デジタル一眼レフカメラD70sを使い始めて1年と少々。ファインダー像が小さいことは覚悟していましたが、実際に撮影してみると本当にファインダーが狭く、マニュアルフォーカスはほとんど無理です。撮像素子がAPS-Cサイズと小さい上に、ファインダー倍率が0.75倍なのですから、オートフォーカスしか使うなと言わんばかりです。
D70s with SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC Macro thru Kenko Pro1D Protector (W), Manual exposure (F=4.5, SS=1/20s), ISO320, WB=Sunny (+0), f=70mm (35mm-equivalent: 105mm)
閉店後のピザ屋を撮ったときは、ガラス扉のロゴにフォーカスを合わせたくても、果たしてフォーカスが合っているのかどうかよく分かりませんでした (このときは保険として何枚も撮って対処しました)。
そんな不満を抱えながらも我慢して1年以上にわたってD70sを使い続けてきましたが、その我慢も限界に達しました。
ファインダー像を拡大したーい!
ファインダー像を拡大するためのアクセサリーとしては、ニコンから純正のマグニファイヤーDK-21Mが発売されています。このマグニファイヤーを取り付けるとファインダー像を1.17倍に拡大できるそうですが、付けてみてもファインダーは見やすくなりませんでした。DK-21Mを取り付けると視度が遠視側に補正される[1-3]ため、近視の私には合わないようです。
同様のマグニファイヤーは各社から発売されています。オリンパス製のマグニファイヤーアイカップME-1もそのひとつ。ファインダー像を1.2倍に拡大できます。このマグニファイヤーはオリンパス製ですが、ニコンのカメラにも取り付けられる[1-3]という うわさを耳にして、私もME-1を取り付けてみることにしました。ME-1の場合は、DK-21Mとは逆に視度が近視側に補正される効果もあるようです。[1-3]
ところが、このME-1をD70sに取り付けようとしても、アイピース取り付け部のサイズが合わず、取り付けにかなり苦労します。力を込めれば差し込めますが、取り外すときにギシギシとこじるように取り外さなければなりません。マグニファイヤーを付けっ放しで使う場合はこれでも構わないでしょうが、私の場合はアングルファインダーに付け替えることも多いですし、サイズの合わないマグニファイヤーを無理に取り付けてファインダーを壊してしまってもいけないので、ME-1を改造することにします。
実は、ME-1をニコンのカメラに取り付けられることは以前から知っていました。知っていても、改造の手間がかかるので導入には二の足を踏んでいました。見にくいファインダーを我慢するか、改造の手間をかけるか、見にくいファインダーを我慢するか、改造の手間をかけるか……。まるで、花びらを1枚1枚散らしながら恋の行方を占う乙女。(でいいのかな?) 悩んだ挙句、ME-1を改造することに。それほどD70sのファインダーは狭くて見にくいのです (ニコンさん、センサーサイズがAPS-Cのカメラはファインダー倍率を1.5倍にしてください。接写するときは特に大きく見たいです)。
ちまたで行われている一般的な改造方法は、アイピース取り付け部のツメのすき間 (上図のD) を広くすることです。[1,2]
D部は非常に狭いため、この部分を削るには、ごく薄いヤスリが必要です。0.1mm単位での加工になるので、それなりに目の細かいヤスリを用意する必要があります。
改造に使う工具は、ダイソーで105円で調達しました。こんな工具まであるとは、100円ショップって何でも揃ってるのね。もともとこの工具は電動工具の先端に取り付けるビットです。本当は平ヤスリが欲しかったのですが、超薄型の平ヤスリはありませんでした。
ダイソーではこのビットを取り付ける電動工具も売られていましたが、電動工具で一気に削ると削りすぎてしまいそうなので、今回はこのビットを指先でつまんで手作業で削っていきます。
細いビットを指先でつまんで精密作業をするので、爪を短く切らなければなりません。えーん、せっかく伸ばしたのにー。
レンズを傷つけないように注意しながら削っては、削りかすを払い、カメラに取り付けてフィット具合を確認します。わずかな削りすぎが命取りになるので、慎重に慎重に。
しばらくD部を削ってみましたが、スムーズに着脱できるようになりません。
ひょっとして、Dが狭いことだけが原因ではないのかも。
実家にノギスがあったので、幅wを測定してみたところ、22.00mmありました。これに対して、D70s本体のアイピース取り付け部の横幅も22.00mmでした。両方とも22.00mmではきつすぎて取り付けられるはずがありません。取り付けには少し余裕が必要です。参考のためにカメラに付属していた接眼目当てでwに相当する箇所の幅を測ってみたところ、22.50mmありました。
