脳を知る 熱中症?脳卒中?「FAST」に要注意
2022/08/23 18:57
(産経新聞)
暑さが続いています。今年5月の全国における熱中症による救急搬送人員は2668人で、昨年5月の救急搬送人員1626人と比べると1042人多くなっています。
救急搬送人員の年齢区分別では、高齢者が最も多く、次いで成人、少年、乳幼児の順となっています。幸いにも軽症が最も多いようです。発生場所別でみると、住居が最も多く、次いで道路、公衆(屋外)、教育機関の順でした。つまり高齢者の住居での軽症の熱中症が多いという結果です。軽症の熱中症なら、応急処置として涼しい場所や日陰に移動して、体を冷やして安静に過ごし、水分や塩分を補給することが重要です。
熱中症の症状としては、めまいや立ちくらみ、頭痛や吐き気、けいれん、受け答えや会話がおかしい、などが挙げられますが、次のような場合はどうでしょう。顔がしびれる、片側の腕や足に力が入らない、呂律が回らない…。熱中症と似ている感じがしますね。しかしこんな症状が出たら、できるだけ早く救急車を呼び医療機関に向かってください。なぜなら脳卒中の可能性があるからです。
脳卒中というと、冬場の寒い時期に多く起こるという印象があるかもしれませんが、実際には夏も冬と同じくらい発生しています。なかでも脳の血管が突然詰まる脳梗塞は、汗をかくことで体の水分が不足して、血液がドロドロになり、それが血栓を作ることにより、発症します。
脳卒中を疑う症状が出れば、「すぐに」病院へ行ってほしいという意味を込めて、「FAST」というスローガンが提唱されています。F・A・S・Tのそれぞれに意味があります。
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(済生会和歌山病院副院長 兼脳神経外科部長 小倉光博)