自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★米朝首脳会談がダナンで、ならば

2019年02月03日 | ⇒メディア時評

   次なるアメリカと北朝鮮の首脳会談が気になるところ。トランプ大統領が5日の一般教書演説で再会談の日程や場所を発表する可能性があるとも報じられている。2日付の韓国の中央日報Web(日本版)は日朝首脳会談に関連する社説を掲載している。以下引用。

    「米国が韓半島(朝鮮半島)で戦争を終える終戦宣言の意志に言及した。ビーガン北朝鮮担当特別代表の言葉だ。ビーガン代表は一昨日、米カリフォルニア州スタンフォード大ウォルター・H・ ショレンスティン・アジア太平洋研究センターが主催した講演で『トランプ大統領は朝鮮戦争を終わらせる準備ができている』とし『北朝鮮侵攻や政権転覆を追求しないはず』と明らかにした。また『最後の核兵器が北朝鮮を離れて制裁が解除されれば、大使館に国旗が掲げられ、平和条約が締結されるだろう』と述べた。ビーガン代表が今月末に開かれる見通しの2回目の米朝首脳会談を控え、米国の立場を公開したとみられる。」

    北朝鮮の核兵器が撤廃されれば、アメリカと北朝鮮の間で平和条約が締結される可能性があるとの内容だ。この文脈は、米朝首脳会談ではトランプ大統領は金正恩委員長に対し核兵器廃絶と引き換えに平和条約を結ぶことを明言する。同紙はこうも述べている。

   「しかし今回の交渉が失敗すれば『コンティンジェンシープラン(非常計画)』が避けられないとビーガン代表は警告した。コンティンジェンシープランとは軍事オプションを含む米国の積極的な対応を意味する。 敗すれば『コンティンジェンシープラン(非常計画)』が避けられないとビーガン代表は警告した。コンティンジェンシープランとは軍事オプションを含む米国の積極的な対応を意味する。」

    そのまま読めば、トランプ大統領は軍事オプションをちらつかせながら、金委員長に対し核兵器廃絶を迫るのではないか、とイメージを膨らませてしまう。首脳会談の場所は、ベトナムのダナンで開かれることが有力視されていている(3日付・NHKニュース)。ダナンはハノイとサイゴンのちょうど中間地点にあり、2017年11月にアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が開かれている=写真、外務省ホームページより=。ただ、「ベトナム戦争」の記憶が残る場所だけに、トランプ大統領は金委員長に対し高圧的に核兵器廃絶を迫ったりはできないのではないか、と考えたりもする。

⇒3日(日)夜・金沢の天気   あめ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆外国籍児童から「大競争時代の雲」を測る

2019年02月01日 | ⇒トレンド探査

        金沢市内の教育者の方からメールをいただいた。「…来年度は、外国籍児童が35名になる予定で、学校としても対応に苦慮しております。学習内容の面でも生活指導面でも、日本語が通じず、かなり大変です。学生ボランティアや通訳などの人材がいてくださると助かるのですが・・。ドラえもんの『翻訳コンニャク』があればなぁと夢のようなことを考えてしまいます。良いアイデアがあれば、教えてください。」

   この教育者が所属する小学校は6学年で500人の児童がいる。その中に外国籍の児童が新年度から35人になると、言語の問題から学習や生活指導面での教育現場の指導が行き届かなくなり、せめてドラえもんの『翻訳コンニャク』があればと願う気持ちがひしひしと伝わってくる。ちなみに、翻訳コンニャクはドラえもんのひみつ道具で、これを食べると、自分の発する言葉が相手に合わせた言語に翻訳される。相手に食べてもらえば相手の発する言葉が自分の言語に翻訳される。いわば多言語コミュケーションツールだ。言語だけに止まらない。宗教上の価値観の違いから給食の食材の制限などがあったりと教育現場では多様な対応が求められる。

   「海外からの有能な技術者を受け入れるチャンスがめぐってきた」。石川県内の自治体の首長の言葉が印象的だった。この地域にはすでに3700人の外国人労働者が働いていて、今後そのニーズはさらに強まる。外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法(入管法)が今年4月から施行される。人手不足に悩む14業種、(介護、農業、材料産業、産業機械、エレクトロニクスおよび電気機器、建設、自動車整備、空港の地上処理・航空機のメンテナンスなど)を対象に、日常会話の日本語と簡単な技能試験に合格すれば、単純労働でも最長5年間の就労を認める(特定技能1号)。さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人は長期就労も可能になり、家族の帯同も認める(同2号)。地域産業の発展させるためにどう有能な外国人労働者を受け入れ、そして定住してもらうか、首長は次ぎの一手を考えているのだという。

   個人的に尋ねた。「その秘策は何ですか」と。有能な外国人労働者を雇用すると妻子を伴ってくるケースが多くなるのは予想される。その子どもたちの教育環境を整えることで、地域企業は海外からの優秀な技術者をスカウトしやすくなり、それを売りにもできるというのだ。海外から技術者を呼び込むことはすでに、国際的な大競争の時代に入っている、その決め手の一つが子どもたちの教育環境だという。さらに、「どのような教育環境ですか、もっと具体的に」と問うと。「そうですね、インターナショナルスクールのような」と。なるほどと腑に落ちた。

    教育者からのメール、そして首長の話はつい先日のことである。それぞれのテーマは異なるが、外国籍児童をめぐる現状と可能性という点でテーマが一直線でつながった。外国籍児童をどう扱うかは、地域のサバイバルをかけた大競争時代のテーマとして広がる、ということだ。新たなキーワードは「地域にインターナショナルスクールを」ということか。(※写真は、金沢21世紀美術館の「雲を測る男」)

⇒1日(金)夜・金沢の天気     くもり

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする