大の里の「最速初優勝」の続き。大の里は2月6日に同郷の遠藤(穴水町出身)、輝(七尾市出身)とともに能登半島地震の被災地の避難所4ヵ所を訪れている。地元メディアによると、最初に訪れたのは、大の里の祖父が暮らす内灘町の避難所だった。同町では、能登半島地震による揺れと液状化現象で、住宅123棟が全壊、524棟が半壊となるなど大きな被害が出ている。町の避難所で大きな拍手で迎えられ、大の里は「母親が内灘町出身で、おじいちゃんにも久しぶりに会えた。来られてうれしい」と話し、「今後も明るい話題を届けたい」と土俵での健闘を誓った。
次に、3人は輝のふるさと七尾市の避難所2ヵ所を訪れ、記念撮影やサインを記すなどして被災者を激励して回った。同市石崎町出身の輝はまさに同郷の大先輩である第54代横綱の輪島大士(1948-2018)のことを移動中の車の中などで語ったことだろう。あるいは移動途中に、地元の中学の敷地の中にある「輪島大士之碑」を見学したかもしれない。この石碑には、初土俵から3年半で横綱へ駆け上がるまでの功績が記されている。同市では4月6日に春巡業が予定されていたが、地震を受け見送りとなった。3人の会話の中では、「(巡業を)やりたかったな」と残念がったことだろう。
最後に3人が訪れたのは遠藤のふるさと穴水町の避難所だった。ここで遠藤は「元の日常に必ず戻れると信じている」と被災者にエールを送った(2月7日付・北國新聞)。会場には、遠藤が子ども時代に通った相撲教室の関係者や、同教室で主将を務める小学4年の男児も来ていて、「笑顔が見られてよかった。元気を届けるために来たが、逆に励まされた」と語った(同・北陸中日新聞)。
各避難所では郷土3力士のそろい踏みに被災者は励まされたことだろう。そして、3力士も笑顔で迎えられ、勇気もらったに違いない。それが今場所の結果に出た。大の里は夏場所の千秋楽で初優勝を果たした。遠藤は今場所、幕内から陥落して8年ぶりの十両となったが、12勝の好成績で終えた。同じく十両の輝は11勝だった。
新聞メディア各社はけさの一面で大きく報じている。そして、地元紙はきのう夜に号外を出している。郷土力士の躍進とともに、震災復興に弾みを付けたい。そんな思いが伝わって来る。
⇒27日(月)午前・金沢の天気 くもり時々はれ
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