寒波が来て、28日は金沢の自宅周辺でも5㌢ほどの積雪となった。その晴れ間には雪を頂いた松の木が青空に映えて晴れ晴れとした気分にさせてくれる=写真=。2013年を振り返れば、自身のこと、家族のこと、地域のこと、政治のこと、経済のこと、外交のこと、実にいろいろな展開があった。忘れないうちに書き留めておきたい。「2013備忘録」をシリーズで。
あるアメリカ人女性の志(こころざし)
ことし1月、知り合いのアメリカ人女性から「推薦状を書いてほしい」という相談の電話を受けた。聞けば、彼女はコロンビア大学の大学院に入りたいので推薦文が必要なのだという。私が彼女と初めて面識を持ったのは2010年だった。金沢大学が能登半島で運営している「能登里山マイスター」養成プログラム(Noto Satoyama Meister Training Program)に聴講生として彼女は入ってきた。このプログラムは、能登で生計を立てたいと願う若者たちの人材養成(Capacity building of Young Leaders)を行う。2年間のカリキュラムで、ここでは、環境に配慮した農林漁業や、山や海の自然資源を活用したビジネスを学ぶ。受講の可否を決める面接で印象的だったのは、彼女は能登を世界に向けて情報発信するいろいろなビジョンを持っていたことだった。
彼女は2007年、中等教育のALT(外国語指導助手)として能登に赴任した。2009年からは、能登半島の先端に位置する珠洲市にある株式会社塩田村で雇用され、伝統的な産業である「塩づくり」を学ぶチャンスを得た。彼女はさっそく世界に向けた情報発信に取り掛かる。奥能登の揚げ浜式の製塩法は日本の重要無形民俗文化財に指定されている。しかし、英語での解説が不足していた。彼女は、同社のホームページでその資料や道具を英語で解説するコーナーをつくった。日本人ですら理解できないような道具の名前や機能について、作業に当たる高齢者から丹念に取材して、分かりやすく英語で解説した。さらに、プロモートビデオ『Agehama Shiki Introductory Video』を、自らナレーションを担当して英語版を完成させた。また、塩田をテーマにしたドキュメンタリー映画の制作に積極的に参加し、自らも出演した。
私は、そうした彼女の意欲的な活動を評価し、2012年1月に金沢大学で教材として使うビデオ『GIAHS能登の里山里海』の英語版の作成協力を依頼した。この映像は、10分の解説映像だが、彼女は能登での体験をフルに生かして完成させた。英語を学ぶ学生たちにGIAHSを解説する際にこの英語版を活用、また、能登のGIAHSを調査に訪れる海外からの研究者にこのビデオを視聴してもらっている。その評判はとてもよい。ナレーションに能登を愛する気持ちがこもっているからである。 それは彼女の表現力でもある、
2012年5月、彼女はナビゲーターとして、NHKワールドTVに出演。能登の伝統文化や貴重な民俗を世界に英語放送として発信した。彼女の夢は、地域の活性化のため、企業活動を改善できるような仕事に就くことである。 私は、彼女には、一次産品に二次(加工)、三次(サービス)の付加価値をつけ、景観や文化資源を環境ブランドとして展開していく事業センスが必要と考える。世界の事例からそれらを学び、その知見を広め、地域と世界をつなぐ橋渡し役として成長してもらいたいと考えている。そして、彼女はそのための努力は決して惜しまないだろう。現在コロンビア大学大学院で地域ビジネス論を学んでいる。
⇒28日(土)夜・金沢の天気 ゆき
あるアメリカ人女性の志(こころざし)
ことし1月、知り合いのアメリカ人女性から「推薦状を書いてほしい」という相談の電話を受けた。聞けば、彼女はコロンビア大学の大学院に入りたいので推薦文が必要なのだという。私が彼女と初めて面識を持ったのは2010年だった。金沢大学が能登半島で運営している「能登里山マイスター」養成プログラム(Noto Satoyama Meister Training Program)に聴講生として彼女は入ってきた。このプログラムは、能登で生計を立てたいと願う若者たちの人材養成(Capacity building of Young Leaders)を行う。2年間のカリキュラムで、ここでは、環境に配慮した農林漁業や、山や海の自然資源を活用したビジネスを学ぶ。受講の可否を決める面接で印象的だったのは、彼女は能登を世界に向けて情報発信するいろいろなビジョンを持っていたことだった。
彼女は2007年、中等教育のALT(外国語指導助手)として能登に赴任した。2009年からは、能登半島の先端に位置する珠洲市にある株式会社塩田村で雇用され、伝統的な産業である「塩づくり」を学ぶチャンスを得た。彼女はさっそく世界に向けた情報発信に取り掛かる。奥能登の揚げ浜式の製塩法は日本の重要無形民俗文化財に指定されている。しかし、英語での解説が不足していた。彼女は、同社のホームページでその資料や道具を英語で解説するコーナーをつくった。日本人ですら理解できないような道具の名前や機能について、作業に当たる高齢者から丹念に取材して、分かりやすく英語で解説した。さらに、プロモートビデオ『Agehama Shiki Introductory Video』を、自らナレーションを担当して英語版を完成させた。また、塩田をテーマにしたドキュメンタリー映画の制作に積極的に参加し、自らも出演した。
私は、そうした彼女の意欲的な活動を評価し、2012年1月に金沢大学で教材として使うビデオ『GIAHS能登の里山里海』の英語版の作成協力を依頼した。この映像は、10分の解説映像だが、彼女は能登での体験をフルに生かして完成させた。英語を学ぶ学生たちにGIAHSを解説する際にこの英語版を活用、また、能登のGIAHSを調査に訪れる海外からの研究者にこのビデオを視聴してもらっている。その評判はとてもよい。ナレーションに能登を愛する気持ちがこもっているからである。 それは彼女の表現力でもある、
2012年5月、彼女はナビゲーターとして、NHKワールドTVに出演。能登の伝統文化や貴重な民俗を世界に英語放送として発信した。彼女の夢は、地域の活性化のため、企業活動を改善できるような仕事に就くことである。 私は、彼女には、一次産品に二次(加工)、三次(サービス)の付加価値をつけ、景観や文化資源を環境ブランドとして展開していく事業センスが必要と考える。世界の事例からそれらを学び、その知見を広め、地域と世界をつなぐ橋渡し役として成長してもらいたいと考えている。そして、彼女はそのための努力は決して惜しまないだろう。現在コロンビア大学大学院で地域ビジネス論を学んでいる。
⇒28日(土)夜・金沢の天気 ゆき