まだ小さかった頃のことです。屋根が緑色で壁が白いマンションで暮らしていましたから、3歳か4歳の頃です。幼稚園に通っていたかも知れません。
その頃、父に上野動物園に連れて行ってもらいました。
父とふたり。
父に手を引かれて、動物園の中を歩きました。
どんな動物を見たかは、よく覚えていません。
私がバンビと名づけた鹿のぬいぐるみも、そのときに買ってもらったのか別の日に買ってもらったのか、よく覚えていません。
パンダ舎の暗いトンネルに入ったものの、葉っぱの山があるだけで、ガラスの向こう側にパンダは見えず、父に「寝てるんだ」と言われたのも、そのときかどうかよく覚えていません。
そんなあいまいな動物園の記憶の中で、ひときわ鮮明な思い出があります。
肩車。
あのとき、父が肩車をしてくれました。
肩に乗った私の両手を父がつかんで、父の頭の両側にしっかりと付けました。頭を両手でつかんで体を支えるように、ということでした。
固い頭。
手に触れる髪の毛の感触。
目の前に見える黒い物体が面白くて、髪の毛をぐしゃぐしゃといじりました。
父に怒られて、肩車から下ろされてしまいました。
私は駄々をこねました。
「頭ぐしゃぐしゃにするなら、肩車してやらないよ」
私は駄々をこね続けました。もう一度頭にいたずらしたかったのです。
「頭ぐしゃぐしゃにしない? したら下ろすよ」
私は「しない、しない」と答えて、また肩車してもらいました。狙いはいたずらですから、もちろん髪の毛をぐしゃぐしゃにして遊びます。
また父に怒られて、下ろされてしまいました。
二度と肩車はしてもらえませんでした。
父さん、ごめんね。
それと、肩車してくれて、ありがとう。嬉しかったよ。
その頃、父に上野動物園に連れて行ってもらいました。
父とふたり。
父に手を引かれて、動物園の中を歩きました。
どんな動物を見たかは、よく覚えていません。
私がバンビと名づけた鹿のぬいぐるみも、そのときに買ってもらったのか別の日に買ってもらったのか、よく覚えていません。
パンダ舎の暗いトンネルに入ったものの、葉っぱの山があるだけで、ガラスの向こう側にパンダは見えず、父に「寝てるんだ」と言われたのも、そのときかどうかよく覚えていません。
そんなあいまいな動物園の記憶の中で、ひときわ鮮明な思い出があります。
肩車。
あのとき、父が肩車をしてくれました。
肩に乗った私の両手を父がつかんで、父の頭の両側にしっかりと付けました。頭を両手でつかんで体を支えるように、ということでした。
固い頭。
手に触れる髪の毛の感触。
目の前に見える黒い物体が面白くて、髪の毛をぐしゃぐしゃといじりました。
父に怒られて、肩車から下ろされてしまいました。
私は駄々をこねました。
「頭ぐしゃぐしゃにするなら、肩車してやらないよ」
私は駄々をこね続けました。もう一度頭にいたずらしたかったのです。
「頭ぐしゃぐしゃにしない? したら下ろすよ」
私は「しない、しない」と答えて、また肩車してもらいました。狙いはいたずらですから、もちろん髪の毛をぐしゃぐしゃにして遊びます。
また父に怒られて、下ろされてしまいました。
二度と肩車はしてもらえませんでした。
父さん、ごめんね。
それと、肩車してくれて、ありがとう。嬉しかったよ。