きょうの朝は名残り雪がちらちらと降っていた。名残り雪は冬の季節の終わりを告げる旅情的な表現にたとえたものだが、予想を超える雪に豹変することもある。いまから10年前、2015年の3月のことだ。この年の正月三が日は雪のピークで雪すかし(除雪)に追われた。2月に入ってからはほどんどスコップを持ったこともなかった。ご近所さんとも「雪が降らないので助かりますね」と言葉を交わしていた。それが3月に入って、名残り雪のようなものが降ってきた。さらに雪模様が荒れ模様となり、3月12日には自宅周囲で10㌢ほどに積もった=写真=。
名残り雪なんてものではなく、まさに「戻り寒波」となった。この予期せぬ雪で慌てたのは金沢市役所だった。北陸新幹線の金沢開業の日が3月14日だった。市役所では、春の装いで新幹線客を金沢でお迎えしようと、例年より1週間早く3月3日からJR金沢駅東口のクロマツなどの雪吊りを外したほか、市内メインストリートの街路樹の雪吊りを外していた。
それが、10㌢ほどの積雪となった。3月の雪は湿気を含んでいて重い。雪でボキリと枝が折れることもある。このとき、石川県が管理する国の特別名勝・兼六園の雪つり外しは例年通りの3月16日で行われ、戻り寒波での樹木などへの被害はなかった。
北陸新幹線金沢開業に合わせて、早く春の装いを整えようとした金沢市の行政側の心意気はあっぱれだったが、タイミングが外れた。この戻り寒波は数日で止んだ。ちなみに、北陸新幹線は雪に強い。2015年の開業以来、東京と金沢で発生した大雪による運休は、わずか3回のみ。車両の先端部には、線路の積雪を弾き飛ばす「スノープラウ」が装備され、線路両側の防音壁に幅が広いひさしを設置するなど、徹底した雪害対策が施されている。
⇒3日(月)夜・金沢の天気 くもり
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