参院選挙まであと5日、与野党が論戦を繰り広げている。物価高への対策にはボルテージが上がっているようだが、どうしても気になるのは、日本海側などの安全保障環境だ。
中国軍とロシア軍の爆撃機4機が日本海や東シナ海などで長距離にわたって共同飛行している(5月24日)。そして、ロシアの駆逐艦5隻が日本海など列島を周回し、中国の駆逐艦3隻も日本列島に沿う形で航行するなど不気味な動きを繰り返している。北朝鮮のICBMの連続発射、さらに核実験と新たな核兵器開発も懸念される。隣国のこうした武力ハラスメンにどう対抗していくのか。参院選では防衛費の増額については聞こえてくるが、間近に迫っている危機については具体案が聞こえてこない。
中でも気になるのが北朝鮮による核実験だ。北朝鮮の北部の日本海側にある豊渓里(プンゲリ)の核実験場では、核実験の準備がすでに進んでいると国際原子力機関の事務局長が発表している(6月6日付・IAEA公式サイト)。いつ核実験を行うのかと世界は注視していた。しかし、いままでのところ音沙汰はない。
その理由として考えられるのは、核軍拡競争に終止符を打ち核戦争を防止することについて話し合う国連軍縮会議。北朝鮮はこの会議の議長の座にあった。議長は持ち回りの1ヵ月間で就任は5月30日付、6月25日までだった。議長の座にある間はいくらなんでも核実験はしないだろうと自身も読んでいたが、その座を降りてからすでに10日経つ。そろそろ動き出すのではないか。
前回2017年9月の核実験(6回目、160kiloton=キロトン)では、北朝鮮はICBM用の水爆実験に成功と主張していた。キロトンは原爆や水爆の爆発力を表す単位で用いられ、1キロトンは火薬1000㌧に匹敵する爆発力とされる。その160倍の爆発力だった。これはアメリカが1945年8月、広島に落とした原爆の10倍、そして長崎の8倍に相当するもので、当時、世論は騒然となった。
再開するであろう北朝鮮の新たな核実験の規模はさらに大型化する可能性もある。そして、核兵器を搭載した弾道ミサイルで日本と韓国を攻撃する軍事力をすでに有している、と考えても不自然ではない。隣国の脅威は着実に高まっているにもかかわらず、政治は具体策を示せないのか。
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