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「第6波」対応で後手、未曽有の感染拡大招く…高齢者施設のクラスター多発で死者増加

2022-03-13 17:49:35 | ニュース
「第6波」対応で後手、未曽有の感染拡大招く…高齢者施設のクラスター多発で死者増加
2022/03/13 15:06
大阪市の集団接種会場で、3回目のワクチン接種を受ける高齢者。接種が進んでいないことも感染拡大につながった(1月20日、大阪市中央区で)=杉本昌大撮影 【読売新聞社】
(読売新聞)
第5波と比べ感染者5倍、死者3倍

 新型コロナウイルスで感染力の強いオミクロン株が広がり、大阪府では第6波(昨年12月17日〜)の感染者数が12日までに約52万人、死者数は1220人に達した。第5波(昨年6月21日〜12月16日)と比べ、感染者数は5・2倍、死者数は3・4倍だ。感染のピークは過ぎたとみられるが、感染者数の減少ペースは遅く、新たな波の到来も懸念される。データを検証すると、新しい変異株への対応の遅れが未曽有の感染拡大を招いた実態が浮かび上がる。
まん延防止に慎重→人口比感染、全国最悪

 大阪の感染者数は1月2日から、毎日1・4〜2・1倍のペースで増え始めた。これはデルタ株が主流だった第5波の1週間あたりの増加ペースに相当。同7日の府の対策本部会議ではかつてない感染の急拡大を危惧した専門家から、人流の抑制を求める意見も出た。
 これに対し、吉村洋文知事は「まん延防止等重点措置」の要請については「医療の逼迫ひっぱく度、重症者数を踏まえて判断したい」と慎重な考えを示した。経済活動に与える影響への配慮もあったとみられる。
 最終的に病床使用率が、府が基準とした35%を超え、重点措置が適用されたのは1月27日。基準を20%とした東京都より6日遅かった。その後、感染拡大のペースは東京を上回り、人口10万人当たりの感染者数は、全国最悪の状態が3月初めまで続いた。
 飲食店に営業時間の短縮などを要請する重点措置は、感染拡大の初期ほど効果が高いとされる。関西医科大の西山利正教授(公衆衛生学)は「重点措置は市民への心理的な効果も大きい。先延ばしした結果、『まだ気をつけなくていい』というメッセージにつながった可能性がある」と言う。

3回目接種進まず→死者の93%が70歳以上

 オミクロン株は重症化しにくいとされ、無症状の人も多いとされていた。しかし、感染者数の母数が爆発的に増えた結果、死者数も大幅に押し上げられた。
 死者の中では高齢者の割合が多く、第6波では70歳以上が93%(2月26日時点)を占める。第5波では68%で、「医療崩壊」の危機に直面した第4波(昨年3月1日〜6月20日)の85%に近い状態となった。

 高齢者の死者が増えた大きな要因としては、全国的なワクチンの3回目接種の遅れがある。第5波では多くの高齢者が早くに1、2回目の接種を終えていた。感染拡大から約1か月の7月31日には、国内の65歳以上の2回目の接種率は80%を超えた。
 一方、接種2回の効果が薄れた第6波では、3回目の接種率は感染拡大から約2か月後の2月25日にやっと50%を超え、3月11日時点でも69%だ。大阪の死者のうち73%は接種1〜0回(不明含む)だが、接種2回も26%に上る。
 さらに大阪では早期入院・治療が思い通りに進まなかった。第5波では、軽症の段階から積極的に入院させて重症化を予防する「抗体カクテル療法」が奏功した。しかし第6波では、保健所の体制が感染者の増加にまったく追いつかず、感染者へのファーストタッチ(最初の連絡)や治療が遅れた。
 特に対策が後手に回った高齢者施設ではクラスター(感染集団)が相次ぎ、深刻な状況に陥った。第5波で効果が出た抗体カクテル療法も、オミクロン株への効果が1000分の1になるとの報告もあり、使えなかった。それに替わる抗体薬は原則として発症から7日以内に投与する必要があり、治療開始の遅れで使用できないケースもあった。
 府の入院フォローアップセンターが入院先を調整している時点で、酸素吸入が必要な「中等症2」以上の人は1月6〜11日の6%から、2月25日〜3月3日には62%まで増えた。

長期入院15%

 高齢者への感染拡大は病床不足にもつながったとみられる。高齢になるほど入院日数は長くなり、軽症・中等症病床で15日以上の長期入院の割合は1月4日の2%から2月24日には15%に上昇。軽症・中等症病床の使用率は一時100%を超えた。
 府が大阪・南港に開設した臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」(1000床)も介護が必要な高齢者の治療には使えず、使用率(12日時点)は6・5%にとどまる。
保健所要請遅れ→医療支援前に感染拡大

 死者増加の要因となった高齢者施設のクラスターは、なぜ多発したのか。
 府によると、施設内で5人以上の感染者が出た場合にクラスターと認定している。クラスターは1月に57件、2月に268件の計325件発生し、第5波(51件)の6・4倍、第4波(昨年3月1日〜6月20日、105件)の3・1倍に上っている。
 各施設では、家族と入所者との面会制限や職員の定期的な検査といった対策を講じてきたが、オミクロン株は従来のデルタ株と比べて感染力が強く、3回目のワクチン接種が進んでいなかったこともあってクラスターの件数が急増した。
「5人以上」

 施設内で感染が広がった要因は、支援の遅れだ。

 府は庁内に看護師ら約10人の支援チームを設置。保健所からの要請に基づいて、2人1組で施設に出向き、感染の恐れがある区域と安全な区域を分ける「ゾーニング」や防護服の着脱方法などを現場で指導している。
 しかし、保健所が支援チームに連絡するのは、5人以上の感染者が出てからだ。府に協力し、施設での支援に入っている国立病院機構本部DMAT事務局次長の若井聡智あきのり医師は「ほとんどは感染が広がりきってしまった施設ばかり。支援に入るのが遅い」と指摘する。
 若井医師が対照的な例として挙げるのは、第6波でいち早く感染が広がった沖縄県だ。
 沖縄県では約2年前から、高齢者施設で入所者や職員の感染が1人でも判明した場合、保健所からの情報を基に医師や看護師を24時間以内に派遣している。県の担当者は「速やかに専門家を送り込むことで、感染拡大を抑えるのに役立っている」としている。
 重症化リスクのある高齢者への感染を食い止めることで、死者の抑制にもつながっているとみられる。読売新聞の集計では、第6波の沖縄県の死亡率(感染者数に占める死者の割合)は0・06%で、大阪府の死亡率(0・24%)の4分の1だ。人口10万人当たりの死者数も、大阪の13・66人を大幅に下回る2・18人となっている。

課題なお

 こうした状況を受け、府も改善に乗り出している。2月18日から、従来の支援チームを拡充した「クラスター対応強化チーム」を設置し、24時間受け付け可能なコールセンターを開設。保健所を介さずに、往診や感染対策の指導を希望する施設からの連絡を受けられるようにした。3月10日時点で、往診支援6件、感染対策の助言32件に対応したという。
 ただ、課題はなお残されている。チームの要請を受けて往診を行っている葛西医院(大阪市生野区)の小林正宜院長(39)は、医療態勢が不十分との見方を示す。
 高齢者施設は、国の指針で連携医療機関を指定することが求められている。しかし、連携医療機関は規模が小さい診療所も多く、十分なマンパワーがない中で施設での対応に当たるのは難しいという。
 小林院長は「連携医療機関だけに頼るのではなく、組織的な往診チームを増やしていくことが重要だ」と指摘する。



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