今年の秋に肉眼光度になると予想されている紫金山・アトラス彗星を2か月ぶりに撮ってみました。
【紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)4/14】
ZWO ASI585MC+タカハシε-180EDC,F2.8,Gain360,STARRY NIGHTフィルター,
総露出時間20分(1分×20フレーム,彗星核基準加算コンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,新潟県十日町市にて
画像中央で左(東)方向に尾を伸ばしているのがターゲットの彗星で、まだ火星よりも遠い宇宙空間にいるせいか
CMOSカメラの狭い写野でも小さくしか写ってくれませんが、信頼スジによると光度はもう10等台に達している模様。
参考レベルの話ですが、2020年に大彗星になったネオワイズ彗星(C/2020 F3)は太陽からの距離が同等の宇宙空間に
あった時には未発見で、光度は約20等以下だったと推定されるので、紫金山・アトラス彗星はそれを遥かに凌駕する
明るさになっているんです。
それにしても彗星像が随分と小さいので等倍トリミングすると・・・
尾の伸びた姿が分かりやすくなりました。ちなみに彗星の移動に合わせて画像を加算したので、総露出時間20分間の
モーションが背景の恒星の流れとして現れてます。見掛け上、尾の長さは数分角程度になってますが、問題はその
伸びている方向です。実は星空シミュレーションソフトで表示すると、こんな風になります。
AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション
外惑星が地球を挟んで太陽と正反対の方向に位置する事を「衝」と言いますが、撮影時にこの彗星はその「衝」の
位置に近く、さらに黄道のすぐ近くに見えていた関係で、尾は地球から見て視線方向の奥側に伸びているとみられ、
もし真っ直ぐ伸びていればほぼ見えないんですけど、シミュレーション上の尾の実長をかなり長めの値に設定して、
誇張した表示にしてます。このシミュレーション結果のとおり、尾は右(西)寄りの方向に伸びているはずなんですが、
実際の撮影画像ではほぼ真逆の方向に伸びていて、ちょっと不思議な感じがします。もしかすると尾が少し東方向に
折れ曲がっていたのかもしれません。挙動が面白そうなので、今後も機を見て撮影していこうかと考えてます。