きのう(11日)から雷鳴がとどろいている。北陸ではこの時節の雷を「雪出し」や「ブリ起こし」などと言う。いよいよ冬の訪れである。とくに金沢は雷が多い。気象庁の雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1991-2020年)によると、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ。雷がとどろけば、落雷も発生する。石川県の消防防災年報によると、県内の落雷による火災発生件数は年4、5件だが、多い年(2002年)で12件も発生している。とくに12月から1月の冬場に集中する。 雷が人々の恐怖心を煽るのはその音だけではなく、落雷はどこに落ちるか予想がつかないという点だ。これが怖いので、自身のパソコンは常に雷ガードのコンセントを使用している。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合でも「雷サージ」と呼ばれる現象が広範囲に起きる。いわゆる電気の津波だ。この雷サージがパソコンの電源ケーブルから機器内に侵入した場合、部品やデータを破壊することになる。いわゆる「雷害」からパソコンを守るためにガードコンセントは不可欠なのだ。このコンセントは金沢市に本社があるメーカーが製造したもの。北陸で雷害のケースと実情を研究し耐雷対策に取り組んできた企業の製品なので信頼を寄せている。
落雷から自宅を守るために金沢では避雷針を付けている家庭が多い。ただ厄介なのは、雷は空から地上に落ちる際、まれに横から落ちてくるケースもある。2018年1月に金沢のテレビ局の送信鉄塔で落雷による火災が発生し、石川県内の一部地域を除く38万世帯で15時間も電波が止まるという放送事故があった。鉄塔にはてっぺんに避雷針は設置されていたが、雷が横から落ちて、鉄塔内で気中放電(スパ-ク)が発生、ケーブルが発火して電波が停止した。
ところが、落雷があった送信鉄塔の近くには別のテレビ局の送信鉄塔があったが、ここには落雷はなかった。同じ域内にあるテレビ鉄塔で落雷があった、なかったの違いはどこにあったのか。業界関係者から聞いた話だが、落雷がなかった鉄塔には「消雷装置」が設置されていたのだという。「消雷装置」は初めて聞いた言葉だった。電気を通さない数十㌢の特殊なガラス管を避雷針に設置し、雷の原因となる大気中の電子の移動を打ち消す装置。金沢工業大学の教授が開発し、実証実験を経て製品化されている。雷ガードのコンセントにしても、消雷装置にしても「必要は発明の母」である。
雷だけでなく、金沢は年間を通して雨の日が多く、年間の降水日数は170日余りと全国でもトップクラスだ(総務省「統計でみる都道府県のすがた」) 。天気も変わりやすく、朝晴れていても、午後には雨、ときには雷雨もある。そのような気象の特徴から 金沢では「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉がある。「必要は言葉の母」でもある。ただ、新型コロナウイルス感染が続くこのご時世では「弁当忘れてもマスク忘れるな」かもしれないが。
(※写真は、北陸電力公式ホームページ「雷情報」より)
⇒12日(金)午後・金沢の天気 あめ
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