自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆2021 バズった人、コト~その4

2021年12月27日 | ⇒ドキュメント回廊

   新型コロナウイルス感染で昨今のキーワードは「オミクロン株」と「市中感染」だろうか。では、一時期吹き荒れた「アベノマスク」はどうなったのか、その騒動とてん末を振り返ってみる。意外にも、まだ身近な問題としてその言葉があることに気づく。

   ~「アベノマスク」騒動のてん末 破棄かリサイクルか、その行方は~

   知人たちに「ところでアベノマスクはどうした」とメールでさりげなく問うと、ほとんどが使用しておらず、「机の中にまだしまってある」との答えが戻って来る。まるで「記念品」の状態だ。昨年4月7日に布マスクを全世帯に2枚の配布を閣議決定し、政府目標は月内配布だった。マスク支給予算は466億円。ところが、5月下旬になっても配達率は25%だった。緊急事態宣言が全面解除(5月25日)となったころには、すでにドラッグストアなどでマスクの安売りが始まっていた。我が家にアベノマスクが届いたのは6月1日だった。それ以来、自身も机の中にしまっていた。

   マスク配布の遅れが不評で安倍内閣の支持率が急速に落ち始める。共同通信社の全国緊急電話世論調査(5月29-31日実施)で内閣支持率は39.4%に落ち、読売新聞社の世論調査(8月7-9日実施)でも内閣支持率は37%とダウン、不支持率が上昇し54%となった。支持率下落はマスクの遅れだけでなく、7年8ヵ月続いた長期政権の賞味期限切れということもあったろう。9月16日に安倍内閣は総辞職する。

   そしてアベノマスクの在庫問題がいま浮上している。朝日新聞Web版(12月21日付)によると、国は約2億9千万枚の布マスクを調達したが、今年3月末時点で3割近い8272万枚が在庫の状態となった。昨年7月末から希望する介護施設や保育所などへ無料配布を行っているが、はける様子はない。昨年8月からことし3月の保管費用だけで6億円かかっている。保管場所も日本郵便から佐川急便へ、ことし4月からは日本通運の倉庫に。移送費や保管費で今年度はさらに3億円を超える見通し。

   厚労省は今月22日にマスクの在庫をメディアに公開した。倉庫には布マスクが入ったおよそ10万箱の段ボールが山積みにされ、113億円相当のマスクが眠ったまま。岸田総理は21日、マスクの在庫について、希望者に配布し有効活用を図ったうえで、残りは年度内をめどに廃棄する意向を明らかにした(22日付・NHKニュースWeb版)。以下は憶測だ。「破棄するなら欲しい」と途上国などからマスクの受け入れ希望があるだろう。その場合、海外への輸送費は日本の負担が条件となる。そうなれば、「お人よし外交」とメディアからさらにバッシングを受ける。

    自身の机にしまっておいたアベノマスクを取り出して、触ってみる=写真=。布製マスクはガーゼ生地で12枚重ねて縫製してあり、手触りがよい。ガーゼの原料は木綿(コットン)なのでリサイクルすれば、ハンカチやタオル、カーテン、肌着などさまざまな用途があるのではないか。廃棄するより、全国の繊維リサイクル業者に渡す方がいい。その場合、業者の引き取りの運送コストは国と折半でもよいのではないか。国会で追及されても、「SDGsにかんがみて」と理由がつくだろう。

⇒27日(月)午後・金沢の天気      ゆき 


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