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マルチ商法対抗録・6 (クーリングオフしましょ)

2009年01月29日 23時30分40秒 | 日常のあれこれ
この連載の目次

(前回から続く)

いても立ってもいられず、深夜までインターネットで連鎖販売取引 (マルチ商法) やクーリングオフの情報を収集しました。

調べて驚きました。クーリングオフ制度によって商品を返品するときには、返送料は業者が負担すると法律で決められているのです。Aちゃんは、化粧品の返送料は自己負担だと説明されたと言います。
「それくらい払ってもしょうがないかな、とは思ってる」
Aちゃんは、虚偽の説明を受けていました。

調べたクーリングオフの情報をメールにまとめ、Aちゃんに送信しました。早くクーリングオフの手続きをとってくれることを願いながら。

マルチ組織は会員を逃すと収入が減ってしまいます。Aちゃんがクーリングオフを試みても、マルチ組織は、Aちゃんを脱会させないように、それこそ必死になってあの手この手で阻止することも考えられます。化粧品の返品について虚偽の説明をしているくらいなので、手ごわいかも知れません。

メールの中で、私は、法律の専門家に依頼することを勧めました。

初日の夜はこうして過ぎました。

翌朝、Aちゃんからメールが届きました。

「何とか自分で解約できるようにしてみます」

この化粧品ビジネスを紹介した友達との関係を懸念しているようです。

不安がよぎりました。

解約を思いとどまるように説得されて、クーリングオフをやめはしないでしょうか。

私は、改めて説得のメールを書きました。クーリングオフするときには、紹介してくれた友達や同席していたベテラン会員には何も言わずに、直接業者に連絡するように勧めました。Aちゃんの気持ちが揺り戻されてしまうのが怖かったからです。こんなとき、メールってもどかしい。

夜になってメールが届きました。

解約の件をBさんに話してみるつもりだと。
強制的に解約を阻むようなら、専門家に相談しようと思うと。
今後の交友関係を保つために。

マルチ商法にはごく短く触れているだけですが、何とかして友達との関係を守ろうと、ずいぶん悩んだ様子がうかがえます。

その悩みとともに、重大な事実も伝わってきました。

Aちゃんは、まだクーリングオフに動いてくれていませんでした。

そして、私の知らない事態が起きていました。

Aちゃんの自宅に、トライアルセットが届いていました。トライアルセットの代金も化粧品ビジネスへの入会金も、Bさんが払ってくれていました。後にAちゃんが言うには、Bさんが「出資」してくれたと。もちろんこのとき、私はそんなことを知るよすがもなく……。

(次回に続く)

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