肉眼で見えるほど明るくなると期待されていたアトラス彗星は、先月末から今月初めにかけて増光ペースが鈍り、
彗星本体の核が崩壊し始めたらしいとの情報も出ていましたが、やはり彗星核が分裂していたことが判明。
その様子は下記リンク先の画像で確認できます。
Comet ATLAS Breaks Up
完全に崩壊して粉々になってしまった訳ではないようで、画像から4つの塊が確認できます。
この先、それぞれの間隔が開いていきながら軌道上を動いていくと思われますが、
小さい破片は太陽に近づくにつれて消滅するかもしれません。
ちなみに、ここから先はマニアックな話になりますが、各分裂核にはA,B,C,Dの符号が付けられており、
個別に軌道要素が計算されてます。
MPEC 2020-H28 : COMET C/2019 Y4 (ATLAS)
上記リンク先の一番下にそれぞれの軌道要素(Orbital elements)が出てます。
全部で5つ表記されてますが、最初のものが元来の軌道要素、その下が各分裂核の軌道要素みたいです。
各要素のうち"e"(離心率)に着目すると、B核が元々の細長い楕円軌道(周期6000年以上)に近い感じ。
A核は1を超えてるので太陽系外に飛び去って2度と戻ってこないような軌道に変化したかも?
C核はなんと公転周期が短くなって、"P"に値が出ているように57.8年で一周する軌道になったってことかな?
D核は逆に周期が元々の6000年のレベルより長くなった可能性があります。
と云っても、それぞれがさらに分裂したり消滅したりしなければの話ですし、
観測データがもっと集まってくると値が変わってくるかもしれません。
いずれにしても肉眼彗星になる可能性はほぼ無くなったとみられます。