「没後120年 エミール・ガレ展」を見て来ました。
ガレと言えばあれねと言うアールヌーボースタイルですが、ガレは最初からあのスタイルではなかったのだなと。ギリシャなど古典の歴史主義や異国主義、パロディなどを経て草花や昆虫にたどり着き、新進気鋭の工芸作家として父の会社を継ぎます。一般の需要で実用食器など作りながら、独自の画風を確立。金属グラインダーで複雑な凹刻を施し、競合メーカーと一線を画すスタイルを打ち出します。工芸の表現を拡張、美術館での展示やサロンへの出品も認められます。ヨーロッパ各自で同時多発的に起こったアールヌーボーの流行にガレもその傾向を強めます。で、電気の普及に電気照明器具という新しい表現分野を得ます。うん、ヨーロッパの照明って暗めよね。
1900年パリ万博での催事「ガラスの歴史」出品作に水差(キンギョ)があります。やや褐色を帯びた透明素地をフッ化水素酸でガラスを溶かすエッチング技法で凸刻し金魚と水草を表し、エナメルと金彩を併用して華やかな色調になっています。ふっふっふ、金魚と言うよりカサゴのようなとげとげの背びれ。珊瑚みたいに分岐したひらひらしっぽ。どちらかと言えば古っぽい絵ですがかわいい。アールヌーボー以前のものかな。がんばっている(何目線だ)。