「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」を見てきました。
全然知らなかったのですが、見た時ヘンリー・ダーガーが健全になったみたいな感じだと思いました。ダーガーは少女がぼろぼろになりながら戦い続ける戦記を書き続けましたが、ヴェルフリは自分の歴史をまっさらに作り直します。イメージは違うのに文法が同じみたいな。
アドルフは家族と世界旅行に出かけ冒険を繰り返します(「揺りかごから墓場まで」)。そして王になり神になって世界を手に入れます。アドルフ二世の遺産を手に入れるにはどうしたらいいか、甥に説明する形で「地理と代数の書」を書き上げます。そして王国に捧げる「歌と舞曲の書」を書き、「葬送行進曲」を書きます。
いや、充分怖いか。
アール・ブリュットがこういう大きい展覧会で来るのも珍しいと思います。評価の仕方が難しい。面白いけど怖くもある。作品は新聞紙の裏に描かれ、隙間なく絵や記号や楽譜で埋め尽くされ、代数の書は簿記ですね。数字で埋め尽くされています。世界を買い資産計算しているのがすごい。何桁あるのよ。
そういえば昔ちらしの裏に落書きしていて、よく出来たからちゃんと書き直そうとするとそれより良くならないということがよくありました。裏紙が最適だったのかも。
別の世界に生きたと見るか、逃げたとみるか。巨大な国が広がっています。