ME-1をD70sに取り付けるには、Dだけでなく、wも拡張する必要があったわけです。D200、D80、FinePix S5 ProにME-1を取り付ける場合でも、ファインダー部の寸法は同じはずなので、同様にwを広げる必要があるでしょう。
ヤスリで削ってDを広げるよりwを広げるほうが楽ですから、実際に改造するときには、まずwを広げ、それでも取り付けにくい場合にDを広げる手順を踏むと楽でしょう。
ヤスリで削ってwとDを広げては、D70sに取り付けて確認します。この作業を繰り返すこと2時間。最後に、軽い力でヤスリを当てて表面を滑らかに仕上げます。
最終的に、wは22.40mmまで削りました。知らないうちにマグニファイヤーが脱落するほど緩くはありませんが、片手で取り外せる程度のはまり具合になりました。これならアングルファインダーへの付け替えも楽です。
改造後のME-1はD70sにぴったりとはまり、デザインとして不自然でもありません。ファインダーをのぞいてみると、像が一回り大きく見えます。像のケラレはありません。
写真では液晶モニターカバーを外していますが、液晶モニターカバーを取り付けた状態でもME-1を取り付けられます。ただし、液晶モニターカバーを取り付けた状態だと、ME-1の下部が液晶モニターカバーとぶつかってしまいます。そのため、ME-1を奥まで差し込めませんが、その場合でもファインダー内の表示がケラレることはありません。
ME-1を付けた状態で、試しに部屋の中でマニュアルフォーカスしてみました。
うあっ! めっちゃ見やすい!
付けていない状態と比べると明らかに見やすくなっています。シャッタースピードが1/4~1/5秒 (ISO200、分割測光、実焦点距離70mm) になるほど暗い室内ですが、ピントを楽に合わせることができます。ファインダー像が拡大され、視度が近視側に補正されたためでしょう。
あー、マニュアルフォーカスで撮りまくりたいよー。
D70sでこんなに見やすくなるのですから、D200やFinePix S5 Proではどれだけ見やすくなることでしょう。上位機種に乗り換えたときが楽しみです。
そんなME-1ですが、欠点もあります。マグニファイヤーの目当てゴムが手前に出っ張っていないため、目当てを目の上の骨に当てられないのです。
撮影するときには、両手でカメラを持つだけでなく、目当てゴムを目の上の骨に当ててカメラを支えるように言われます。左手、右手、目の3点でカメラを支えることで、ブレを小さく抑えられるからです。
ところが、ME-1ではその3点保持がしにくくて仕方ありません。普通に構えると、まつ毛がマグニファイヤーのレンズにバサバサ当たって うっとうしい。まつ毛がレンズに当たらないように何とか3点保持しようとすると、極端な上目遣いになってしまいます。
……カメラの陰に隠れて上目遣いなんかしたって誰も萌えてくれないってのよ。
あ、そうそう。まつ毛がマグニファイヤーのレンズにバサバサ当たるので、マスカラ命の女性カメラマンは注意してね。
用意する道具
提案する作業手順 (ノギスがある場合)
ノギスがない場合は、少し削ってはカメラに取り付けてフィット具合を確認し、必要に応じてさらに削る形で作業を進めていきます。この場合でも、ある程度w部分を削ってからD部分を削ると楽でしょう。
なお、改造は自己責任で行ってください。改造に失敗しても、取り付けた結果としてカメラが破損しても、その他の問題が発生したとしても、当方は一切関知しません。
[1] D70(s)/D50/D40にマグニファイングアイピース「DK-21M」と「ME-1」の装着レポート (By キンタロウ)
[2] 尖晶石ノート: D70sテスト撮影 9. ファインダー
[3] 【にけの独り言】ブログ -にけログ-: オリンパス マグニファイヤーアイカップME-1
D70s with SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC Macro thru Kenko Pro1D Protector (W), Manual exposure (F=4.5, SS=1/20s), ISO320, WB=Sunny (+0), f=70mm (35mm-equivalent: 105mm)
閉店後のピザ屋を撮ったときは、ガラス扉のロゴにフォーカスを合わせたくても、果たしてフォーカスが合っているのかどうかよく分かりませんでした (このときは保険として何枚も撮って対処しました)。
そんな不満を抱えながらも我慢して1年以上にわたってD70sを使い続けてきましたが、その我慢も限界に達しました。
ファインダー像を拡大したーい!
