きょう「すずなり食堂」に行ってきた。能登半島の尖端、珠洲市で開設された仮設店舗の食堂だ=写真・上=。能登半島地震で被災し休業を余儀なくされた市内の飲食店が協業するカタチで共同で食堂を始めた。地震前は、「グリル瀬戸」「レストラン浜中」「庄屋の館」「典座(てんぞ)」と特徴と歴史がある4店だったが、それぞれ被災したため合同会社「すずキッチン」を設立して、きのう(6日)から「すずなり食堂」の運営を始めた。
地元メディアの報道によると、仮設店舗は270平方㍍の平屋で、中小企業基盤整備機構の補助金を活用して珠洲市が建設。原則無償で入居でき、光熱費や内装費などは事業者が負担する。合同会社の代表は、典座を営んでいた坂本信子氏。これまで典座で何度も能登の料理をたしなんだことがあり、気安くすずなり食堂を開店した経緯について話を聞いた。「地域の復興の第一歩は食からと思い、共同で食堂を立ち上げました。自分たちの暮らしを取り戻し、珠洲の観光や生活が元に戻るようにしたいですね」と話した。
平屋のプレハブの建物には、共同の食堂と弁当専用の工房があり、食堂に入った。食券の自動販売機があり、「福幸(ふっこう)丼」を注文した=写真・下=。「福幸」は「復興」を意味している。2750円。値段としては高いが、地元で獲れたエビやブリなど新鮮な魚介類をふんだんに乗せた海鮮丼だ。市内の食堂はほとんどが休業状態ということもあり、店はとても繁盛していた。合同店の厨房に立つ板前さんたちも生き生きとした感じで動き回っていた。
メニュー表を見ると、「福幸丼」のほかに、「タコカツ丼」(1430円)、サバ塩焼き定食(1100円)、カツカレー(1380円)、かき揚げうどん(860円)などメニューは10種。それぞれの店が得意とするメニューが並ぶ。中でも、注文が多かったのはタコカツ丼だった。これは、上記の4店のうちの「庄屋の館」が得意とするメニューで、タコをカツにして独特のソースをかける特徴ある逸品だ。そんな話題性もあったせいか店は大繁盛で、自身は20人待ちの状態だった。
店の雰囲気は明るかった。上記の坂本さんが「復興の第一歩は食から」と言ったように、店の中では笑い声も聞こえ、家族連れのほかに若い人たちや業者らしき人たち、おばさんたちのグループなどさまざまが顔ぶれがあった。復興への希望を感じる雰囲気があった。今度はタカコツを食べに来よう。
⇒7日(土)夜・金沢の天気 はれ
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