みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

略してみちゃばこ。泣いたり笑ったり

イケてる男との境界線

2010年11月26日 23時38分50秒 | 日常のあれこれ
地下鉄に乗ろうと駅に向かっていたところ、白い杖 (つえ) で路面を探りながら歩く初老の男性を見かけました。

視覚障害者のようです。

すると、地下鉄の出入り口のすぐ前に車が1台止まりました。

えっ!? そんなところに止めるの?

道は細く、車2台がギリギリ通れるだけの幅しかありません。車が道路わきに止まったことで、その車を大きく迂回 (うかい) しなければ地下鉄の階段に入れなくなってしまいました。

車が止まった場所は、その視覚障害者の前方約5mの位置です。道には、その視覚障害者と私しかいません。運転者からは、白い杖で路面を探りながら歩く人がはっきり見えていたはずですが、運転者は視覚障害者のすぐ前に車を止め、行く手をさえぎりました。

運転していた男性にも、この位置に車を止めたことに悪気はなかったはずです。この細い道で車を寄せずに止めたら、他の車が通行できなくなってしまいます。止めた車が視覚障害者の行く手をさえぎることになったとしても、やむを得ないでしょう。

車から、青い作業服を着た男性が降りてきました。運転者と私の目が合いました。私のすぐ近くにいた視覚障害者も運転者の目に入ったはずです。

視覚障害者の行く手をさえぎって車を止めた以上、運転していた男性が視覚障害者に声をかけて、自分の車を避けて歩けるように誘導するかと思いきや、作業服の男性は、そのまま道沿いの不動産屋に入ってしまいました。

知らん顔して不動産屋に入ってしまいました。

信じられませんでした。

すぐ前に目の不自由な人がいるのに、その行く手をさえぎってまで自分の用事を優先しています。

このままでは、視覚障害の男性が車に邪魔されてスムーズに歩けないはずです。誘導しましょう。

こういうときは、視覚障害者に声をかけます。いきなり腕をつかんだりすると、相手がびっくりしてしまうので、まずは声をかけます。

「何かお手伝いしましょうか」
「いえ、いいです」
「でも、すぐ前に車が止まっていますよ」
「じゃ、地下鉄の階段までお願いします」
「はい、分かりました」

男性が指の背を私の腕に軽く当てました。男性の歩くペースに合わせて、車を迂回して歩きます。近くの工事現場に配置されていた警備員が赤い棒を水平にかかげて、私たちが通り過ぎるまで、安全を確保してくれました。

「ここが地下鉄の階段です」
「ありがとうございました」
「お気をつけて」

あの運転者はイケてません。視覚障害者が歩く先に車を止めざるを得なかったとしても、車から降りた後、真っ先に視覚障害者を誘導していれば、スマートでカッコいい男に映ったはずです。本当に小さなことなのですが。

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