ファインダー像を拡大するためのアクセサリーとしては、ニコンから純正のマグニファイヤーDK-21Mが発売されています。このマグニファイヤーを取り付けるとファインダー像を1.17倍に拡大できるそうですが、付けてみてもファインダーは見やすくなりませんでした。DK-21Mを取り付けると視度が遠視側に補正される[1-3]ため、近視の私には合わないようです。
同様のマグニファイヤーは各社から発売されています。オリンパス製のマグニファイヤーアイカップME-1もそのひとつ。ファインダー像を1.2倍に拡大できます。このマグニファイヤーはオリンパス製ですが、ニコンのカメラにも取り付けられる[1-3]という うわさを耳にして、私もME-1を取り付けてみることにしました。ME-1の場合は、DK-21Mとは逆に視度が近視側に補正される効果もあるようです。[1-3]
ところが、このME-1をD70sに取り付けようとしても、アイピース取り付け部のサイズが合わず、取り付けにかなり苦労します。力を込めれば差し込めますが、取り外すときにギシギシとこじるように取り外さなければなりません。マグニファイヤーを付けっ放しで使う場合はこれでも構わないでしょうが、私の場合はアングルファインダーに付け替えることも多いですし、サイズの合わないマグニファイヤーを無理に取り付けてファインダーを壊してしまってもいけないので、ME-1を改造することにします。
実は、ME-1をニコンのカメラに取り付けられることは以前から知っていました。知っていても、改造の手間がかかるので導入には二の足を踏んでいました。見にくいファインダーを我慢するか、改造の手間をかけるか、見にくいファインダーを我慢するか、改造の手間をかけるか……。まるで、花びらを1枚1枚散らしながら恋の行方を占う乙女。(でいいのかな?) 悩んだ挙句、ME-1を改造することに。それほどD70sのファインダーは狭くて見にくいのです (ニコンさん、センサーサイズがAPS-Cのカメラはファインダー倍率を1.5倍にしてください。接写するときは特に大きく見たいです)。
ちまたで行われている一般的な改造方法は、アイピース取り付け部のツメのすき間 (上図のD) を広くすることです。[1,2]
D部は非常に狭いため、この部分を削るには、ごく薄いヤスリが必要です。0.1mm単位での加工になるので、それなりに目の細かいヤスリを用意する必要があります。
改造に使う工具は、ダイソーで105円で調達しました。こんな工具まであるとは、100円ショップって何でも揃ってるのね。もともとこの工具は電動工具の先端に取り付けるビットです。本当は平ヤスリが欲しかったのですが、超薄型の平ヤスリはありませんでした。
ダイソーではこのビットを取り付ける電動工具も売られていましたが、電動工具で一気に削ると削りすぎてしまいそうなので、今回はこのビットを指先でつまんで手作業で削っていきます。
細いビットを指先でつまんで精密作業をするので、爪を短く切らなければなりません。えーん、せっかく伸ばしたのにー。
レンズを傷つけないように注意しながら削っては、削りかすを払い、カメラに取り付けてフィット具合を確認します。わずかな削りすぎが命取りになるので、慎重に慎重に。
しばらくD部を削ってみましたが、スムーズに着脱できるようになりません。
ひょっとして、Dが狭いことだけが原因ではないのかも。
実家にノギスがあったので、幅wを測定してみたところ、22.00mmありました。これに対して、D70s本体のアイピース取り付け部の横幅も22.00mmでした。両方とも22.00mmではきつすぎて取り付けられるはずがありません。取り付けには少し余裕が必要です。参考のためにカメラに付属していた接眼目当てでwに相当する箇所の幅を測ってみたところ、22.50mmありました。
ME-1をD70sに取り付けるには、Dだけでなく、wも拡張する必要があったわけです。D200、D80、FinePix S5 ProにME-1を取り付ける場合でも、ファインダー部の寸法は同じはずなので、同様にwを広げる必要があるでしょう。
ヤスリで削ってDを広げるよりwを広げるほうが楽ですから、実際に改造するときには、まずwを広げ、それでも取り付けにくい場合にDを広げる手順を踏むと楽でしょう。
ヤスリで削ってwとDを広げては、D70sに取り付けて確認します。この作業を繰り返すこと2時間。最後に、軽い力でヤスリを当てて表面を滑らかに仕上げます。
最終的に、wは22.40mmまで削りました。知らないうちにマグニファイヤーが脱落するほど緩くはありませんが、片手で取り外せる程度のはまり具合になりました。これならアングルファインダーへの付け替えも楽です。
改造後のME-1はD70sにぴったりとはまり、デザインとして不自然でもありません。ファインダーをのぞいてみると、像が一回り大きく見えます。像のケラレはありません。
写真では液晶モニターカバーを外していますが、液晶モニターカバーを取り付けた状態でもME-1を取り付けられます。ただし、液晶モニターカバーを取り付けた状態だと、ME-1の下部が液晶モニターカバーとぶつかってしまいます。そのため、ME-1を奥まで差し込めませんが、その場合でもファインダー内の表示がケラレることはありません。
ME-1を付けた状態で、試しに部屋の中でマニュアルフォーカスしてみました。
うあっ! めっちゃ見やすい!
