先月(1月)10日、北陸放送と石川テレビ放送が共用する送信鉄塔施設=写真=で、落雷による火災が発生し、石川県内の一部地域を除く38万世帯で両社のテレビ放送が15時間も視聴できなくなるという事故が発生し、全国ニュースにもなった。現在も一部の世帯では 視聴できない状況が続いている。我が家でも雪が激しい降る日などはテレビ画面がブラックアウトとなる日がこれまで何度かあった。完全復旧に向けて遅くとも8月末までかかるようだ(北陸放送HPより)。
今回の放送障害事象が放送法の重大事故に相当することから、両社は発生原因や再発防止策などを取りまとめ、きのう(9日)総務大臣あての報告書を北陸総合通信局に提出した。以下、報道各社が報告書の概要を伝えている。
そもそも火災の原因は何だったのか。先月10日午後0時11分ごろ、鉄塔の高さ110-120㍍付近に雷が横から落ちたと推測されている。その際、鉄塔内で気中放電(スパ-ク)が発生して鉄塔内のケーブルが発火、火が徐々に上に伝わってアンテナや別のケーブルが焼け、電波が停止した。報告書はもう一つの火災の可能性があるとしている。高さ130㍍付近に落雷し、映像音声の受信装置(FPU)のケーブルに雷の電気が流れ、発火したというもの。消防署の調べでは、FPUの避雷器盤がもっとも激しく焼けていることが判明したが、火元は特定されていない。午後6時40分に石川テレビが停波、その後7時ごろに北陸放送も停波した。
両社は再発防止策として、横からの落雷を防ぐ避雷針を設置する、監視カメラや煙感知器を設置する、ケーブルを燃えにくいものにする、などの対策を講じるとしている。
先日(2月2日)テレビ業界の関係者から興味深い話を聞いた。落雷があった送信鉄塔と同じ金沢市観音堂町にテレビ金沢、北陸朝日放送、NHK金沢の3社が共用する送信鉄塔がある。同じ域内にあるテレビ鉄塔で被害があった、なかったの違いはどこにあるのかと。業界関係者は「それは消雷装置のおかげではないですか」と話した。初めて耳にした「消雷装置」とは何か。電気を通さない数十㌢の特殊なガラス管を避雷針に設置し、雷の原因となる大気中の電子の移動を打ち消す装置。金沢工業大学の教授が開発し、テレビ金沢の本社鉄塔で実証実験を経て、送信鉄塔に取り付けた経緯があるという。
業界関係者は「落雷があった鉄塔に消雷装置が取り付けてあったかどうかは定かではないし、消雷装置がどこまで有効なのかは科学的には分からない。ただ、取り付けてある鉄塔にはこれまで雷の被害がなかったのは事実」と。この消雷装置は特許申請がなされている。
⇒10日(土)午後・金沢の天気 くもりのち雨