コロナ影響、児童生徒の不登校・自殺が過去最多に…昨年度「子供たちの生活に変化」
2021/10/13 20:41
(読売新聞)
全国の小中学校で2020年度に不登校だった児童生徒は前年度比8・2%増の19万6127人で過去最多となったことが13日、文部科学省の問題行動・不登校調査でわかった。新型コロナウイルスの「感染回避」のため、長期登校しなかった小中高生は3万人を超え、自殺者は415人で最多だった。文科省は「コロナ禍が子供たちの生活に変化を与えた」と分析する。
調査は毎年、国公私立の小中高校と特別支援学校を対象に実施。「不登校」は病気、経済的理由、感染回避などを除いて年間30日以上登校していない状況を指す。小学生は6万3350人(前年度比18・7%増)、中学生は13万2777人(同3・8%増)で、いずれも8年連続で増加。前年度から計1万4855人増えた。
新型コロナの感染拡大を受け、全国の学校では昨年3月から一斉休校が実施された。多くの学校では同5月まで休校が続き、その後も夏休みの短縮、修学旅行や運動会の中止などで学校生活は一変した。
また、学校以外で行う多様で適切な学習活動の重要性を認めた「教育機会確保法」が17年に施行され、フリースクールなどでの学習も広く認められるようになった。こうした面も、人数を押し上げる要因になったとみられる。
今回初めて調査項目に加わったのが、感染を避けるため、年30日以上登校しなかった「感染回避」だ。独自に出席扱いとする自治体もあるが、感染回避は小中高校で計3万287人に上ったことが判明した。
また、20年度に自殺した小中高生は415人で前年度から98人増えた。1974年に調査を開始して以来、最多となり、文科省は「家庭で居場所のない子供たちの救いの場になっていた学校がコロナ禍で休校になり、行事も中止や延期になった影響もある」とみている。
一方、いじめの認知件数は7年ぶりに減少した。小中高と特別支援学校のいじめの認知件数は51万7163件(同15・6%減)、深刻ないじめである「重大事態」も514件(同28・9%減)でともに減った。コロナ禍で子供同士が物理的な距離を取り、授業や学校行事、部活動が制限され、やりとりが減ったことが影響したとみられる。
全体の認知件数が減る中、「パソコンや携帯電話などでの中傷や嫌がらせ」(ネットいじめ)は前年度から946件増え、1万8870件で過去最多となった。