付けていない状態と比べると明らかに見やすくなっています。シャッタースピードが1/4~1/5秒 (ISO200、分割測光、実焦点距離70mm) になるほど暗い室内ですが、ピントを楽に合わせることができます。ファインダー像が拡大され、視度が近視側に補正されたためでしょう。
あー、マニュアルフォーカスで撮りまくりたいよー。
D70sでこんなに見やすくなるのですから、D200やFinePix S5 Proではどれだけ見やすくなることでしょう。上位機種に乗り換えたときが楽しみです。
そんなME-1ですが、欠点もあります。マグニファイヤーの目当てゴムが手前に出っ張っていないため、目当てを目の上の骨に当てられないのです。
撮影するときには、両手でカメラを持つだけでなく、目当てゴムを目の上の骨に当ててカメラを支えるように言われます。左手、右手、目の3点でカメラを支えることで、ブレを小さく抑えられるからです。
ところが、ME-1ではその3点保持がしにくくて仕方ありません。普通に構えると、まつ毛がマグニファイヤーのレンズにバサバサ当たって うっとうしい。まつ毛がレンズに当たらないように何とか3点保持しようとすると、極端な上目遣いになってしまいます。
……カメラの陰に隠れて上目遣いなんかしたって誰も萌えてくれないってのよ。
あ、そうそう。まつ毛がマグニファイヤーのレンズにバサバサ当たるので、マスカラ命の女性カメラマンは注意してね。
ME-1改造のまとめ
用意する道具
- ヤスリ。ごく薄くて目の細かいもの。
- ブロワー。削りかすを吹き飛ばすために使用します。
- あればノギス。なくても作業できますが、寸法を正確に測定できるので、加工が確実になります。
提案する作業手順 (ノギスがある場合)
- ME-1のw部分をヤスリで削り、w=22.40mmまで広げます。
- ME-1をカメラに取り付けてみます。まだきつい場合は、D部分をヤスリで削って広げます。
ノギスがない場合は、少し削ってはカメラに取り付けてフィット具合を確認し、必要に応じてさらに削る形で作業を進めていきます。この場合でも、ある程度w部分を削ってからD部分を削ると楽でしょう。
なお、改造は自己責任で行ってください。改造に失敗しても、取り付けた結果としてカメラが破損しても、その他の問題が発生したとしても、当方は一切関知しません。
参照資料
[1] D70(s)/D50/D40にマグニファイングアイピース「DK-21M」と「ME-1」の装着レポート (By キンタロウ)
[2] 尖晶石ノート: D70sテスト撮影 9. ファインダー
[3] 【にけの独り言】ブログ -にけログ-: オリンパス マグニファイヤーアイカップME-1
ほたる石画帖管理人です。
横幅を広げた方がいいとは思い至りませんでした。
早速こちらを参照に記事を修正したいと思います。
その際よろしければ、こちらの記事へのリンクを貼らしていただいてよろしいですか?
後悔しているのは、削る前にDの正確な寸法を測っておかなかったこと。もう削ってしまいましたし、wより先にD部を削ったので、w→Dの順に削る場合の適正なDの寸法は分かりません。次に改造する人には、先にw=22.30~22.40mmまで削った場合のDの適正寸法をぜひ調べて欲しいです。
D部の適正寸法が確定すれば、改造方法が確立されたと言ってよいでしょう。
まことに勝手ながら、ブログサービスを引っ越しました。
つきましたは、お手数ですがリンクを以下に変更してくださると幸いです。
http://spineltl.blog.shinobi.jp/Entry/126/
今後ともどうぞよろしくお願いします。