熱海土石流で集団提訴=遺族ら32億円賠償請求―地裁沼津支部
2021/09/28 10:47
静岡県熱海市で7月に発生した土石流災害をめぐり、崩落の起点場所で違法な盛り土をしたとして、遺族ら70人が28日、盛り土部分の土地の現旧所有者らを相手取り、約32億6800万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁沼津支部に起こした。
被告は、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社と、2011年に同土地を取得した男性ら。
原告側は訴状で、土地所有者らは盛り土の高さを15メートルと市に申請しながら、実際は35〜52メートルまで造成し、県条例に違反していたと指摘。排水設備などの安全対策も怠り、「土石流の発生は盛り土が原因だったことは明らかだ」と主張している。
土石流で母=当時(77)=を亡くした「熱海市盛り土流出事故被害者の会」会長の瀬下雄史さん(53)が提訴後、取材に応じた。「発災から3カ月たっていないが、(土地所有者らへの)責任究明のためスピード感を持って臨んだ」と述べ、「悔しいという思いから、時間の経過とともに、悲惨な事故を二度と繰り返してはいけないという思いに変わってきた」と気持ちの変化を話した。
土石流災害をめぐっては、瀬下さんが8月、重過失致死などの容疑で、土地所有者ら2人を告訴している。