていいです。ロングの場合、2200とかもありますから、太洋の1830は少々短いですね。まあ家具に使う通常の部材はそこまで長くないので、普段は問題ないのですが。
7.刃の長さ(有効切削幅)
SHP-300 300ミリ
EJ-302 310ミリ
ここは結構飯田を手放す際、残念だった点。たかが10ミリですがされど大きな10ミリです。つまり300ミリで仕上げたい板があった場合、310ミリで削って後から仕上げで300ミリに落とせるというのは大きな点です。のちのちこの10ミリに泣くこともあるかもしれません。
8.刃の交換
両方とも、通常のジョインター式で、それほど違いはないようです。
ただ太洋には鉋胴固定用のマグネットが別途付属していて、鉋軸ストッパーだけでは不安だからなのか、もしくはより精度高くセットするための積的な道具なのかわかりません。
9.切削屑の排出
SHP-300 後方から
EJ-302 側面から
飯田は側面から滑り台を落ちてくるように屑が落ちてきていて、つまりづらくていいなと思っていました。一方太洋は後方からなので、詰まりやすいのではと心配していたのですが、中は空洞でシンプルに後方に流れていくような作りなので安心しました。また機械正面の穴からよく見えるので、確認ができるし詰まっていればそこからエアーで吹いてやれば一発です。
10.電源コード
SHP-300 機械正面向かって左の前から
EJ-302 機械後方から
これは飯田のほうがスマートです。まあコードを長くしてやれば問題ないのですが。
以上、ちょっと考えられるポイントを比較してみました。
また気持ちの面では、機械の状態が違うので比較できませんが、
とにかく飯田のときは多少ズレがあったのか、
削るたびにストレス溜まるというか、心配で、削るのが怖いというか億劫というか楽しくありませんでした。
太洋は再度調整したうえで来た機械でしたから削れて当たり前なのかもしれませんが、
とにかく今は削っていて楽しいです。はぎ面もバッチリでますしね。
このストレスというのは、毎日使う仕事の機械でしたら早急に取り除いたほうがいいかもしれません。
数万円のアップ料金でしたが、私はこの交換は大きな正解だったと思っています。
太洋の刻印された製造年月日を見ると、
「1973年9月」
飯田は多少新しくて、それに比べると年数はかなり経っていますが、
私の誕生日は、
「1973年8月」
兄弟みたいなもんです。愛着を感じます。
きっと一生つきあっていくのでしょう。