昨年8月に韓国・済州(チェジュ)島にシンポジウム参加のための渡島した。それゆえ、今回の旅客船「セウォル号」の珍島(チンド)付近での沈没事故が気になる。そして、テレビや新聞、インターネットでの報道をチェックすると、改めて日本と韓国の国民性の違いなども浮かび上がってくる。
「セウォル」という韓国の言葉は、日本語でいう「歳月」と説明されている。歌手の天童よしみが「珍島物語」を歌っていたので、この島の名前くらいはかすかに覚えていた。その島で起きた済州への修学旅行に向かう高校生が主に犠牲者となった。まさに悲劇だ。
不明者の家族らがきょう20日未明、抗議のために事故現場からソウルの大統領府に向かおうとして、警察と揉みあいになったとのニュースがあった。朴槿恵(パク・クネ)大統領への直訴が目的と伝えられている。沈没船の捜索活動が進まないことに対し、行方不明者の家族の怒りの行動だろう。この行動は、日本だったら起きるだろうか。おそらく、海洋警察(日本だと海上保安庁)の捜索をじっと待つ。日本の場合、捜査機関や救助隊への信頼感がある。もちろん、中には情報を早く開示しろといった抗議の声は上がるだろうが、大統領府のある青瓦台への抗議行動にはならないだろう。
数字の訂正が相次いだことは、どのような背景があるのだろうか。16日午前の事故直後、旅客船を運航している海運会社は乗船者数を数回訂正した。事故発生当初は477人と発表していた。まもなくして、459人に訂正、さらに462人と変更し、同日夜には475人に訂正した。そして、18日には乗船者名簿に記載のない死亡者が見つかったと発表している。チケットを買わずに乗船していた人がいるらしい、との理由だ。では、なぜノーチケットで乗船できるのかと次なる疑問が出てくる。これは会社の内部の問題なのか、何か社会的な慣行でもあるのだろうか。
船長が真っ先に船を離れるという事実があった。船長(68歳)、事故当時に操船していた3等航海士(25歳)、操舵手(55歳)の3人が逮捕された。3等航海士は「現場付近で速度を落として右に曲がるべきなのに、ほぼ全速力で進んで方向を変えた」と供述しているという。この方向転換によって、船がバランスを崩し、統制不能になったというのがどうやら沈没の原因らしいとメディア各社が報じている。救助されたがゆえに、事故原因も早々に分かったのだが、その次に船長として、操縦者としての責任論が浮かんでいる。乗客の誘導をなぜ行わなかったのか、救命ボートはなぜ下ろされなかったのか、なぜ任務を放棄して、真っ先に現場を離れたのか。これは個人的な行動なのか、会社のコンプライアンスの問題なのか、地域の気風なのか、国民性なのか、そんなことを考えてしまう。悲劇の要因もいくつもありそうだ。
⇒20日(日)午後・金沢の天気 くもり

不明者の家族らがきょう20日未明、抗議のために事故現場からソウルの大統領府に向かおうとして、警察と揉みあいになったとのニュースがあった。朴槿恵(パク・クネ)大統領への直訴が目的と伝えられている。沈没船の捜索活動が進まないことに対し、行方不明者の家族の怒りの行動だろう。この行動は、日本だったら起きるだろうか。おそらく、海洋警察(日本だと海上保安庁)の捜索をじっと待つ。日本の場合、捜査機関や救助隊への信頼感がある。もちろん、中には情報を早く開示しろといった抗議の声は上がるだろうが、大統領府のある青瓦台への抗議行動にはならないだろう。
数字の訂正が相次いだことは、どのような背景があるのだろうか。16日午前の事故直後、旅客船を運航している海運会社は乗船者数を数回訂正した。事故発生当初は477人と発表していた。まもなくして、459人に訂正、さらに462人と変更し、同日夜には475人に訂正した。そして、18日には乗船者名簿に記載のない死亡者が見つかったと発表している。チケットを買わずに乗船していた人がいるらしい、との理由だ。では、なぜノーチケットで乗船できるのかと次なる疑問が出てくる。これは会社の内部の問題なのか、何か社会的な慣行でもあるのだろうか。
船長が真っ先に船を離れるという事実があった。船長(68歳)、事故当時に操船していた3等航海士(25歳)、操舵手(55歳)の3人が逮捕された。3等航海士は「現場付近で速度を落として右に曲がるべきなのに、ほぼ全速力で進んで方向を変えた」と供述しているという。この方向転換によって、船がバランスを崩し、統制不能になったというのがどうやら沈没の原因らしいとメディア各社が報じている。救助されたがゆえに、事故原因も早々に分かったのだが、その次に船長として、操縦者としての責任論が浮かんでいる。乗客の誘導をなぜ行わなかったのか、救命ボートはなぜ下ろされなかったのか、なぜ任務を放棄して、真っ先に現場を離れたのか。これは個人的な行動なのか、会社のコンプライアンスの問題なのか、地域の気風なのか、国民性なのか、そんなことを考えてしまう。悲劇の要因もいくつもありそうだ。
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