地元の公民館などで、市民文化祭が開催されている。
今回は、無性に舞踊の類が見たくて、いそいそと公民館に出かけた。
素人や、趣味で、文化活動をしている市民たちが、日ごろの成果を発揮する。
メニューには、
朗読劇、ギター合奏、フラダンス、日舞、民謡(踊り)、舞踊等、盛り沢山。
とにかく、日舞が見たくて、時間に間に合うようにでかけた。
フラダンスを見て、次は、日舞。
日舞の師範だった、母は、毎日、踊りの練習をしたり、三味線を弾いたり、お弟子さんに稽古をつけたりしていた。
自分は、小学生の頃に、盆踊りで踊る程度。
晩年近くに、3曲だけ、稽古をつけてもらった。
そのあとは、病気がちになり、お弟子さんへの稽古もままならず、自分の稽古も絶ち切れになった。
やがて、母は帰らぬ人となった。
自分は、ずうっと、仕事に追われ、合唱にどっぷりはまり、舞踊を見る機会さえかなわぬ生活になっていた。
昨年には引っ越しもして、フルタイムの仕事もなくなり、今は、週4のパートタイマー。
今回、無性に舞踊がみたくて、みたくてたまらなくなっていた。
そして、1週間前から楽しみに待った。
そして、勇んで会場へ。
母の踊りほど、上手な人は、おそらく見られないだろうとは思いつつ、足を向けた。
そして待ちに待った日舞が始まった。
一人目。
ふんふん、まあまあみられるわい。
そして二人目。
なぜか、母のことが頭になかに、浮かんできて、目頭があつくなり、感情が込み上げてきた。
周りの人に知られないよう、ハンカチで瞼を覆いながら必死で声を抑えた。
何年振りだろうか。
久しく、母の思い出を抱いても心は穏やかだった。
療養中は、痛かったり苦しかったようだったが、穏やかに逝ったから。
華麗に踊る姿を見ていて、在りし日の母の面影を感じた。
久しぶりに、母に会えたようなそんな気がした。
そうなんだ。
久しぶりに母に会いたかったんだ。
踊っている母の姿。
舞台の上で踊っていた母の姿が甦ってきた。