自在コラム

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☆風は回る

2018年07月11日 | ⇒トピック往来

   風車にこれほど近づいたことはなかった。ゴッー、ゴッーと轟音が響かせ、ブレイド(羽根)が回っている。ここは能登半島の尖端、30基の大型風車がある「珠洲風力発電所」だ。2008年から稼働し、発電規模が45MW(㍋㍗)にもなる国内でも有数の風力発電所という。

   発電所を管理する株式会社「イオスエンジニアリング&サービス」珠洲事務所長、中川真明氏のガイドで見学させていただいた。ブレイドの長さは34㍍で、1500KW(㌔㍗)の発電ができる。アメリカのGE社製だが、最近は2MWや3MWのブレイドもあり、日本でも日立製作所が製造している。材質はFRP(繊維強化プラスチック)。発電の仕組みを教わった。風速3㍍でブレイドが回りはじめ、風速13㍍/秒で最高出力1500KWが出る。風速が25㍍/秒を超えると自動停止する仕組みなっているそうだ。羽根が風に向かうのをアップウインドー、その反対をダウンウインドーと呼ぶのだという。

   なぜ能登半島に立地したのか。しかも、半島の尖端に。「風力発電で重要なのは風況なんです」と中川氏。強い風が安定して吹く場所であれば、年間を通じて大きな発電量が期待できる。中でも一番の要素は平均風速が大きいことで、6㍍/秒を超えることがの目安になる。その点で能登半島の沿岸部、特に北側と西側は年間の平均風速が6㍍/秒を超え、一部には平均8㍍/秒の強風が吹く場所もあり、風力発電には最適の立地条件なのだ。1500KWの風車1基の発電量は年間300万KW。これは一般家庭の8百から1千世帯で使用する電力使用量に相当という。珠洲市には1500KWが30基あるので、珠洲市内6000世帯を使用量を十分上回る。

   いいことづくめではない。能登半島で怖いのは冬の雷。「ギリシアなどと並んで能登の雷は手ごわいと国際的にも有名ですよ」と中川氏。羽根の耐用年数は15年とされるが、「なんとか20年はもたせたい」とも。ただ、雷のほかに、黄砂や空気中のほこりで汚れる。全国では2200基本余り、石川県では71基が稼働している。最近では東北や北海道で風力発電所の建設ラッシュなのだそうだ。

⇒11日(水)午前・金沢の天気    くもり

  


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