松沢陽士「よみきかせ いきもの しゃしんえほん 46 うまれたよ! キンギョ」と七月隆文「ケーキ王子の名推理 7」読了。
「うまれたよ!-」これは金魚が卵から大人になっていく過程の写真ね、と思っていました。それが何も見えない広い金魚池の写真から始まります。めくったところがタイトル、網ですくっている金魚ピチピチのアップです。次がその網を持っている女性が池にいる光景。池の水を抜いて金魚をすべて取り出すそうです。いい金魚をより分けて雄100匹雌100匹、新しい池に水を一杯にして移します。日の出前まだ暗いうちから金魚が追いかけっこを始めます。雄が雌を追い回し寄ってたかって下から押し上げるので雌がおみこしに乗っているように水面に担ぎ上げられます。ここまでで半分のページ。ここから隔離した卵の成長が描かれます。すごいな、生々しい絵本です。シラス漁のような稚魚集団のアップや赤い佃煮のような金魚の出荷シーン。こうみると金魚を育てるのも漁なのね。
「ケーキ王子-」とうとう最終巻です。美味しそうなお菓子のうんちくや歴史が聞かれなくなるのも寂しいですが、未羽ちゃんの爆裂食レポが聞かれなくなるのが一番残念。颯人君が完璧な職人のようで未羽ちゃんと離れてボロボロになるところとか、今までを考えると意外です。やたら熱い食レポって誰が書いたのか丸わかり。ルイ君って職人気質だったのね。壺を焼いている陶芸家のおじいさんみたいだ。
映画「恋するピアニスト フジコ・ヘミング」を見て来ました。
驚いたのは歩いてい姿が小さい。歩行器を使って丸まってゆっくり歩かれていました。おばあちゃんだ(それはそうなんですが)。でもピアノを弾いている姿は女王様のようです。国民のことを愛していて慈悲深い、しかし友達はいない孤独な女王様。音がとても綺麗。優雅。
クラッシックにも流行り廃りがあるそうで。ドビュッシーやリストやその時代のようにロマンティックに弾きたかったそうです。でも彼女が習っていた頃は機械的な弾き方の全盛。超絶技巧の天才が次々出た時代なのかな。先生にとてもロマンティックだけど、その弾き方では売れないよと矯正されたそうで。色んな音があってもいいのに。舞台のピアノまで歩行器で歩かれていました。座ってアシスタントの人が髪を確かめて。そしてみんながひいてから幕が開く。そうか普通のコンサートでは幕が開いてからピアニストが出て来るんだ。往年の歌丸さんの高座を思い出しました(2014.9.21参照)。歩いていけないのに噺は特別。聞けて良かったと思いました。コンサート1度くらい行けばよかった。取れないか。
ご冥福をお祈りいたします。