道路が修復されて輪島市町野町に行けるようになったで、きのう(22日)見てきた。「上時国家」(かみときくにけ)が倒壊したとの報道があったので、この目で確認したいという思いがあった。というのも、金沢大学の教員時代に学生たちを連れて毎年秋に「能登スタディ・ツアー」を実施し、能登の歴史の一端を学ぶ場として上時国家を訪れていた。
上時国家は1185年(文治元年)の壇ノ浦の戦いで平家が敗れ、能登へ配流になった平時忠の子孫・時国に由来する住宅で、国の重要文化財に指定されている。今回の地震では1階部分がつぶれ、厚さ約1㍍におよぶ茅葺の屋根が地面に覆いかぶさるように倒壊していた=写真=。
観光パンフによると、入母屋造りの主屋は約200年前に造られ、間口29㍍、高さ18㍍に達する。部屋は金を施した「縁金折上格(ふちきんおりあげごう)天井」など手の込んだ内装や巨大な梁はりが特徴。幕府領の大庄屋などを務め、江戸時代の豪農の暮らしぶりを伝える建物でもある。2003年の重文指定の際には、「江戸末期の民家の一つの到達点」との評価を受けていた。
ただ、個人所有であり、新型コロナウイルス禍で観光客が減少したことなどから維持管理費の捻出が難しくなり、2023年9月以降は一般公開を終了し、閉館としていた(Wikipedia「上時国家住宅」)。
国や自治体が指定・登録する国宝などの文化財などが今回の地震で損傷したケースは328件に上り、石川県だけでも111件が確認されている(2月15日付・文科省まとめ)。今後、文化財をどう修復していくのか、時間との戦いが始まるのだろう。何しろ、上時国家のように国の重要文化財の指定を受けている場合、建築当時と同じ材料や技法で修復しなければならないため、調査や材料の調達に途方もない時間がかかるのだ。
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