「この人、男? 女?」
テレビの画面には金髪の人が映っていました。あ、美輪明宏さんを知らないんだ。
「男だよ。シャンソン歌手だったかな」
「IKKOさんみたい」
「あー、そうだね」
私は内心ヒヤヒヤしています。
友達を交えて4人で食事しているときに、ひとりが、男女の境界を越えた芸能人の話を持ち出しました。
こちらに飛び火してきませんように。
その人のすぐ隣、30cmもない至近距離に座っている私も、男女の境界を越えたひとりです。
今は女性として生活していますが、男の子の体で生まれました。同席している人のうち、既にカミングアウトした (性別を移行したことを打ち明けた) 人はひとりだけ。あとふたりは私の過去を知りません。
このふたりも、性別を変えた人が目の前にいるなどとは夢にも思っていないでしょう。目の前にいる私も性別を変えたひとりだと知ったら、どういう反応をするでしょう。
私は平静を装いつつも、いつ話がこちらに飛び火してくるかと内心ヒヤヒヤしています。
「ほら、誰だっけ? アキバ……」
「AKB48?」
「違う。……あい、あい……」
「はるな愛?」
「はるな愛ちゃん、かわいいよね」
「うん、かわいいね」
そこまで来たか。同性愛の美輪明宏さんに始まり、おネエ系のIKKOさんを経て、トランスセクシャルのはるな愛ちゃんまで来ました。はるな愛ちゃんが持っているのは性同一性障害。私と同じ診断名です。
あー、だんだん私に近づいてきたよ。
ちなみに私は椿姫彩菜ちゃんのファンです。本を買ってサインしてもらったこともあります。でも、そのことを口に出してこの話題を長引かせるわけにもいきません。
適当にあいづちを打ちながら話題をそらします。そらしてそらして……私まで及ばずに話が終わりました。
ホッと一安心。
食後、カミングアウト済みの友達とふたりだけになったタイミングで、こそこそ話。
「ヒヤヒヤしたよー」
「気づいてないんだから、いいんじゃない?」
ブログのネタもできたしね。
くすくす笑い。
テレビの画面には金髪の人が映っていました。あ、美輪明宏さんを知らないんだ。
「男だよ。シャンソン歌手だったかな」
「IKKOさんみたい」
「あー、そうだね」
私は内心ヒヤヒヤしています。
友達を交えて4人で食事しているときに、ひとりが、男女の境界を越えた芸能人の話を持ち出しました。
こちらに飛び火してきませんように。
その人のすぐ隣、30cmもない至近距離に座っている私も、男女の境界を越えたひとりです。
今は女性として生活していますが、男の子の体で生まれました。同席している人のうち、既にカミングアウトした (性別を移行したことを打ち明けた) 人はひとりだけ。あとふたりは私の過去を知りません。
このふたりも、性別を変えた人が目の前にいるなどとは夢にも思っていないでしょう。目の前にいる私も性別を変えたひとりだと知ったら、どういう反応をするでしょう。
私は平静を装いつつも、いつ話がこちらに飛び火してくるかと内心ヒヤヒヤしています。
「ほら、誰だっけ? アキバ……」
「AKB48?」
「違う。……あい、あい……」
「はるな愛?」
「はるな愛ちゃん、かわいいよね」
「うん、かわいいね」
そこまで来たか。同性愛の美輪明宏さんに始まり、おネエ系のIKKOさんを経て、トランスセクシャルのはるな愛ちゃんまで来ました。はるな愛ちゃんが持っているのは性同一性障害。私と同じ診断名です。
あー、だんだん私に近づいてきたよ。
ちなみに私は椿姫彩菜ちゃんのファンです。本を買ってサインしてもらったこともあります。でも、そのことを口に出してこの話題を長引かせるわけにもいきません。
適当にあいづちを打ちながら話題をそらします。そらしてそらして……私まで及ばずに話が終わりました。
ホッと一安心。
食後、カミングアウト済みの友達とふたりだけになったタイミングで、こそこそ話。
「ヒヤヒヤしたよー」
「気づいてないんだから、いいんじゃない?」
ブログのネタもできたしね。
くすくす笑い。