日差しの下、マーガレットの花畑の中。場所がどこかは分かりませんが、左側に家が建っています。自分の家だと思います。とすると、ここは庭でしょうか。道が、緩いカーブを描いて花畑の右奥に続いています。
私の目の前、目に近い高さで、白いマーガレットの花がたくさん揺れています。私の周りは、私の背丈くらいの白いマーガレットで埋め尽くされています。実際に花が植わっていた範囲は半径50cmほどかも知れません。しかし、幼い私にとっては、それだけで世界がすべて白いきれいな花で埋め尽くされてしまいます。
その中に、私は立っています。誰かに右手を引かれ、よちよちとここまで歩いてきました。その人は、私より少し先、大人の感覚なら半歩先で、私が右斜め上に伸ばした手を握ったまま、足を止めています。その大人の人が誰かは分かりません。顔は見えません。私の目の高さでは、その人のひざと ふくらはぎが見えるだけです。
白いきれいな花の中。安心感。ずっとここにいたい。
私の手を引く人は私をせかしているかも知れませんが、ずっとここにいたい。
私の正面、少し離れた場所に誰かがいるような気もします。群生するマーガレットをすだれのように透かし見た向こう側。こんもりと丸いその姿は、私の背と同じくらいの高さです。顔の辺りが黒いかも知れません。
大人になった今から思うと、正面でしゃがんでいたのは父で、カメラを構えていたのかも知れません。私を取り囲むように咲いていた花も、マーガレットかどうかは分かりません。しかし、その光景は温かく、懐かしく、記憶の底でひっそりと思い出になっています。まるで、その後の記憶をすべて支えるかのように。
やがて、私は、手を引かれるままに歩きました。じきに花畑を抜けたでしょうが、私が立ち止まった場所以外の記憶は思い出せません。
私はマーガレットの花が大好きです。たとえあのときの花がマーガレットでなかったとしても、花の中心が黄色く、放射状に細長い白い花びらを開く花が大好きです。
私の目の前、目に近い高さで、白いマーガレットの花がたくさん揺れています。私の周りは、私の背丈くらいの白いマーガレットで埋め尽くされています。実際に花が植わっていた範囲は半径50cmほどかも知れません。しかし、幼い私にとっては、それだけで世界がすべて白いきれいな花で埋め尽くされてしまいます。
その中に、私は立っています。誰かに右手を引かれ、よちよちとここまで歩いてきました。その人は、私より少し先、大人の感覚なら半歩先で、私が右斜め上に伸ばした手を握ったまま、足を止めています。その大人の人が誰かは分かりません。顔は見えません。私の目の高さでは、その人のひざと ふくらはぎが見えるだけです。
白いきれいな花の中。安心感。ずっとここにいたい。
私の手を引く人は私をせかしているかも知れませんが、ずっとここにいたい。
私の正面、少し離れた場所に誰かがいるような気もします。群生するマーガレットをすだれのように透かし見た向こう側。こんもりと丸いその姿は、私の背と同じくらいの高さです。顔の辺りが黒いかも知れません。
大人になった今から思うと、正面でしゃがんでいたのは父で、カメラを構えていたのかも知れません。私を取り囲むように咲いていた花も、マーガレットかどうかは分かりません。しかし、その光景は温かく、懐かしく、記憶の底でひっそりと思い出になっています。まるで、その後の記憶をすべて支えるかのように。
やがて、私は、手を引かれるままに歩きました。じきに花畑を抜けたでしょうが、私が立ち止まった場所以外の記憶は思い出せません。
私はマーガレットの花が大好きです。たとえあのときの花がマーガレットでなかったとしても、花の中心が黄色く、放射状に細長い白い花びらを開く花が大好きです。